沖縄 8 Scene

沖縄で生まれ沖縄に生きる
      8郎家の日記

38年前の入園式

2016年04月17日 | 10郎

 愛息10郎の幼稚園生活が始まりました。体育着が通園服になります。朝飯では気合を入れてトーストをがぶり。後ろの段ボールはもちろん引越し用です。

 新居に引っ越すまでの間は登園はかーかーが担当です。10郎は最近、とーとーに付けたあだ名「はげあぶら」を連呼し、元気に出発しました。いってらっしゃい! それにしても痛ましいあだ名だ・・・。

 入園式の10郎も記念にUPします。緊張していたと思いますが、終始笑顔でした。友達いっぱい作れよ!

 どんどんお兄ちゃんになっていく君がまぶしいです。

 

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 8郎は自分の幼稚園入園式を今でも憶えています。もう38年たつでしょうか。式典の内容ではありません。母の記憶です。8郎の母親は式が終わるのを待たずに、8郎を残して先に帰ってしまったのです。祝福ムードの中、8郎はいるはずの母がどこにもいないので不安で不安で探し回り、泣きながらほとんど歩いたことのない道を記憶を元にたどって何とか帰宅しました。たかだか1キロ程度の道のりですが、そのときは世界中に一人ぼっちになった気分で生きるか死ぬかの大冒険のように感じたものです。家では電気もつけないままタバコをくゆらせた母が座っていました。その虚無な姿に、怒りと悲しみをぶつけようとしたのを子供心にも何とか抑えました。今思えば、母親はその当時からすでに心を病んでいたのかもしれません。

 でも、不思議ですね。息子だからでしょうか、自分の人生の失敗を親と妻と子供のせいにする父を心底恨んでも、なぜか母を恨む心境にはなれません。確かに借金を重ね、周りを不幸にしたボロボロの人生でしたが、無知によって育てられ、何の指針も与えられず社会に放り出された、かわいそうだな女性だとしか今でも思えないのです。そして、その姿を8郎姉にも感じるのがさらに悲しいです。

 10郎、君には名護の優しくて明るいばあばのほかにもうひとり、おばあちゃんがいるのだが、とーとーはおそらく会わせてあげることはできないだろう。でも、とーとーの悲しい記憶を、いつか君が知るときが来たら、君も生きることの厳しさを分かってくれるかなと思います。それは、会うことのない君のもうひとりのおばあちゃんが残してくれた人生を懸けたメッセージだと思ってほしい。8郎も、どうしても許せない父の生き様をそう考えるようにしています。

 

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 暗い話ですいません。話しを変えます!

 シーミーで妻の実家に帰省しました。久々の名護は、あいにくの曇り空でしたが、それでも何だか心が落ち着くものです。8郎にとっても第二の故郷ですから。

 妻兄の長男、タカ坊と再会。3歳になったタカ坊は言葉も憶え、愛嬌たっぷり。最初はコワモテの8郎を避けていましたが、最終的には8郎の背中に馬乗りしてきました(笑)。タカ8坊が着替えるときに見せた幼児体型に、むちむちだった10郎を思い出しましたよ。子供って頬ずりできるときにしておかなければ、と痛感しました。今、10郎にほおずりしたら、「えー汚い、はげあぶら」といわれることでしょう。

 名護のじーじーがていねいに育てた庭で、仲良く水やりです(雨が降っていましたが)。二人並ぶと10郎がお兄ちゃんに見えました。いとこ同士、いつまでも仲良くな!

 先日は、業務で今帰仁村へ。古宇利大橋では、うりずんの空を撮影。島には多くの観光客がいました。ビーチでは泳いでいる人もいました。3割くらいは中国・台湾人でしたね。

 ランチは食堂「まんてん」で骨汁を堪能しました。おいしゅうございました! みなさんも今帰仁に立ち寄った際はぜひ。懐かしい沖縄の味が楽しめます。

 夕陽に照らされるハイビスカス。ほとんどのウチナンチュが幼少時代を懐かしむ光景ではないでしょうか。Jimamaの名曲は「でいご」ですが、8郎にとって記憶とともにある花はハイビスカスです。

 村民運動公園で風車ごしに美しい夕焼け。こんなきれいな景色の下で育った子は、いくつになってもふるさとのことを忘れないでしょうね。マジックアワー(日没後に数十分程体験できる薄明の時間帯)も期待したのですが、雲が増えてしまい、拝めませんでした。

  さて! 新居への引越しが迫っています。それに伴いインターネット回線も一時切ることになるので、引越し前の更新はこれが最後になります。次の更新はGWごろになるでしょうか。新居ではPCもプロバイダも一新します。つれづれなるままにつづっていくので、今後とも当ブログをよろしくお願いいたします。 


六十五の春

2016年04月02日 | 10郎

 4月に入りました。うりずんの季節が近づいています。昨夜寝るとき、窓を開けたままだったのに気付かなかったくらいだから、もううりずんかな。通勤路沿いには、この時期に咲く、薄紫のメイフラワーが満開です。

