昭和生まれの老翁の面白話。第44話。「比叡山延暦寺の宿坊から夜道を一人で下る①」
高校の友人にM君がいた。彼は学科の物理が大好きで、物理の分厚い問題集500問を毎日解いていた。彼が言うのには「解答できなかったのは2問だけだった」と言ったので驚きました。小生の場合は解答できるのは2問くらいの難問集です。
彼はある宮大工の息子で中学生の家庭教師をしていました。息子は遊んでばかりでなかなか勉強に身が入らないのを父親が心配しました。それで夏休みの1ケ月を息子のために伝手がある比叡山延暦寺の宿坊を借りました。ここなら山の中で遊びに行くところがないので勉強がはかどるだろうとのことでした。そしてM君がつききりで勉強の面倒を見てくれとのことでました。M君は破格の授業料をもらったそうです。しかし、彼は「朝から晩まで中学生相手に山中の宿坊にいるのは飽きる。やることは中学生相手にキャッチボールしかない。それで小生に「遊びに来ないか」という誘いがありました。小生はケーブルカー(標高差567mで日本一)で宿坊に様子を見に出かけました。今は宿坊は高級ホテルのようですがその当時は普通のお寺でした。小生は一日いたのですが夕方に「何もすることもなく飽きた。歩いて山を下る」と言いました。M君は「もうケーブルカーは終電がないよ。一人で山を下るのは危ない。泊っていけ。徹夜で囲碁でも打とう」と言ってくれました。小生は少々無謀と思ったが「今夜は満月で明るい大丈夫だ」と肝試しのつもりで下山しました。山の地形からおおよその道は分かっていました。(※ 比叡山の標高は約848m。麓の京阪電車の駅のある坂本が約166m。標高差682m) 続く
今週の一花 熱帯香りミニスイレン ‘ドウベン’
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