はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

読み聞かせ体験

2014-05-21 18:45:47 | はがき随筆
 長男(4)が通う幼稚園で、絵本の読み聞かせをするボランティアを募集していたので、申し込んだ。自分で絵本を選んで持参するとのこと。当日はどしゃ降りだったので、雨にちなんだ1冊をと思い、赤川明さん作・絵「あそぼ!みずたまり」(鈴木出版)を選んだ。さすが雨の日だけあって、お話会は大盛況。いよいよ最後、5番目はわたしだ。緊張しながら前に出る。残り時間は少ない。声を張り上げ「ばしゃばしゃ」「どっぷーん!」。園児たちは食い入るように絵本を見つめ、聞き入ってくれた。ほんの数分間だったが、充実した気分だった。
  鹿児島市 津島友子 2014/5/21 毎日新聞鹿児島版掲載

薩摩の志士なら

2014-05-21 14:27:42 | ペン&ぺん
 

4月20日、私立鹿児島高1年、勝みなみ選手が日本女子ゴルフツアー優勝に輝き、最年少記録を塗り替えた。15歳。まさに「時の人」となった。将来が楽しみだ。
 「政治とカネ」を争点に6候補が論戦を繰り広げ、同27日投開票された衆院鹿児島2区補選。安倍晋三首相ら与野党の党首、代表らが相次ぎ来県し、てこ入れした。安倍政権への「信任投票」として捉えられ、全国注視の国政選となった。
 5月10日、桜島が噴火し、噴煙は4500㍍まで上がった。大量の灰が鹿児島市中心部に降った。昨年8月を思い出した。昨夏も今回もこの噴火は全国ニュースとなった。天高く噴煙を上げる10日の桜島を撮った津島史人記者の写真はヤフーでネット配信された。
 6月に開催されるサッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会の日本代表メンバーに県ゆかりの遠藤保仁、伊野波雅彦、大迫勇也の3選手が選ばれた。23人の中からの3人だ。代表選手とは縁のない県もあるだろう。それを思えば3人を輩出したことは「サッカーの鹿児島」を県外にアピールする絶好の機会だ。代表チームが21日から指宿で合宿する。W杯では厚い選手層、練習環境、良好な季候など鹿児島のサッカーへの熱い思いを全国に伝えたい。川内原発の再稼働問題もそうだ。伊藤祐一郎知事の発言も含め、本件は常に注目の的となっている。
 安倍首相は15日、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する方向にかじを切った。皆さんもそれぞれの考えを持っておられるでしょう。毎日新聞を含め各紙をじっくり読み比べてほしい。そもそも、これは私たち有権者(国民)が1票を投じて託した代表が集まる国会で議論するべきではないか。幕末、日本を動かした薩摩の志士たちは150年後をどのように見ているだろうか。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2014/5/20 毎日新聞鹿児島版掲載

車両違い

2014-05-21 14:18:00 | はがき随筆
 随筆の表彰式で読者の心を打つ文章の書き方を学び、新幹線に乗る。座席はなぜかがら空きだ。通路を挟み窓際の席に座った男性は出水駅で朝、見かけた人である。川内を過ぎると車掌が検札に来た。その男性は切符を見せた後に謝っている。どうしたのだろう、気になる。
 次は私の番。切符を見た車掌はここは自由席ではないと言う。慌てて車両の表示を見ると「指定席」とある。「すみません」とわびる私に、ここでいいと車掌は笑顔で許してくれた。
 向こうで男性が自分も、という仕草をする。車両違いをした老人2人は頭をかき笑った。
  出水市 清田文雄 2014/5/20 毎日新聞鹿児島版掲載