 先日わが愛息10郎が、保育園を卒園しました。引越しに伴い幼稚園に転入するためです。8郎は卒園式に行けなかったのですが、参加した妻が写メールを送ってくれました。背筋をピンとのばし、卒園証を受け取る5歳のわが子の姿に感動しました。どんどん、お兄ちゃんになっていくね。あと3週間で6歳です。君の成長する姿は、とーとーかーかーの日頃の苦労なんか吹っ飛ばしてくれます。

 そんな愛息10郎、水泳教室でも2級に進級。久々に見に行った父の前で無事に試験に合格しました。 途中で水中眼鏡が外れるというアクシデントにもたじろがず、見事、成果を出しました。

 10郎が物心ついたとき(3歳くらいかな)から続けている「とーとーの物語」。夜寝るとき、絵本の読み聞かせでは物足りなくなった10郎に、8郎が聞かせている創作物語(10郎が主人公でハッピーエンド間違いなしの冒険活劇)です。でも最近では10郎の要求がハイグレードになってきたのもありますが、正直ネタ切れにも克服できず、いいオチがつけられません(笑)。あまりの睡魔にろれつが回らなくなってくると、10郎の方から「お父さん、もういいよ」と切られたりします。楽しく想像することは、精神的にとてもいい教育だと思うし、何といっても今しかできない父と息子のコミュニケーションなので、続けてきたのですが、そろそろ終わる時期かなと思っています。8郎のつくったストーリーに笑って悶えたり、勇者のように興奮したり、ときには「なんでそんなことになるの」と怒ったりと、布団の中で全身を使って喜怒哀楽を見せる息子がかわいくて仕方がないのですが、6歳を前に何らかの判断が必要かなぁ。悩める親バカ、5歳の春です。

 卒園式の日。一番の親友、A君とアパートの下で偶然遭遇。1時間くらい汗びっしょりになるまで遊んだね。最高の友達との別れは寂しいが、人生は出会いと別れ。出会えたことに感謝しないとね。A君、ありがとう! 

 

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 職場のつながりで、もうひとつの春にも立会いました。仕事でとてもお世話になったTさん(60)の退職激例会です。

 8郎の毎日通うお得意さんだったTさんには、逆にいろんなことを教えていただきました。仕事のことから人生観、そして、8郎が一番感謝しているのが何と言ってもウチナンチュとしての生き方です。言葉で表すのは難しいのですが、この島で生まれこの島で42年生きる中で、「結局ウチナンチュってその程度だったのか」という自虐にも似たあきらめを感じていたころにお会いし、「こういう人がいて、こういう思想を持って生きていたんだ」という存在でした。けっして聖人君子ではありません。はたからみると単なる酒好きで世話焼きのおっさんです。頭も8郎同様ツルピカです。でも、分かる人には分かる、ウチナンチュとしての「思想」と「誇り」を持って生きている方でした。8郎がいつ足を運んでも温かく事務所に受け入れてくれ、下ネタから天下国家論まで、聞かせてくれました。絶賛して勧めてくれた松本清張の短編は本当に激オモでした。8郎が思わず職場のぐちをこぼすと「周りのことをいうより自分で何をしたかを考えなさい」と一喝されたこともありました。でも、その30分後には電話してきれくれ、酒に誘ってくれました。うちの会社のアホ役員(また、ぐちが)からは一切感じないオーラでした。庶務の女性(Yちゃんにも感謝)が入れてくれたコーヒーを飲みながら過ごした時間、酒を酌み交わした時間を、サラリーマン8郎は一生忘れることはないでしょう。

 「沖縄はまだまだ貧しい。夜の街で体を売るために立っている女性の気持ちを考えたことがあるのか。その女性に子供がいるかもしれないと考えたことはあるのか」

 父親というには年齢は近く、兄貴というにはあまりに大先輩だったTさん。感謝の念が絶えません。8郎同様にTさんにほれ込んでいる先輩同僚が催した激励会で、8郎なりに万感の思いで出席者全員の手作り記念品をお渡ししました。Tさん、30数年間の激務、本当におつかれまでした。ありがとうございました。

 5歳と60歳の春。8郎の心を揺さぶる春でした。

 

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 さて、新居ですが、先日、支払いを終え、正式に所有者となりました。銀行で2000万円超を借り、売主に支払う瞬間はさすがに、緊張しましたよ(笑)。通帳を通すので、あっというまでしたが。ついに8郎家を買いました!

 新居はリフォーム工事に入りました。クロスは妻が選定しました。マンションそのものは中古で妥協したので、家の顔となるテレビボード、ソファはそれなりにいいものを買うつもりです。バルコニー(もうベランダとは言いません)にアウトドア用の椅子を並べて、新生活をイメージ(実際にはこんな風に座りませんが)。 早く、お隣さんが絶賛する朝焼けを見たいものですなぁ。

  引越し業者もほぼ決めました(価格優先)。司法書士を通じて登記手続きも終了、法的にも「家持ち」となりました。でも、インターネット手続、車庫証明書変更手続などやるべきことはたくさんあります。

 楽しみながら引っ越そうと思います!