TR50 間もなく完成

2010-06-11 | 鉄道模型
1/87のダイキャスト製台車を一年に1種類ずつ作っていこうと考えています。

去年作ったのはTR-23です。 (遅まきながら間もなく発売致します)

今年作ったのはTR-50です。 (出来るだけ早く発売いたします)







TR-50と55は30年代初めに造られた新世代の軽量客車用台車で、台車枠は共通でホイールベース2000㎜と極めてコンパクトに作られています。
一見して「違い」はマクラバネがコイル2連か空気ばねかという違いですが、もうひとつ大きな違いがあります。

TR-50の台車枠には客車で一般的な従来のブレーキが付いています。

TR-55の台車枠には20系用に電車式の組ブレーキが付いています。

HO1067は丸いマクラバネが出来るなどいわゆる「ファインスケール」のメリットがありますので此処では別付けにします。

しかし、短軸ですから台車枠とブレーキは一体で彫刻します。

別付けにすればブレーキを車輪踏面に一致させることができますが、別付方式のデメリット(台車枠の厚みが増すかまたは車輪が台車枠と離れることに加え、組上がった時台車のクオリティーに不安を残す)を考えると一体で表現した方が無難と判断しました。
16番で使い慣れた方式を手堅く堅実に使って作るのがIMONのダイキャスト台車なのです。

するとブレーキの違いの為に台車枠は二種類必要になるわけです。

ブレーキ方式の違いによる台車枠二種類

マクラバネの二種類

この組み合わせ4種類は全て存在します。

TR-55のブレーキ方式でコイルばねの台車はTR-54(20系の電源車)

TR-50のブレーキ方式で空気ばねの台車はTR-60(オロネ10)

もしマクラバネを使いまわす事が出来れば4種類の台車ができます。

しかし、マクラバネ両端のマクラバネ吊りの幅が違います。
空気ばねの方が幅広なのです。

しかし、今回「アイデア」によって正しい寸法で互換性確保が成立しました。

どちらでも隠せる位置に取り付け穴をあける・・・吊りの位置と少しずれて取り付け穴が開いているというだけのことです。


TR-54
TR-55の台車枠に今回作ったTR-50のコイルばねを取り付けてみました。

ところで、IMONではTR-54使用のカニ21、TR-60使用のオロネ10を製品化して居ます。その台車は一体どうしたのでしょう?

TR-54に関しては、今回作ったマクラバネ部と同じものをロストワックスで作り仕立て上げています。
IMONカニ21の台車のマクラバネはロストです。

TR-60に関しては、TR-55のブレーキの先端を切って削って整えて一つ一つTR-60のブレーキに改装してから塗装していました。

さて

TR-50X(ナハ10試作車に使われたコイルばねひとつの超軽量台車)は、吊りの位置が違いすぎるので製品化は望めそうにはありません。


昔のHO1067を知る人が「あれはどうだったんだ?」と聞きたくなりそうなのは乗工社のTR-50、TR-55です。

ロスト製で¥20000のプライスが付いていました。

PEMPの外観は素晴らしいがいろいろ問題があるTR-55を使いたくない人の為に作ったといわれる台車でした。

PEMPのTR-55は台車のキットです。
慣れなければ4時間、慣れれば2時間で1両分が組める程度のダイキャストの台車キットで、瞬間接着剤で軸ばねを組み込みながら組み立てるものです。
(上手に組めないと動きの悪い台車になります)

問題点は「転がり」をパブローラー車輪に頼っていましたので集電するためには全台車に集電ブラシを組み込まなければなりませんでした。

その調整が難しく、完璧に音が出ないように、スムーズに走れるように組み立てることは難しく、「転がり」「集電」ともにやや不安を残すというものです。

長期保管すると調子は変わりますし・・・

(私も10両ばかり組み立てました。 私は集電ブラシを捨て、電池を積んで床下スイッチでLED化したパネルライトを点灯させました)

その意欲的な台車の写真もいずれ紹介いたします。

いかにコストが嵩んでも普通の台車にしたいという需要はあったらしくそのロスト製のとんでもない台車になったわけですが、残り数が極めて少なくなり、僅かな残りは後世の見本になるだけで終わりです。

現実的には今回TR-50が完成しTR-55と組み合わせが可能になったことで遜色ない後継台車が遥かに安い価格で入手可能になった、置き換えに成功したと言い切れるようになりました。

完成したTR-50を使った製品についても考えていかなければなりませんね。