波と狛のつれづれ日記

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安藤政次郎さんと彼が創った動物園の行方

2022-03-12 00:38:51 | 人物伝

こんばんは、白黒茶々です。

昨年の末から今年の2月末まで、豊橋市では小学生を対象にして、公共施設を巡って豊橋ゆかりの偉人を知るスタンプラリーがおこなわれました。 それと合わせて、地元出身で在住の漫画家・佐野妙先生が書き下ろした偉人カードも配布……… というよりは、「ご自由にお取りください」状態でした。 そこで小渕志ちさんも含めた6人の偉人が採り挙げられました。 私はいずれ何かの役に立つと思い、カモメリア中央図書館市役所展望ロビー、………などを廻って、全ての偉人カードを揃えました。 実は、渥美半島1周の終盤で市の施設に寄ったのは、コレが目的だったのですよ それらの中で私の目に留まったのは………

安藤政次郎さんでした。 今回の日記のタイトルの通り動物園を創った人なのですけど、彼にゆかりのある場所を巡りながら、そこに至るまでのいきさつと彼の生涯、さらにはその動物園の変遷などをたどっていきます。

安藤政次郎さんは安政2年(1855年)に現在の豊橋市の大手町に生まれました。 実家は紺屋(染織業)を営んでいたのですけど、政次郎さんは明治10年(1877年)に故郷を離れて、静岡で新聞販売業を始めました。

さらにその3年後には、活動の場所を横浜に移しました。この頃、政次郎さんは刺子の袢纏にわらじ履き、日の丸の小旗2本を組んで飾った黒塗りの挟み箱に新聞を入れて肩に担ぎ、鈴を鳴らして新聞を売って回っていました。小柄な体型ながらもなかなかのイケメンで、「新聞小政」という名でモテはやされていました。
しかし明治20年(1887年)に帰郷して、翌年に結婚。 今度は当時豊橋にできたばかりの歩兵第18聯隊(現在の豊橋公園)に豚肉を納入するために養豚業を始めました。 その傍らで、動物好きが興じたこともあって、猿や鳥獣を飼ったりもしました。 物珍しさから、やがてそこには近隣の人々が見学に訪れるようになりました。 こうなったら、動物園を創ってみよう

豊橋駅前の大通りを挟んだ向かい側、最近までたつぴがアルバイトをしていたコンビニの前に「安藤動物園跡」なる標柱が建てられています。

明治32年(1899年)に政次郎さんは、豊橋駅の真ん前という好立地に私立の動物園を創建しました。 当時のそのあたりは畑が広がっていたので、容易にその土地を取得できたそうです。 さらに彼は………

ウサギの着ぐるみを着て動物園を売り込んだのですけど、これが大ウケ その頃はまだ動物園は珍しく、交通の便がいいことも手伝って、安藤動物園は有名になっていきました。
しかし、明治45年(1912年)の広小路の拡張に伴って、花田町守下(現在の大橋通3丁目)に移転。 それでも、敷地は0.25haに拡大し、動物は約50種250頭の規模にまでなりました。 そこは近隣の小学校の遠足の定番スポットにもなっていたそうです。

移転後も政次郎さんは動物園の運営に尽力したのですけど、その経営は行き詰まっていきました。 昭和5年(1930年)7月18日、動物園を市に寄贈するように遺言して亡くなりました。 享年75歳。その翌年、遺族は彼の遺志に従い、安藤動物園は豊橋市立動物園となりました。

その市立動物園は、昭和9年(1934年)に敷地に国道23号線を開通させるために、市内の向山町(現在の交通児童館のあたり)に移転。 その際に、政次郎さんの功績を讃えて「安藤政次郎翁追憶之碑」も建てられました。現在その石碑は、豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)の一角に移されています。
しかし、向山町の動物園は昭和20年(1945年)、戦況の悪化によって閉園。 さらに空襲で施設は壊滅的な被害を受けてしまいました。

豊橋公園の美術博物館の前には、前回の日記にも出てきた古い噴水があって………

その南側の土塁の跡には、不自然なレンガの壁が残っています。 昭和29年(1954年)に、歩兵第18聯隊の敷地だった豊橋公園を会場にして、豊橋産業文化大博覧会が開催されました。 その際に、吉田城の本丸跡に鉄櫓が建てられたのですけど………

合わせて、子供遊園地を伴った豊橋動物園が創られました。 市立動物園は一時絶えたのですけど、このような形で復活したのですね。 ちなみに先程の怪しいレンガの壁は、子供列車のトンネルの跡でした。2.5haの敷地に、インドゾウアシカクマチンパンジートラニシキヘビヒョウライオンワニなど92種282点の動物が飼育されていました。 しかし、こちらの動物園は手狭ということもあって………

