書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

王瑤著 石川忠久・松岡榮志訳 『中国の文人 「竹林の七賢」とその時代』

2007年09月21日 | 東洋史
 再読。

“文学や学問は、士大夫の単なる出仕の手段か高貴な生活のかざりものとなってしまったので、いわゆる文人の地位というものも、政治社会上の地位を指すに過ぎなかった。もし、この時代の文人の地位が以前よりも高くなったというならば、それはつまり、漢代には文人は倡優(たとえば東方朔、枚皐、司馬相如などはいずれもそうであった)であったのが、魏晋以降には官僚士大夫階級になった、ということにすぎない。” (「政治社会状況と文人の地位」 本書72頁)

 原文では「倡優」の横に“コメディアン”とルビがふってあって、いかにもその通りである。あるいは、“タイコモチ”でも宜しいかと思う。そういえば「官僚士大夫」も、これはすこし意味合いが異なってくるし、かなり一面的なとらえ方にもなるのだが、やはり、“タイコモチ”と訓ずることができる。

(大修館書店 1991年11月)