小鉄みたいなネコいたよ

2007-06-12 09:23:09 | 塾あれこれ

しばらく前のことです。

けっこう川幅のあるところでした。
橋に沿って金属の大きなパイプが走っています。
直径は50cm以上ありそうです。

交通量の多い橋でしたが長くても反りは小さい
タイプです。
欄干から覗きこんでもパイプは見えづらい位置に
ついています。
私は橋のたもとにいました。

ふと気付くとそのパイプを猫が歩いています。
川向こうへするすると渡ってゆくのです。
足取りに危なげな処はありません。

パイプは金属ですから爪はたちません。
しかも丸いので歩ける部分はわずかでしょう。
管のツナギ目は鼠返しのようになっています。

落ちれば水です。
泳げても岸はコンクリートの壁です。

彼は何をしたいのか?

橋の下にある鳥の巣を狙っているのでしょうか。
案外、鳥の巣があるものですよね。
橋げたから獲物へたどりつけるのかもしれません。

古いマンガになりますがじゃりんこチエのコテツを
思い出していました。
それも世間を知らぬまだ若い頃の武者修業。

彼は河を渡ろうとしているだけなのではないか?

向こう岸にどんな世界があるか見たくなったのです。
(ネコは好奇心のカタマリ)

水に落ちることなどハナから心配していない。
もし足が滑ればその時のこと。


次第に遠ざかる背中に声をかけたくなりましたが
それで落ちては大変。

ワカモノの後ろ姿を見つめていました。

それが・・・

私がふと目を離したのです。十秒くらい。

どこにもいません。
辺りの水面を探しましたが落ちてはいません。
多分渡りきったのだと思います。

夢でもみたのか、というひとときでした。


ネコ頑張れ、と腰折れを作ってみました。

『この道の続く限りを行けばよし 
     マタタビの空いつの日かまた』

山頭火の句
『まっすぐなみちでさみしい』