TOMIX ナハ10 始める前に

2010-06-25 | 鉄道模型
客車の進み具合の遅い事から結構げんなりしています。

忙しくてさっぱり時間が取れない事
疲れて帰宅後すぐに取りかかれない事

が原因でしょうか。

さてその客車編成ですが、KATOから茶色のオハ35系が出るまで編成にはスハ43とナハ10を加えておこうと考えます。
オハ35が増えたらこの両者は「急行編成」に回すと言う考えです。

まず私も初めて接するTOMIXナハ10に触ってみます。

しかし、いつもの様に非HO商品にHO表記の問題があります。
今日はその件を取り上げます。




箱には「HO」だの「HO GAUGEだのという表記があります。

この製品も1/80ですから3.5mmスケール(1/87)を表わす「HO」という表記をする資格はありません。 嘘の表記をしているわけです。

「HO GAUGE」と書いてあるのはHO=1/87である事を知っての上で、ゲージはHOと同じですよと言っているのでしょう。

1/87 16.5mm → HO

1/80 16.5mm → HO GAUGE

これで解決するように見えるかもしれません。 残念ながら全然駄目なのです。



Nゲージは「N」で通用します。

ですから当然
HOゲージは「HO」で通用します。


それは最初から判っている事ですから1/80を提唱した山崎喜陽さんはその場で「十六番」という名称を示したのです。
(真珠湾奇襲攻撃したころ発売された雑誌上で発表しました)

16番というのは「ゲージ」規格の呼称です。

16.5mmゲージの上を走らせる1/76~1/90の模型に与えた名前です。
 




それに対してHOというのは「縮尺」の規格の呼称です。

1フィートを7mmに縮小する(7ミリスケールと呼びます)「O」(オーまたはゼロ)

1フィートを4mmに縮小する(4ミリスケールと呼びます)「OO」(ダブルオー)

1フィートを3.5mmに縮小する(3.5ミリスケール)「HO」(ハーフオー)です

この三つがイギリス起源の鉄道模型の規格です。

7ミリスケールは1/43ミニカーとして盛んです。

4ミリスケールは1/76戦車(フジミ)として日本でも生きていたようです。

3.5ミリスケールは世界中の鉄道模型を一人勝ち状態で独占しています。
世界中でHO優勢のなか、例外は英国と日本という二つの島国です。


英国はどうしているか;

HOとOOが並立した英国ですが、OOが市場の殆どを占めています。

「OO」は「HO」の線路16.5mmを使います。 (←スケールモデルではないのです)

車両断面の小さい英国の鉄道模型は、車両断面の大きな欧州大陸のHOと同じ軌間、同じモーターを使う事が出来る事によって生き残っています。
(しかし、スケールモデルではないので高価なブラスの市場は成立していません)
(ファインスケール指向のEMゲージやProto4が生まれた状況は日本のJM;13㎜に似ています)




日本はどうしているか;

山崎喜陽さんがHO、OOと一緒に遊べる様に両者が使うHOの線路を使って「切りの良い1/80」で模型化する事を提唱し、16番(或いは16番ゲージ)と命名しました。

ところが商品には「HO」と符した方が売れるのが日本の事情なので、提唱者山崎喜陽氏の非難をモノともせず「HO」と称して販売する者、単に知らなくて「HO」と称してしまう者が多いのです。
(実にアジア的だと言われてしまいそうです。日本も中国を批判出来ませんね)
未だにゲージの規格とスケールの規格も判らない程度の者(興味がないだけ鴨)が「ゲージ論を振り回す輩は」などと非難すると正論を言った者が馬鹿みたいに取られてしまいます。


日本は非HOである「縮尺1/80」を採用したのですから、英国「OO」同様独自の縮尺名を定める必要が有りますが現在の所上手く行っていません。
(提唱者山崎喜陽氏に命名する責任があったかもしれませんが、既に他界されました)
(10年ほど前に他の人から案が提唱されています→「J」スケール)


日本でだけは1/80も「HO」にしてはどうか?

