はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

子と掘ったタケノコ

2014-05-01 12:29:55 | 岩国エッセイサロンより
2014年5月 1日 (木)

   岩国市   会 員   片山清勝

 土の付いたタケノコが並んでいる。「うまそうですね」と声を掛けると、「イノシシの食べ残し」と掘っ人が笑う。イノシシは地面に出たものは食べないそうだ。 
 イノシシの食べ残しが食卓に載るのかと思いながら、タケノコ掘りをした頃を懐かしく思い出した。 
 畑のそばに数十本のモウソウ竹があった。出勤前に掘った日もある。休日に息子と一緒に、隅々まで探して掘った記憶もある。家族はみんな好きで、旬は毎日、タケノコのおかずが一品は食卓に載った。私は根元の歯応えのあるところが好みだ。 
 そんな畑が公共用地となって30年、今は知り合いからの頂き物で旬を味わう。 
 夫婦で食べ切れないこともあるが、数年前に教わった冷凍保存を妻は実行してる。 
 冷凍したタケノコは、おすしや煮物など季節外に頂く貴重な食材として重宝だ。昔、取れ過ぎて粗末に扱ったことを悔やんでいる。
    (2014.05.01 中国新聞「広場」掲載))岩国エッセイサロンより転載