EF58102[宇]MAフィニッシュ
IMONのEF58は凄い製品だと思います。
PEMPのEF58そのものが「中古にもプレミアムが付く」という異常に評価の高い鉄道模型製品でした。
その良かったところを引き継ぎ、更に気が付く限り欠点を解消しました。
そして同じフクシマ模型製作所が担当して作り上げたものです。 (←東芝/日立の作り分けをした前面の深絞りや動力装置などIMON五反田工房も多いに活躍していますが)
その主な改良点;
① 主台枠・先台車枠の総幅をぐっと縮小して正規に近付けました
② つかみ棒が「ロスト」から圧倒的に美しい「挽物」に替わりました
③ 換気用モニター断面形状の「作り分け」が正しく為されました
④ 大ガラベンの形状が大きく修正され、モニター上での位置も「正規」になりました
⑤ 走行性能が格段に良くなり、速度も適度になりました
⑥ 屋根上モニターを外してスイッチを切り替えるだけでDCC運転が可能に!
といったところです。
いずれは違う番号を選んでまた取り組みたいと考えて居ます。
ところで、HO1067でほぼ同時にEF58が発売されました。
FABの製品です。
しかし、キットしか有りませんので「完成」を見た方は少ないのではないかと思います。
私も一台購入して「組屋」さんに持ち込みました。
「東芝(前面Hゴム窓)」です。
その一台がどんなことになったかという物語です。
組屋さんから上がってきた状態です。
社内のゴハチ博士と「このキットから作るのに何が良いか」相談、協議したところ「東洋・汽車」の67番とすることにいたしました。
東芝にするのは屋根の形状から見ても、他の要素からも難しかったのです。
組屋さんから「上がってきた状態」↑この状態で五反田工房へ持ち込まれました。
(塗装が少々なさけないですが、これはFABに責任はないです)
五反田工房に持ち込んだ目的は、FABのEF58キットベース特製品を制作して売る為に組立職人に見せるためです。
(そうなると判って居たら私もそっちが良かった!!・・・・・でもこの見本があるから組み立て易くて・・・・・見本無しではコストパフォーマンスの宜しいIMON特製品でのゴハチは有り得なかったかもしれません)
そして見本の見返り(?)として五反田工房がいろいろ手を打ってくれました。
① ナンバープレートと製造銘板が付きました!(キットは東芝ですから一切プレート無し)
② 実機通りにHゴムを黒に修正してくれました。
③ 実機にあるデフロスターを付けました(IMONゴハチのパーツ)
④ 区名札[浜]はじめ、全検表記他を付けてくれた(これもIMONゴハチ用インレタ)
⑤ 67番になるようにワイパーを付け替えてくれた。
その他諸々諸々です。
五反田工房から帰ってきた「少し生まれ変わったEF5867」です。
DCCエクストリームはEF13に譲ってサウンド無しです。
EF13はEF15(EF15キットは全てDCCエクストリーム)と共通運用、ゴハチはIMONゴハチと共通運用に出来る様にというトレードです。
上がFAB、下がIMONです。
上がFAB、下がIMONです。
台車はどちらも良いです。 ヒサシの長さに差が有りますね。
組むのが難しいと言われるFABのお面も出来上がるとナカナカ良いです。
ゴハチ博士から指摘された「残された最大の問題点」は、EF5867[浜]は大宮工場受け持ちで屋根が黒いそうです。
そう聞いては「気持ち悪い」ので塗る事にします。
手術開始です。
ばらし始めました。
屋根裏にはワールド工芸独特の筋が刻まれています。 緩いRを表現するのですが、なかなか良い方法です。
実はこの↑エアタンクがしゃきっと決まらないのがウィークポイントです。
EF15「ワールド工芸バージョン」はFABのEF15と同車体を使ったいますが、エアタンク周りの構造は一変↓させています。
モニターを外します。
運転室の色差しが少々物足りないのでばらしました。
黒く塗装するためのマスキング。
吹付けでは塗料が回り難い隙間にエナメルXF-1つや消し黒を筆塗りします。
表側にはみ出したところはエナメルシンナーで軽く拭き取り、乾くのを待ちます。
乾いたら吹き付け用のマスキングをします。
折角綺麗に入ったインレタを守るために「紙」を最大限使ったマスキングです。 紙は使い古しですしマスキングテープの節約にもなります。
裸になった下回り動力装置です。
