久保建英がスペイン戦後のインタビューで、鎌田大地が「ドイツとスペインには負ける気がしない」「コスタリカには負けそうな気がする」と戦前に語っていて「なに言ってるんだこの人はと思いました」と言ったことが面白かったです。もちろん鎌田の予感がズバリ当たったこともスゴイのですが、久保の語り口が巧みで、ああこの子は頭が良い子なんだなと感じさせるものがありました。
その久保と鎌田ですが、グループリーグ3試合では目立った活躍をしていません。前半で交代させられていて、目立っているのはその後に入って逆転劇を演出した堂安や三苫たちです。ただこれは日本代表の戦術が前半は守備的に、後半は攻撃的になっているからで、久保や鎌田だけではなく最前線の前田大然も前線からのプレスのために駆け回って交代をしています。スペイン戦の前田は本当に良く走っていて、ボールを追いかけ回す犬だってあんなに走れないのではないかと思わせるほどの運動量でした。
彼らも日本代表のレギュラーなのですから当然プライドも意地もあります。特に久保なんてスペイン戦に特別の思いを持って臨んでいたことは誰もがわかっています。それでもある意味「捨て駒」になって、守備に献身して後半の逆転劇へとつなげているのです。それが日本の戦術なのですから、本来はエゴが強いだろうアタッカー陣も自分勝手な理由で守備をサボったりしません。日本の強さの一端を、特に目立った活躍をしていない彼らの姿に見た気がします。
ただ僕は大会前に久保と鎌田には期待をしていました。この2人はヨーロッパのサッカーにフィットしていて、パサーとしての能力に秀でています。もちろん三苫の突破力にも大きな期待をしていましたから、それが活きているのは喜ばしいのですが、どこかで久保と鎌田が得点に絡むシーンも見たいと思っています。堂安や三苫だけが優れた日本選手ではないことを、この大会で世界にもっとアピールして欲しいです。