これまた全然駄目です。 (HOゲージも全然駄目ですからそれ以上に駄目です)


日本の1/80は「単一ゲージ、複数スケール」で遊べる事を狙った規格「16番」です。

全て16.5mmゲージを使いましょう。
英国形は      1/76 (縮尺名OO;4mmスケール)
日本の在来線は  1/80
欧米形は      1/87 (縮尺名HO;3.5mmスケール)
満鉄鮮鉄      1/90
全体の名称は十六番または十六番ゲージです。というモノです。




HOは「単一スケール、複数ゲージ」を考えた規格です。

http://www.morop.org/de/normes/nem010_d.pdf

http://www.nmra.org/beginner/scale.html

日本での「HO」は35年前に生まれ、その在来線狭軌モデルも27年前に生まれ、目指しているのは世界中でやっているのと同じ「HO」ユニスケールマルチゲージの世界です。

HOでは全て同縮尺ですから新幹線と在来線は実物通り「大きさが違い」ます
16番では縮尺が違うので殆ど同じ大きさになり、一緒に走っても問題有りません

HOでは東海道本線と京浜急行は線路幅が違うので「別の線路」が無くては走れません
16番では狭軌広軌の中間に当たるHOの線路を使うので同じ線路を走ります。連結器高サも下げてあるので外国形HOとも連結可能です。

この違いは優劣とは無関係、貴方はどちらの考え方で遊びますか?というだけのモノです。
しかし
まるで違う遊び方
まるで違う商品の特性

になりますから「はっきり違う名称」が必要なのです。

名称として「HO」は、生まれた時から「縮尺の規格」なのですから、ゲージの規格16番がその名称を「かたる」のは犯罪です。

私は日本の鉄道模型ファンを守るために1/87以外の模型に「HO」の名称を使う事を禁ずる命令を求めて「訴訟」を起こすと公言しています。

官憲は判例としてもHOは1/87を表わす規格名だと認めているので、確実に勝利します。
だから「恥をかく前に変更してください」と私はメーカーに言っているわけです。

さて「HOゲージ」という名称の問題ですが、下記の様な事態に対応できないから「決してやってはいけない」名前なのです。


右は1/87 16.5mmの京急230です。規格は「HO」です。

左は1/80 16.5mmの京急230です。
   これがもしHOゲージ(略してHO)だったらどうなってしまうのでしょう?
同じHOでよろしいですか?HOゲージと言う具合に最後の「ゲージまでちゃんと付けなくてはダメ!」と全員に強要するのでしょうか


ボールドウィン78-25A台車です。
狭軌、広軌(関西に多い)ともに私鉄電車で多数使われている台車です。
右奥は1/87 16.5mm「HO」です。
前列は1/87 12mm「HO1067」です。
左奥は1/80 16.5mmです。
1/87と1/80は軸先径が違うので車輪の使い回しは出来ません。
   これも全部「HO」では拙いでしょう。


そして大問題はKATOのアーバンライナーです。

実物は標準軌1435mm鉄道です。
ですからから「HO」と表記されていたら欧米人なら1/87だと思うでしょう。

実物は欧州の車両と同じような大きさの断面でしょう。
これをヨーロッパのHOレイアウトに持ち込んだらストラクチャーを破壊します


二子玉川の「いさみや」で社長から

「井門君、日本型をHOと言っちゃ恥ずかしいよ、16番と言いなさい」

と注意された事があります。

私は1/80はHOじゃない事は知っていたのですが平気で「HO」と呼んでいたんですね。

あの頃、日本型HOは「新幹線0系があるかな」位の感じだったのです。
今や歴史も20年30年、市場規模でも1/50から1/10、現在では1/5程度にまでなってきました。

外国由来の規格名を「商売のために」ゆがめて使って良い時代はとうに過ぎ去って仕舞ったと思います。