書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

ヘルマン・ヘッセ著 高橋健二訳 『クヌルプ』

2018年05月30日 | 文学
 出版社による紹介

 別の方の翻訳で読んだが、高橋訳で読み直してみる。いつのどの翻訳作品についても言えることだけれど、訳し手と、その選ぶ文体によって、おなじ原作原書でも印象がずいぶん異なってくるものだ。

(新潮社 1955年4月)

和辻哲郎 『初版 古寺巡礼』

2018年05月30日 | 人文科学
 注がない。注がないがゆえに柳田国男すら基本受け付けない私のような者が、それよりも思考の目が粗い――客観性(客観世界への関心と注意度)が低いと言いなおしてもいいかもしれない――こちらに我慢できるはずもない。

(ちくま学芸文庫 2012年4月)。

芳川泰久「収容所のプルースト (境界の文学) 書評|ジョゼフ・チャプスキ(共和国)」

2018年05月30日 | 文学
 副題「いまこそ日本で読まれるべきプルースト論」
 該書につき、出版社による紹介

 生きるため、人間としての存在と尊厳を保つためという切実で切迫した事情と理由があったにせよ、「人というのは不思議なもの」という畏敬の感情をぬぐいさることはできない。著者や周りの人間が守ろうとする「人間であること」とは何かへも、思いを馳せさせる。