体験的教育論とは

2007-06-01 10:28:46 | 塾あれこれ

教育を考える場合2つのアプローチがあります。
一つは学究的なもの。
もう一つが個人の体験をもとにしたもの。

体験的教育論には、どうかと思うものも多い
ようで、目立つのは有名人のそれ。

ただ一つのケースにすぎないとはつゆ思わず
自信に満ち溢れて説かれます。
そりゃあ自分は成功しているわけですからね。
N賞のN氏をはじめ数多くいらっしゃいます。

自分の教育論が特殊なものかもしれないとか、
ごく部分的にあてはまるだけかもしれない
とは思われないようです。

「何とか再生会議」はどうなのでしょう。

とある子育て経験者は母乳で育てることの大切さを
会議で述べられたそうです。
耳学問と体験から出来あがった信念でしょうな。
間違っているとは言えないゴリッパな意見です。

母乳で子育てをすると、ご子息が一世一代の襲名の祝
儀を脱税し証拠を地下室に隠すなどと「しっかり」者
に育つのでしょうか。

私などのイメージする伝統的な日本の常識からすると
身内がどうであれ公で立派な説を垂れるという神経は
分かりづらいものですが世間になかなか辞めない大臣
や総裁・会長のあまたおられる中では普通かもね。


塾などの現場も「体験的教育論」でしょう。

国家の教育進路を考える会議に体験的教育論の
広がりがあるということは、学究的なものでない
意見が認められる可能性がでてきているということ
になります。

喜ばしいことかなあ?


学究的なアプローチでは教育効果測定に難しさが
あります。
そこで数千年の歴史を踏まえた「体験的」伝統
教育から学ぼうと言うのですが、その立場から
すると上記のような体験的教育論に失笑を買う
ようなものがあるのは残念です。


『はい、こちら国立天文台』という本があります。

長沢工著 新潮文庫 
副題に「星空の電話相談室」とあるとおり
国立天文台広報普及室でのエピソードが満載
されています。

この本には長沢氏の体験的教育論もあります。

教育の本を書こうとされたものではありません。
ただ、こういうものにホンスジの教育が語られている
ことはよくありそうです。

朝ドラ『芋たこなんきん』もそうでしたね。
私達は「智恵」を取り戻さねばならないのです。

智恵は断片的でおわるものではありません。
自らが持っている体系に新たに組み込むものです。