昭和45年(1970年)に、5ヶ所目となる豊橋市郊外の大岩町に移転し、名前も「豊橋子供自然公園」と改められました。 それでも、先の動物園の噴水は残されたのですよ。

豊橋子供自然公園は敷地が前の5倍にもなり、動物は74種450点に。 アシカ池、カバ舎、キリン舎、子供動物ランド、ペンギン池、猛獣舎、モンキーアパートなどの施設が整えられました。 私はこの頃の動物園を知っている世代なのですけど、最寄駅が二川駅ということもあって、「二川動物園」と呼んでいました。 その頃の資料は残ってないのですけど、私の中でその動物園は古くて手狭というイメージでした。 それから、チンパンジーがうん○を投げつけてきたのも、今では懐かしいです。

そんなローカルな動物園は平成4年(1992年)に大規模な再整備がおこなわれました。 130種800点も飼育・展示している動物園に………

大温室や庭園などで構成している植物園………

さらには、恐竜や動植物の進化の歴史を学べる自然史博物館………

ゆるいものも含めて10種類あまりのアトラクションが楽しめるミニ遊園地、………などを合わせた壮大なレジャー施設として生まれ変わりました。 名前も「豊橋総合動植物公園」と改められ、三河弁を組み合わせた「のんほいパーク」の愛称で親しまれています。

この機会に、私はそののんほいパークを巡ってみることにしました。 この日の私は午前中しかスケジュールが空いてなかったので、開園時間から入りましたよ

総面積は39.6haもあり、すべてを見て回ったらまる1日かかるというので、効率よくいかなければなりません これ程の施設なのに、入場料はたったの600円。 その4倍は取られても文句を言えない規模と内容なのですけど………

こちらでは動物スポンサー制度を採り入れていて、地元の企業などから動物の餌代の支援を受けているので、大丈夫です。 その中には、ブラックサンダー有楽製菓)やまけんグミ杉本屋製菓)といった有名なお菓子メーカーや、私にとっては紅葉狩りの定番になりつつある普門寺の名前がありましたよ
そうしたら安藤政次郎さんに感謝しつつ、動物園を巡っていきます。

マンドリルには、三河弁の注意書きがしてありました。 ガラス越しながらも、間近に見られるのはいいですね。

カバはけっこう大きいです。 なんか、屋内に入りたがっている様子ですけど。

レッサーパンダは最近施設が一新し、より見やすくなりました。 たまたまかも知れませんけど、同じところを何回も歩いていましたよ。

ライオン舎も改良されて、迫力が増しました。 金網越しながらも、けっこう伝わってきます。

アジアゾウは6頭の群れ飼い。 飼育スペースも拡大され、本格的に展示と種の保存に取り組んでいるのを感じました。

しかしトラ舎は昔のままで、この時は遠くで寝ていたので、エサの解説でご了承くださいませ。 その代わり、ホッキョクグマが大迫力で真ん前の水槽にダイブする姿をお見せするので………

………って、こちらも爆睡していますよ そのあと何回か見に戻ったのですけど、ダメでした。

ホンドギツネもうたた寝しているのですけど、こちらはずっと眺めていたいですね。

あと、ふれあいひろばでは、カピバラ風呂を見ることができましたよ それにしても、気持ちよさそうです。

今度は自然史博物館に入りますよ 屋外にある実物大のブラキオサウルスなどの恐竜からして、大迫力なのですけど………

屋内の展示も充実しています。 こちらはエドモントサウルスの本物の化石で、博物館のメインでもあります。 この化石を取得したことがきっかけで、この施設ができたそうです。

マンモスナウマンゾウなどの骨格標本も、見応えがあります。 あと、現在日本に生息している鳥獣や昆虫の剥製や標本も展示してあります。 さらに………

自分の顔を旧人のネアンデルタール人や………

未来人に変形させるという疑似体験もできるのですよ これは、子供ではなくてもハマります。 あと、自分の体をサルにトレースして、その姿で1分間動き回る体験も サル化してから、私は「シェ~ 」をやってみたのですけど、思うように軸足が伸びなくて、悔しい想いをしました。 こうなったら、今度来る時までに「シェ~ 」の特訓をおかなければ
※茶々さん、なぜそんなに「シェ~!」に熱くなっているのですか?(編集部注)
その自然史博物館の入場料はのんほいパークに込み込みで、館内の大型映像シアター以外は別途料金なしで見ることができます。

途中から、つい私はのんほいパークでキャッキャしてしまいました。 安藤政次郎さんはいつも人を楽しませることを考えていて、ウサギの着ぐるみで客寄せしただけではなく、動物園のツルなどの動物にバンザイ等の芸をさせたり、クマと客を力比べさせるということもやっていたそうです。 自然史博物館の疑似体験などにも、彼の精神が受け継がれていたのですね。 政次郎さん、こんなに素晴らしい施設に結びつく動物園を創ってくださり、ありがとうございました。


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