生き甲斐は大事です。何か生きていく上で楽しみがないと、漫然と年を取っていて死んでいくわけで、もちろん「人生は所詮暇つぶし」だと悟りを開いている人ならそれでも問題ないのでしょうが、そこまでの境地に達していないので、いつも何か生き甲斐とか楽しみを求めて生きてきたような気がします。
20代は仕事も遊びも充実しているし、何もかもまだ新鮮ですし、また必死でもあったので、生き甲斐とか考えていなくても大丈夫でした。25歳で結婚して29歳で長男、33歳で長女が生まれたことで、30代は家庭が一番の生き甲斐になりました。この頃は「あー、これが家族ってやつか」とよくしみじみしていました。自分が子どもの頃も家族だったのですが、やはり子ども目線の家族と親目線の家族は全然違います。自分が作った家族だからでしょう。子どもの成長を見ているだけで楽しい時期でした。
40代は「繋がり」がテーマでした。35歳でテニスサークルのサイトを作って黎明期のインターネットに繋がり、また38歳から高校の同窓会の幹事長となって、同窓会活動の世話役を始めました。40代は仕事以外で多方面に知己が増えていき、30代を家族の閉じた世界で熱中していた反動のように外に外にと広がった時期でした。
そして48歳でサックスを始め、49歳で山本プロとテニスを始め、50歳でピアノを始めたことで、50代は趣味に没頭することになりました。テニスは衰えていく体力をいかにカバーするかとういうことを真剣に考え始めたらどんどん面白くなりました。サックスとピアノは長年の音楽に対するくすぶっていた憧れをようやく実現することができました。
そして57歳で犬を飼いはじめ、58歳で孫が生まれたので、これからの60代の生き甲斐は「可愛がる」ことになりそうです。「可愛がる」というのはとても優しい気持ちになれて温和で良いものです。最近の世の中はコロナ禍のせいか、それともネット社会の炎上癖がリアルに蔓延しているせいか、どうも攻撃的でギスギスしているので辟易します。もう少し穏やかに過ごしたいものです。なにせ本来ならもう隠居の年齢なんですから。