新・ほろ酔い気分

酔っているような気分のまま、
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性善説ではダメだ

2007年06月08日 19時33分39秒 | 身辺雑記

 厚生労働省は6月6日、訪問介護事業最大手のコムスンに対し、全国に展開する約2000事業所のうち1600事業所について、介護事業所としての指定を更新しないことを決定して、都道府県に通知した。
 ヘルパー数水増しなどの虚偽申請によって、事業所指定を不正に取得していたことが、今回の処分になったものである。
 ところが驚いたことに、コムスンの親会社であるグッドウイル・グループは、コムスンの全事業を別の子会社に譲渡してしまえば、うまく処分逃れが出来るとのワル知恵を絞った。
 世間はそれを許さない。法律上は適法でも、道義的には許せるものではない。今後の日本の安心を支える介護事業なのだ。見逃すことは出来なかった。
 瞬く間に、大反論が巻上がった。
 腰の重い厚生労働省も、さすがに腰をあげた。6月7日、コムスンに対し、事業譲渡を凍結するよう行政指導した。法律的に適法なグッドウイル・グループの行動を、道義を背景にした行政指導が制止しようとしたわけだ。厚生労働大臣も「処分逃れは認めない」と表明した。
 我が国は法治国家だ。ザル法も法。その法律を道義の尺度でねじ曲げて、行政指導をしようとしている。厚生労働省の今回の措置については私も大賛成だ。しかし、行政指導によって法律をねじ曲げることに変わりなく、この方式が活用され悪用されるリスクは残る。法治国家ではなく、裁量国家になってしまったら大変だ。
 もともと介護保険は社会保障の一翼を担う制度なので、性善説を前提に制度設計がなされたという。しかし法の精神もわきまえず、不正行為が一向に減少しないので、規制・罰則を強化したのだそうだ。世の中には「ワル知恵」がウヨウヨしている。やはり、「人を見たら泥棒と思え」の用心深さは必要なのかもしれない。ワル知恵の固まりのような議員や官僚が、法律をつくる時だけ善人を前提にするのも妙な話。不作為なのか不用心なのか。
 国民の安全や安心を支えるはずの「年金制度」や「介護制度」が、国民を不安に陥れている。
 年金は財源の不安に加え、管理の杜撰さが露見した。安倍首相は1年以内にメドをつけると表明しており、自民党の選挙公約にも入れる雰囲気だ。現段階ではどのように収束出来るのか極めて不透明。しかし是非とも明解な解決を求めたい。
 一方介護事業は、事業者の不誠実な事業展開が指弾された。無理を承知で無理をし、嘘をつきながら事業拡大を図ろうという魂胆だったのだろう。サービスグレードは二の次で、事業の採算性を追求した。経営者のモラルの問題だ。
 介護サービスに従事している若い人たちは、自分の将来に不安を抱き悩みながら、日々を過ごしているそうだ。介護事業を将来性あるものにするには、まだまだ問題が山積している。

コメント
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