農を語る

自然にやさしい不耕起栽培

グロマリンの発見

2007-01-07 19:44:05 | 日本不耕起栽培普及会

不耕起栽培に強い味方

 エコシステム 2005年11月No82日本生態系協会

 グロマリンの発見~世界の農業を変え、地球の温暖化を防止~

・良い土壌をつくるグロマリンの発見

・農業の常識が変わる

・世界の農業が変わってきた

・農地の土壌を守るアメリカ

・日本の農業は今・・・

・日本も土壌を守り、自然と共存する不耕起農業に

 1996年、アメリカのサラ・ライト博士(女史)が、土壌の中から「グロマリン」を発見しました。「グロマリン」は母なる大地を守り、食料を守り、地球も守る、すばらしい物質であることが分かってきました。博士は、アメリカ農務省農業調査局の土壌専門家で、菌根菌類によって作りだされるグロマリンを、世界で初めて発見しました。

 1996年、博士は研究室で、植物の根と共生する真菌が作りだす奇妙な蛋白質に出会いました。この奇妙な蛋白質は強い粘着性をもっており、土壌の中で、ねばねばした特殊な蛋白質を作りだす。ほとんどの植物の根にはカビなどの真菌がついていますが、この菌は一般に菌根菌と呼ばれているものです。この蛋白質こそが、これからの世界の農業を大きく転換させる「グロマリン」です。既存の定説では有機質を投入し、有機物に含まれるフミン酸やリグニンが土壌の接着剤の役目をして団粒化が起こるとされていた。この学説が根底から崩れ団粒化は「グロマリン」だと断定された。しかもこの「グロマリン」は不耕起の3年で倍増し15年で3倍になることが判明した。土壌の団粒化による肥沃化は耕起を止めて不耕起栽培を続けることが先決で、有機物の投入や有機質肥料を使用する事ではないと判明した。これまで岩澤理論では稲が土壌に根穴を開け3年以上経過すると構造化する。構造化が進と土壌が熟成して米の食味がよくなるのではないかと説明してきた。この「グロマリン」の出現で初めて答えが出て終止符を打つことができた。

 私たちはこの「グロマリン」の存在を今年の春知ったが、アメリカでは砂漠化や温暖化防止のための切り札として実用化が進み播種用のデイスクの開発も行われ、2002年アメリカでは全作付け面積の約40%が不耕起栽培に転換している。他方日本においては、雑草の繁茂や病害虫の発生に対する懸念などから、不耕起はほとんど普及していません。稲栽培に於ける不耕起と同じで、畑作においても実用化が迫られている。

 そのことにつけても国や県の試験研究団体が遺伝子レベルの狭い研究に止まりフイールドでの研究を忘れている。もっと現場に足を運び日本の農業を再生できる道を模索すべきである。

 私は家から10キロ離れた所に10aの畑を所有している。冬は小麦と菜っ葉、夏はサツマイモ程度の栽培をしているがほとんど不耕起で刈り払い機での除草程度でやっている。雑草ではセイダカアワダチソウとかイネ科雑草がはびこるが秋にその草を、刈り取って地表面が出てくると自然に菜っ葉類が発芽してくる。小麦はその菜っ葉の間作である。春先には菜の花で一杯になりそのまま結実して実を落とす。6月頃には土の中でミミズが活動を始め盛んに土を掘り返している。ふわふわとした団粒構造である。菜園のあるなりわいの生活とはこんなものかもしれない。

 今年は休耕してトラクターで荒地にしている隣のタバコ畑は、大雨が降ると表土は流亡して失われる。商品化すべき野菜や果樹になると、効率を考えて進めてきたので、いざ不耕起栽培になると、日本での導入には市場への出荷基準から検討しなければならないのでそれはそれは大変な努力が必要だろう。米なら米を柱にした多角経営があって可能ではないか。

        日本不耕起栽培普及会会員 鳥井 報恩


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