沖縄 8 Scene

沖縄で生まれ沖縄に生きる
      8郎家の日記

金田一と歩く旅@岡山(前編)

2019年11月28日 | 県外 8 Scene

 突然ですが、40代後半男性こと8郎から、同世代の殿方たちに質問です。

 

 子どものころにできなかったことを、50歳を前に急にやってみたくなる瞬間ってありませんか? 

 

 もちろん働き盛りの一サラリーマンとして、仕事が第一、家族を最優先に、という使命は肝に銘じているところですが、ただ単調に繰り返される日々を漫然と生きることに無常観を感じることも多い今日このごろ。同時に、発散できていないエネルギーが蓄積し、オーバーフロー状態であることを感じていました。世の中にはそのエネルギーを、起業する、親の後を継ぐ、陶器を焼き始める(笑)などいろんな選択肢に向けている方もいると思います(エネルギーを安易な脱サラ、または不倫に向けると人生計画は破綻しますが)。幸運にも脱サラするほどの計画性・資金力もなく、さらに不倫するほどモテない悲しいおっさん8郎ではありますが、心の水面下で30数年来、消えることなく静かに燃え続けてきた火が、ここ数年で一気に強まったので、一つの決断を下しました。

 それは・・・。

 

 そうだ、金田一耕助のふるさと、岡山行こう! 

 

です(笑)。なんちゅうマニアな夢だばぁ~。

 上写真は、岡山県倉敷市真備町(まび・ちょう)にある「真備ふるさと歴史館」の入口に立つ、名探偵・金田一耕助の銅像です。真備町は、金田一耕助の生みの親、故・横溝正史が戦時中に疎開していた場所で、同館内には横溝氏の特設コーナーもあります(ファンにとっては横溝正史記念館でしかありません!)。

 ということで、2泊3日(実質1泊2日)、8郎の少年時代のヒーローである金田一耕助と作者の横溝正史の足跡を追った岡山一人旅を敢行してきました。寂しい一人旅ではありましたが、無常観に包まれる40代後半おっさんの心を、まるで『八つ墓村』の冒頭シーンにある杉の木に落ちた落雷のように、ビビビ⚡と充電してくれた旅となったので、横溝氏の晩年の超大作『病院坂の首隘りの家』にならい、前後編の2回に分けてご報告いたします!

 

(補記)ちなみに岡山県は、降水量が1㍉未満の日が日本一多いことから、「晴れの国」をキャッチコピーに観光地をPRをしているそう。確かにずっと青空でした!

 

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

 

 とはいえ、横溝正史が傑作を書き上げた地、ということ以外、ほとんど岡山県のことを知らない8郎(もちろん桃太郎くらいは知っていましたが・・・)。とりあえずネットで出身有名人を検索すると、アーティストではB’Zの稲葉浩司、甲本ヒロト(超大物が二人も)。スポーツ選手では燃える男こと星野仙一、今を時めく女子プロゴルファー渋野日向子選手。タレントではブルゾンちえみ、千鳥などBクラス(謝)。政治家で言うと、犬養毅、菅直人という総理大臣を生んでいるようです。ちなみに横溝正史は岡山県出身ではありません。前述のとおり、戦時中に疎開していただけです(父親の出身地らしいです)。終戦後にこの地で執筆活動を本格的に再開し、岡山の文化、風俗、景色、人情を取り入れながら、『八つ墓村』などの傑作を立て続けに世に送り出したことから、熱烈なファンからは“聖地”とされているわけです。間違いなく金田一耕助生誕の地であります。

 しかし、8郎的には、結婚15周年アルプスの旅で散財した直後です。「金田一のふるさとを見てみたい」というだけの理由では岡山行きを決断できません。決断した大きな理由は、もちろんほかにあるのです。それは、今年で11回目を迎える「1000人の金田一耕助 コスプレイベント」なる催しものが真備町で行われることを知ったからです!(実際に1000人集まるわけではありません。イベントの詳細については後ほど)。10月にネットでそれを知ってから、46歳、1カ月迷いに迷いました。妻に相談したところ、快く決裁してくれたのです! ぎりぎりホテルパックが取れました。本当は節目の昨年に行きたかったのですが、去年知ったときにはイベントは終わっていたのです。今行かなければ来年以降もタイミングを逃すかもしれない、今行くしかない!

 ついでに言うと、傑作『八つ墓村』が世に出てから今年で70周年(8郎調べ)。世間様は一言も触れてくれませんが、横溝ファンにとっては大きな節目であります。聖地を目指すためには何でもこじつけるのがファンというもの。

 

 新規購入した一人用トランクに準備。先のアルプスの旅には帯同させなかった愛機一眼レフ、NIKON D300もしのばせました。購入から11年を迎えた老体なので、今のうちにいい景色を見せておきたい、撮らせてあげたい、という親心からです。2年ほど前にNIKONに問い合わせたところ、もう部品を生産しておらず修理できないとのこと。それはつまり、今度故障したら即引退ということを意味しています。さらに、文庫本の『八つ墓村』も忘れないように入れます。この日のために買ったのですから!

