はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

あやかりたい

2014-06-22 21:43:39 | はがき随筆
 今年はキュウリを種から育てたのだが、虫にやられたり、病気で枯れたりして全滅した。94歳のAさんは苗を買って植えたとかで、もう収穫の時を迎えて、緑鮮やかなキュウリを今朝、持って来てくだそった。青々とした、きれいな柔らかい菜っ葉も。農業のベテランにはかななわないなあと感心する。Aさんの作られなかったタマネギなどをお返しする。物々交換である。
 栗の季節には栗を、竹の子の頃には竹の子を何度もくださる。私のいれるお茶をおいしいと飲みつつ、人生の楽しかったこと、苦労したことを話される。あやかりたいお元気さである。
  霧島市 秋峯いくよ 2014/6/22 毎日新聞鹿児島版掲載

男尊女卑

2014-06-22 21:36:08 | はがき随筆
 子供が通う小学校のPTA仲間が「主人が厳しくて大変」と言う。鹿児島出身のご夫婦で、夫は妻の家事について、親戚一同の前で“駄目出し”し、「主婦としてのスキルを上げろ」と話したそうだ。
 それでいて、妻が話を聞いてほしい時は「疲れているから聞かん」の一言。「イクメン」など、育児や家事に積極的に参加する夫が増えてきた時代、県外出身の私には、同世代とは思えない話で、ショックだった。
 知覧の武家屋敷で見た男玄関、女玄関を思い出し、「これがあの男尊女卑というものか」と思ってしまった。
  鹿児島市 津島友子 2014/6/21 毎日新聞鹿児島版掲載