IMONカプラーHO-101試作品
IMONカプラーHO-101のカプラーポケットの連結側出口の形状で特徴的なのは、左右が空いていて上下にポケットが伸びて来て居る事です。 上下にポケットが来て居る目的は上下方向にずれる事による「不随意解放」が起こりにくいようにすることです。
左右が空いているのはケーディー#711の寸法の範囲に収まるように作られているカプラーポケットを利用してもう少し大きな首振りを実現しているからです。
外観は、取り付けた車両のグレード感を極力アップできるように工夫しています
JAMの新企画「新製品発表会」を盛り上げようと、そのタイミングで開発をはじめたIMONカプラーHOです。
積年の構想だったのですが、今年は必要になる年でした。
1/87のプラ貨車の開発が本格化します。
連結器が「ダミーまがい」だったり(→セキ3000の時がそうでした)ケーディーを大量に買って取り付けたりしたくなかったからです。
ケーディーと違いマグネマチックカプラーではなく
*ぶつければ連結される
*解放は片方の車両を持ち上げて行う
タイプの自連です。
開発時の優先項目
(1)ケーディーのように不随意に解放する事がないようにしたい
ケーディーは正確な高さにきちんと揃っていれば相当に荒れた路盤でも「不随意解放」しない事にはなっていますが、実際には誰もが苦しめられる大欠点です。
日本一大きくて有名なシーナリー付きレイアウトに車両を乗り入れた経験が有りますが、其処はケーディー使用禁止でした。 当然だと思います。
ケーディーが「不随意解放」と常に隣り合わせである理由は以下の通りだと考えす。
①車両のカプラー取付座の高さにばらつきがある(同一製品でもばらつく)
②モデラーの不注意
③線路側の大きすぎる段差
④鉄道車両の意外なほど大きなオーバーハング
⑤ケーディーのポケットがガタが大きい為に上下に大きく動ける余地があること
⑥成型時のパーティングラインが真ん中にあり、僅かながら好ましくない方向に勾配があること
⑦ナックル先端の爪の形状がまだ少し甘い
この中から
⑤、⑥、⑦を排除しました。
更にナックル部分の上下幅を拡大することによって①~④の原因があってもかなりカバー出来る製品になっていると考えています。
ここではケーディーを対象に「不随意解放」について論じていますが、「ケーディーもどき」のマグネマチックカプラーの方がケーディーの10倍も「不随意解放」することは皆様ご存じですね。
(2)発車時に連結器が鳴るようにダイキャスト製のナックルとする
安易なサウンドがもてはやされる時代ですが、HO以上の模型を「やる」意義の一つはその大きな質量ゆえ、自然に「音が出る」ことにあると思います。
連結器遊間が半分縮んだ状態の列車を機関車が引出すと連結器から音が出ることが非常に重要なことだと考えます。
HO1067の場合、ケーディーは#711を使います。 そのポリ製のナックルが大きな音を出してくれない事もこのスケールをやるに際してのマイナス要素でした。
HO用自連を制作するにあたってまず#711相当品から手掛ける理由の一つは音が出ないポリ製カプラーじゃ遊んでいてつまらないからです。
(3)ケーディー及びその同類の自連と相互に連結するのに全く問題がないこと
ケーディー#711と連結状態のHO-101
HO-101の最初の試作品でも自動連結については全く問題ありません。
●ケーディー#711
●ケーディー#5等
●IMONカプラーHO-101
●IMONカプラーHO-1
の4種類のナックル相互の連結についても問題はないと思います。
HO-101とISb、HO-1とISbカプラーの連結についてはできてこないと判らない状況です。
優先するほどではありませんが、計画としてはその連結も意識した設計がなされています。
(4)マグネマチックカプラーが必要な場合はケーディーに置換可能な寸法
ケーディー#711と同寸で並べた比較図
カプラーポケットの厚みも3mmに揃えています。
HO1067の場合連結面間が狭くなるように考えられている場合が多いので、連結面間が変わらない寸法を選択しています。
ヘッドが小さくなった事によって胴受のスペースが生まれたようにも思います。
(5)外観を格好良く
開放ピン、ナックルピン、肉抜きなど上手に表現しているつもりです。
ケーディー#58と比較しても大きく違うのは、ケーディーの場合マグネマチックの機能のために犠牲にしている外観、すなわち
① 構造的に 打ち込んだ解放用ヒゲがずれないようにする強度が必要
② 機能的に 解放ランプで確実に解放するスペースが連結器内に必要
があります。
IMONカプラーが遙かに勝る外観となっている原因です。
特にケーディー#711を対象と考えると外観向上は顕著です。
そうなると縮尺が気になります。
基本的には「自連」の上下寸法を目立たないように工夫しつつめいっぱい拡大し、親指に相当する左側部分がホンモノより左方に離れることによって左右が大きくなった大きさです。
と言うことは、上下、左右共にファインスケールよりは大きいと言えます。
上下左右とも大きいのですが、縮尺は1/87を意識して彫刻しています。
次回のブログでHO用定番ケーディー、#5、#6、#7、#8、#16、#30番代など用の置き換えを狙ったIMONカプラーHO-1,2,3を紹介しますが、16番や13mm蒸機の前側自連はもしかするとこのHO-101を使った方が宜しいかも知れません。 HO-1とHO-101のナックルの大きさは僅か4%程度の違いです。
(6)可能なら僅かでも伸縮させたい
この点についても僅かとはいえ実現しています。
この僅かな差が決定的な場合もあります。
本日写真で紹介しているものが第一次試作品です。
第二次試作品を待っている現状です。
二次試作品を待つことになったのはナックルの「引っかかり」の形状を更に改良してもっと勝手解放し難い形状にできるという欲を出してのものです。
第二次試作品は少し数を揃え、色々なタイプが揃ったモデルワムの貨車に装着して、原宿店の勾配線で色々な実験を行うことになっております。
C11にHO-101を取り付けた状態です。
発売中のC11にはロスト製でKDと自動連結可能なナックルカプラーが付いていますが、IMONカプラー完成後に発売するものはこのカプラーに変わります。
C11とプラスチックのPEMP製ワム50000に取り付けて連結してみました
KD#711を使用した場合と連結面間は殆ど変化しません。
KD#711は「連結面間」に関しては程良く詰まった姿になる良いカプラーです。