新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
愚にもつかない身辺雑記や俳句で遊んでおります。
お目に留めて下されば嬉しいです。

塩味の利いた思い出

2008年01月12日 06時12分27秒 | 写真俳句・エッセー

Photo
臘梅や去りにし人を思ひたる

 春にはまだ早い日、臘梅が咲きはじめる。

 枯葉が散りきっていない枝に、蝋に似た硬質な感じの小さな花が咲く。

 一帯には、芳しい香りがふわーっと漂い流れる。忘れがたい香りだ。

 その香りが、遠い日のぼんやりとした記憶を、ほんのり呼び覚ましてくれた。

 若かった日のちょっぴり塩の利いた思い出だ。

 あっ、そう言えば、あの日田舎の駅のホームで、小さなロウバイが咲いていたっけ。

   臘梅や去りにし人を思ひたる   鵯 一平

 
 甘っちょろいですねえ。

 ガン細胞を身体中に住まわせている老青年には、相応しくないとお思いでしょうか?

 私も少しばかり照れくさい。

 しかし、病気に怯えているのも真情ですし、党首討論に怒っているのも真情。

 過ぎ去った日の塩味を感じているのもまた、一つの真情なのですよ。

 もっとも、ボケると幼児還りをすると言いますから、そちらの症状かも知れませんね。

 もうこうなったら恥の掻きついでです。55年ほど前の高校生時代(私にもあったのですよ、念のため)、ノートに書き留めて諳んじていた詩を書きます。

 島崎藤村の詩、「初恋」です。

  (一)   略

  (二)  やさしく白き手をのべて
       林檎をわれにあたへしは
       薄紅(うすくれなゐ)の秋の実に
       人こひそめしはじめなり

  (三)   略

  (四)  林檎畠の樹(こ)の下に
       おのずからなる細道は
       誰(た)がふみそめしかたみぞと
       問ひたまふこそこひしけれ

 孫に会うため、カミさんと二人、いそいそと出かけます。

 

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コメント (12)
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