はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

一刻も早い救助を

2014-05-10 14:13:54 | ペン&ぺん


 韓国・珍島沖で起きた旅客船「セウォル号」沈没事故。修学旅行生を乗せたまま、いまだ多くが行方不明。私も中高生の2人の娘がいるので、ニュースで荒れた現場の海や政府関係者に詰め寄る保護者を見ると、いたたまれない。なかなか進展しない救助をもどかしく感じている人も多いはず。一刻も早い救出を祈るばかりだ。
 鹿児島も錦江湾をはじめ、県本土と甑島、奄美群島などがフェリーや高速船で結ばれていて、今回の事故はひとごとではない。
 事故後、本社から支局に「セウォル号はかつて鹿児島で就航していた。調べてほしい」と連絡があった。「エッ! まさか」。早速、支局記者が以前この船を所有していたフェリー会社(本社・奄美市)を訪ねると、担当者がきちんと取材に応じてくれた。東日本大震災後、「想定外」「まさか」という言葉はもう通用しない、言い訳にならない――ことを私たちは学んだ。肝に銘じなければならない。
 それから、海上保安庁や自衛隊が持つ海難救助隊を派遣できないのか。誰もが舌を巻く猛訓練に耐えた隊員たちが海中だろうが、荒れた海上だろうが、救助に向かうシーンをテレビで見た。映画「海猿」では鹿児島で大型フェリーが沈没、隊員が命がけで救助する姿を描いたシーンが記憶に新しい。私たちがひとたび乗船したら海の男、女たちに命を預けるわけだから、今事故を教訓に万全の対策を講じてほしい。
 さて、27日は衆議院鹿児島2区補選の投票日。全国注視の選挙であることは県民の皆さんも充分ご存じのはず。とりわけ農業県の本県は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を避けて通れず、選挙区は異なるが九州電力川内原発(薩摩川内市)の再稼働問題は全国民の関心事。6候補の考えに耳を傾け、2区の有権者は1票を投じてほしい。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 毎日新聞鹿児島版掲載

入学式

2014-05-10 12:41:38 | はがき随筆
 新しいランドセルの匂い、新しい教科書のインクの匂い、新しい机の香りが漂う。新一年生。にこにこと笑顔が教室いっぱいに広がった。新しい担任にも満面の笑みがこぼれる。保護者も我が子に目を注ぎ、クラスは入学式の明るい雰囲気に包まれた。あどけない。むつまじい。学業の扉が開いた「大きな夢を抱き希望に膨らんで」未来の空へと羽ばたき、学習の道へと一歩一歩と歩を進める。険しい山、谷や凸凹の障害の壁には精を込めベストを尽くそう。孫息子の入学式に、懐かしい私の入学式が思い重なった。母は海、海は広い。海は光る、母は強し。
  姶良市 堀美代子 2014/4/21 毎日新聞鹿児島版掲載

孫娘と一緒に

2014-05-10 12:29:40 | はがき随筆


 姶良市に住む一人っ子の孫娘は、両親が働いているので、冬休みや春休みなど、長期休業中などは何をして過ごしているのか気になる。
 彼女は今年4月から6年生になるが、変わらず「ジージ」「バーバ」と言って甘え、遊びに来る度に、必ず私どもどちらかの布団に潜り込んでくる。
 春休みに、旅行会社のツアーで東京、鎌倉、箱根などの観光に3人で行った。ところが、彼女の楽しみはスカイツリーでも大仏さまでも富士山でもなかった。彼女の楽しみは、飛行機と観光バスに乗ることだった。
 夏休みはどこに行こうか。
  志布志市 一木法明 2014/4/20 毎日新聞鹿児島版掲載

青春は遠くに

2014-05-10 11:37:36 | 岩国エッセイサロンより
2014年5月 9日 (金)

岩国市  会 員   吉岡 賢一

 急な傾斜に両足を踏ん張り、タケノコを掘る鍬のさばきも年々上手になってきた。皮をむき、大きな平釜でゆでる段取りも阿吽の呼吸で進んでいく。バーベキュー用の野菜を刻む音も心地いい。同級生男女10人が年に1度集まる「藪の中のクラス会」。13回を数えた。
 「あんたはあの人が好きじゃったろうがね」。そんな無遠慮な思い出話から、今では体の不調を訴える話題が主流になってきた。わがままも出始めた。
 さてあと何回続くのだろう。いつしか青春は遠くなりにけり。
 頭の上でウグイスが鳴く。
  「ボー、ボケないで!」と。
  (2014.05.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載







ある日の取材

2014-05-08 21:26:39 | アカショウビンのつぶやき






素敵なご夫妻との出会いがあった。
T.正昭さんは、
パーキンソン病友の会・鹿屋・大隅地区の会長さん。
私の腹心の友・M.絢さんも、数年前から闘病中。

彼女から、いつもTさんの話を伺っていたので、
私が関わっているラジオのミニ番組、FMかのやの「心のメモ帖」に
出演をお願いしたところ快く引き受けて下さった。

第1話は「ATM 明るく、楽しく、前向きに」と題して
突然の病発見から、友の会結成までを随筆に纏めてくださり
第2話は、「パーキンソン川柳」。
緻密なシナリオまで作成し提案して頂いた。

