昨夜、友人のK君とY君に会った。いつもの通り、「焼酎の蕎麦湯割り」を飲みながら、時間を過ごした。我々のすることは、万事安上がりになっている。
この二人とは、もう40年来の付き合いだ。短い期間だが、上司と部下の関係だったこともあった。また、世に言う「頼まれ仲人」を務めさせてもらったこともある。
私にとっては、年齢的にずっと先輩であり、なにしろ「仲人さん」なので、偉そうに言いながら心易く付き合える仲間だ。こんな都合の好い関係はない。
妻も二人には、弟のような親近感を抱いているのではなかろうか。彼らと会っている時の妻は、いつも上機嫌にはしゃいでいて、すっかり若返っている。気分は、仲人を務めた若い頃に戻っているのだろうか。近所の人たちには見せない顔になっている。
私や妻を、彼らがどう思っているかは分からない。「多少は遠慮するが、結構言いたいことが言える兄貴分」ぐらいに思ってくれていれば御の字だ。
過日、二人と同じような関係の共通の友人が、65歳で亡くなった。長い闘病生活だったが、K君とY君がその友人や奥さんを励ましてくれていた。しかし寿命は如何ともなしがたく、友人は帰らぬ人となった。
昨夜の飲み会は、その友人を偲んでの追悼のほか、二人の労をねぎらう意味合いも含んでいた。話題はあっちこっちに飛んだ。時代を行きつ戻りつしながら、昔を偲んだ。隠れた事実にもブチ当たった。
「ヘーっ、そんなことだったのかあ」てな話もあった。
K君もY君も、タイプは違うが優秀な技術者で、それぞれ責任ある職務を歴任していた。そしてK君は2年前にリタイアし、Y君も今年の株主総会で退任するようだ。よく頑張ってきたものだと思う。
昨夜の話では、私の葬儀は二人が取り仕切るのだそうだ。
「息子さんに、よく言って置いてくださいよ」と、二人から言われている。当然、私が先に死ぬ前提だ。
「百歳まで生きていてくれて結構ですが、私たちよりは先に死んでくださいよ」
と、彼らは言っている。変な話だなあ。本当は逆で、私から彼らに、
「オレよりは先に死んじゃあ困るよ!」
と言う場面でなければ、少し不自然になるのではないか。
さだ まさしのヒット曲に「関白宣言」という歌があった。
「お前を嫁にもらう前に、言っておきたい事がある」というヤツだ。
「俺より先に死んではいけない。例えばわずか一日でもいい、俺より早く逝ってはいけない」というクダリがあり、そこはかなり泣かせる。(もっとも、泣くのは私ぐらいですかねえ)
しかしこのセリフは「嫁さん」に言うから絵になるので、友人に言っては便宜的過ぎる。せめて、「オレの葬儀の時は、カミさんを助けてやってくれ」といったところが、表現の限界かもしれない。
そんなこんな話し込んでいたら、いつのまにか処理能力以上のアルコールを摂取してしまったようだ。今日は朝からボーッとしている。このような不摂生では、葬儀の手伝いを早く頼むことになってしまう。私はまだ急ぐわけにはいかない。幾つかの事柄が残っているような気がする。