DCCエクストリームは中央のウェイト部分に二段重ねのスピーカーが付き、屋根裏に大きなサウンド基板が入ります。
「サウンド無し=ウェイト付き」の方が重量は大きいです。
インパネ、運転台は実機にも色々な塗り分けのカマがありますが、今回は全部暗緑色にします。
エナメル塗料、筆塗りです。
シンガーフィニッシュ調のドライブラシ作業にメタリックグレー、ブレーキコックは金を後で色差しします。
インパネは「組屋」さんに持っていく時からIMONのキャブインテリアに変更済みです。
EF5867は落成時「大窓」で大窓用のインパネが必要ですが、残念ながらFABキットのインパネは小窓用の80系電車のインパネに似た平らな計器板なのです。
(つまり70何番だか以降の番号を選べば良いわけですが)
ここまでやってメーターには白を入れたくなってしまいました。 後でやります。
黒吹付け終了。
年間何十台も蒸機を吹くので黒の艶のコントロールは馴れています。
しかし、実は「黒」の塗料の現場作業中の不足は拙いので、少し多めに調合します。
蒸機では余分を吹いても大過ないのですが、ついそのクセで「剰り」を吹いて仕舞ったのが失敗だったと反省しています。
パンタにも「先行させるべきエナメル」を筆塗りします。 使用前と使用後です。
運転室椅子は「椅子に見える“青”」にしました。
本当は「黒」が多いかも知れませんがそれではつまらないので。
先台車や動力台車を分解します。
先台車は固定なのか固定じゃないのか半端な作りになっています。
組屋さんはネジを「締め込まずに止めて」少しブラブラするようにしてきました。
気持ち悪いので段付きビスを使ってはっきりさせようと思います。
手持ちで一番適切らしいのがテンダー台車のセンターピンで、1.9mm径です。
2.0mmの穴にして段付きビスを使う事にします。
(色々な改造グッズ、どんどん別売りしたいのですがIMON社内にそれに向いた体勢がないので苦慮しています)
これから「汚し吹付け」に参ります。
吹き付けました。
ギヤボックスに「ウェザーシステム」で錆色を付けておきます。
碍子は軽くスミイレをしてティッシュで拭き取り、
上端部に色差しをします。 (蒸機動輪色=黒と茶の中間)
運転室床に運転台を取り付けます。
モニターの窓セルも新しくします。
窓ひとつ8.75mm(だったかな)なのでマークを付けて極細ドライバーの先で接着剤を載せます。
屋根上避雷器のタッチアップは「サンドベージュ+黒」で。
組屋さんがそのまま組んだらかなり「角ばった」顔つきになりました。
下回りが当たるので顎の下が剥げやすいです。
顎下をわざとヤスって剥がし黒染めして置きます。 当たる所と塗装を見切ったつもりです。
全て汚しを吹いた先台車、主台枠周りを組み立てます。
段付きビスの効果でこれだけ遊びができました。 水平回転方向も少しだけ動きます。
ゴハチは
「線路幅=先輪間隔 vs つかみ棒」の位置関係
「つかみ棒 vs テールライト位置&顔の幅」 の関係
を無視し難く、蒸機と並んでファインスケールが有難い旧型電機の中でも特に「ファイン」が有難い機種です。
総組み立て。
組み上がりました。
②位側をちょっと前がちに。
助士側、もっと前がちに。
なかなか良い雰囲気に仕上がりました。
「単弁」「自弁」のコックに入れた「金」を写そうとしますが。
余りはっきり見えてくれません。 少しストロボを焚けば良いのかもしれません。
かつて自らを世界最高の鉄道会社と自認したペンシルバニア鉄道は自社を称して「スタンダード」と表現しました。
(ペンシーは旅客売上№1、2位はNYC、路線延長ではNYCに次ぐ2位)
日本では馴染み難い感覚かもしれませんがそんな「スタンダード」の使い方があります。
IMONは鉄道模型のスタンダードでありたいと願っています。
現在は「まだまだ初等教育段階程度」ですが、まずはファインスケールの世界で、もちろんHO1067の世界では絶対に「スタンダードを張るぞ!」 →そういう意識をもって商品開発をしていきたいと考えています。
そして、闘志が燃えるのが「スタンダードに対する挑戦(仕掛ける喧嘩)」です。
そう言っては失礼かもしれませんがFAB、ヴェスターヴィーゼのキット組み立ての面白さはそうした「男の本能」を刺激する部分と私は感じています。
(真鍮組立は組屋任せでゴメンナサイ)
そういう意味でFABのEF58を触るのは実に面白い事でした。