お話の中には、かなり深刻な話題もあったが
「明るく、楽しく、前向きに」を、
モットー生きておられるTさんに、完全に脱帽。

大手ゼネコンのエリートサラリーマンであったTさん、
そのビジネス手腕を余すところなく発揮し、
多くの闘病中の方々のリーダーとして輝いておられた。

素敵な出会いに感謝だった。


これがシナリオです。時々アドリブも入りましたが、
時間配分も見事に、10分間にまとまりました。

でも、Tさんは、シナリオ作りに、指一本でパソコンを操作し
深夜まで頑張ってくださったのです。
本当に感謝でした。

「心のメモ帖」は、ネットでも聞けるのです。
放送は明日金曜日、5月9日、午後8時20分。
再放送は、5月11日、午前5時20分。
再々放送まで、ありまして
5月11日の午後8時20分。

勘兵衛の時間ですが、「心のメモ帖」も、どうぞよろしく。
http://www.0033fm.net
です。


正昭作 パーキンソン川柳より


笑ったよ けれど写真は への字顔
先生と 二人三脚 療養マラソン
友の会 ひと月振りに 花が咲く


いえいえ、おくさまとのツーショットは素晴らしい笑顔ですよね




ももちゃん

2014-05-04 17:46:58 | アカショウビンのつぶやき
2ヶ月ほど、ペットのウサギを預かることになり、
我が家が賑やかになりました。
いま人気の垂れ耳ウサギの、ホーランド・ロップ・イヤー。
名前は「もも」6歳の男の子です。
飼い主の姪っ子が引っ越しするため、
しばらく我が家にお預かりです。
今日で2週間、いろいろありました。

まず、頭でっかちのお顔を見てやってください。


昔はウサギに水は禁物!
と言われていたように思いますが、今は違うんですね。
しょっちゅう水を飲んでます。



あんまりオイタが過ぎるときは、ゲージに放り込まれます。
これは反省の姿勢ですかねぇ。
レタス、こまつな、キャベツ、にんじん、リンゴ、イチゴが大好き。
よく食べ、良く飲み、よく出して、跳ね回っています。

「孫ができたね」なんて言われてますが、
孫の可愛さを知らぬ、アカショウビンです。
孫に優るものはないんでしょうが…。

癒されています。



私とアン

2014-05-03 20:20:01 | はがき随筆


 朝ドラで「花子とアン」が始まった。古びた文庫本を手に取ると、あの頃がよみがえってくる。アンの故郷、プリンスエドワード島を訪れたのは23年前。長い共働きから解放された私へ亡夫からのプレゼントだった。
 山が好きな夫はスイスを勧めたが、迷わず決めたのは「アンの島」。でも英語は片言さえ難しい私、ただ娘を頼りの初めての海外旅行だった。
 「輝く湖水」「恋人の小径」など、還暦間近の私が、胸をときめかせて歩いたアンの島。
 広いカナダの東部、端っこの小さな島は今でも私にとって夢の島なのである。
  鹿屋市 西尾フミ子 2014/5/3 毎日新聞鹿児島版掲載

さすがに色あせた写真ですね。byアカショウビン

山のにぎわい

2014-05-02 19:19:26 | はがき随筆
 この時季、週末になると忙しい。長男一家が竹の子掘りにやってくる。くわを担いで一輪車を押して山道を登っていく。「待ってー」「早くおいでー」「あったー」と声が響き、列の最後を歩く私も久しぶりに胸が高鳴る。嫁に来た当時、祖母に堀り方を伝授されたこと、夫が居て、子供たちと競って竹の子を見つけたことなどを思い出す。そして、楽しみな現金収入。近くに貝取り所があり、かなりの高値だ。格好のアルバイトになる。孫たちもお小遣いを手に、笑顔満開。疲労困憊して帰るも、週末には必ず電話が鳴る。「明日、またくるね」と。
  出水市 伊尻清子2014/5/2 毎日新聞鹿児島版掲載

2014-05-02 19:05:49 | はがき随筆
 10年前、仙厳園で初めて「曲水の宴」を観覧した。
薩摩隼人に象徴される武の国、薩摩にこんな雅な世界があったとは。
 亡夫の4代前内山伊右衛門綱次は「示現流の達人であり、薩摩琵琶の目いゅ。薩摩節の誉れ高く、その琵琶の弾奏は高尚優雅であったという。
幕末、薩摩藩密命で奥州仙台に入り殺害された」と史実にある。
 今、広い庭園の向こうで奈良の地から来た娘婿が雅楽の装束姿で龍笛を吹いている。
 雅を通じて先祖との因縁めいたものを感じた宴でもあった。
  鹿児島市 内山陽子 2014/5/1 毎日新聞鹿児島版掲載

子と掘ったタケノコ

2014-05-01 12:29:55 | 岩国エッセイサロンより
2014年5月 1日 (木)

   岩国市   会 員   片山清勝

 土の付いたタケノコが並んでいる。「うまそうですね」と声を掛けると、「イノシシの食べ残し」と掘っ人が笑う。イノシシは地面に出たものは食べないそうだ。 
 イノシシの食べ残しが食卓に載るのかと思いながら、タケノコ掘りをした頃を懐かしく思い出した。 
 畑のそばに数十本のモウソウ竹があった。出勤前に掘った日もある。休日に息子と一緒に、隅々まで探して掘った記憶もある。家族はみんな好きで、旬は毎日、タケノコのおかずが一品は食卓に載った。私は根元の歯応えのあるところが好みだ。 
 そんな畑が公共用地となって30年、今は知り合いからの頂き物で旬を味わう。 
 夫婦で食べ切れないこともあるが、数年前に教わった冷凍保存を妻は実行してる。 
 冷凍したタケノコは、おすしや煮物など季節外に頂く貴重な食材として重宝だ。昔、取れ過ぎて粗末に扱ったことを悔やんでいる。
    (2014.05.01 中国新聞「広場」掲載))岩国エッセイサロンより転載