 タイミングよく、NHKのBSプレミアムドラマ『八つ墓村』が再放送されていたので録画していました(これもきっと八つ墓明神のお導きじゃ、と勝手に妄想する46歳)。自宅を出る前に流し見しましたが、残念ながら完成度はイマイチでしたね。流し見のせいかもしれませんが。前回の記事の通り、この傑作の映像化には限界がありますよ。横溝氏の執念が文字となった原作を読みましょう!

  岡山行きは一日一便。夜の便で向かいます。多少の空席ありで、8郎の隣も空席。おかげさまでゆったりできました。

 この旅のために百均で購入した老眼鏡(2.0)をかけ、コーヒーを飲みながら『八つ墓村』を堪能します。おかげさまで2時間弱、どっぷりと横溝ワールドに浸ることができました。傑作は何度読んでも面白いですね。それにしても読書にブラックコーヒーの合うこと、合うこと。「金田一が生まれた町に行ってみたい」という40代後半夫のまるで中2病のような希望に、快く決裁してくれた妻に、地上3千㍍の上空から感謝しきりです。 

 岡山の夜景が見えてきました。

 岡山桃太郎空港に初上陸。那覇空港に比べるとこぶりでした。

 歴史ある風景を残す岡山県は映画のロケ地にも多く利用されているようです。

 バスで30分かけて夜の岡山駅に到着。岡山の代名詞ともいえる桃太郎が迎えてくれました。しかし、8郎にとって岡山県イコール金田一耕助なのです! 沖縄イコール安室奈美恵だっていう岡山県民だって、きっといるでしょうから、許しくてください。

 駅から歩いて5分、2泊お世話になる「後楽ホテル」に到着です(写真は翌朝撮影)。スタッフさんの対応がとてもよくて、清潔感のあるホテルでした。ここにしてよかった。

 エレベーターホールには、日本六古窯に数えられる「備前焼」も陳列。

 とても静かな廊下。ロビーに客はそれなりにいたのに、2日間、誰ともすれ違いませんでした。

 部屋もとてもきれい。散らかしたのはおっさん8郎です。

 時計はすでに21時半。あとは遅めの夕飯を食い、ビールを飲んで、明日に備えて寝るだけです。ホテルを出て、事前に予約していた、歩いて5分のおでん屋「くじら」へ入りました。

  思っていたより、上品な店内(失礼)。リニューアルして半年だとか。店員さんに常連客と離れたカウンターの端っこに案内されます。こう見えても一人飲みのカウンターで友達をつくるのが得意な8郎、離れ席はちょっと残念でしたが、仕方なく(笑)、大将とバイトの男子大学生に話しかけます。まずはモルツで乾杯。今回は搭乗前の一杯がなかったので、余計うまい! でもピントは合っていない(笑)

 和歌山出身という大将はケツメイシのリーダー大蔵(だいぞう)似の気さくな方でした。しかも、8月に沖縄を観光したのだそう。調理、接客で忙しいにも関わらず、沖縄で撮影した写真をスマホで見せてくれるなど、8郎の相手をしてくれました。

 おすすめの創作おでんをまず注文。ボルチーノソースに浸された大根。最高です! これは食べる価値あり。ソースも完飲間違いなしです。

 牛すじと一緒に煮込んだものグレードアップしたやつも注文。値段は倍以上しましたが、やはりうまい! 最初からこれにすればよかった(笑)

 岡山は日本酒に使われる米の大生産地とのこと。せっかくなので地酒も飲んでみることに。大阪出身というバイトの男子大学生が勧めてくれた「十八盛」(じゅうはちざかり)をいただきます。甘さマイナス6と書かれていた通り、甘い甘い。それにしてもこの店のスタッフに岡山県民いないのですか!?(笑) 別にいいけど。

 ところで、日本酒はおいしいのは間違いないのですが、水割りや炭酸に慣れたウチナンチュの飲み方ではきついっすね。この一杯だけで翌日の二日酔いがきつかったです。

 と、ここで若い女性客👩が一人で入ってきました。8郎との会話よりまな板に集中したい大将が「ちょうどいい」と思ったのか、女性を8郎の隣席に案内します。臨席は肩が触れ合うくらい近かったので、8郎は「まさかや」と思ったのですが、心配ご無用。女性客はこわもて8郎をチラ見したあと、1席空けて着席しました(爆。女性はそれくらい警戒心が強いほうがいいっす)。しかし、この女性、Iさんとしておきますが、なんとウチナンチュだったのです! 8郎と大将の、沖縄の有名おでん屋「東大」に関する話が聞こえたらしく、8郎に「もしかして沖縄の方ですか」と声をかけてきたのです。

 それからはIさんも加わり、楽しく飲みました。Iさんは、年は8郎より20近く下(もはや娘世代ですね)でしたが、何と、沖縄での互いのオフィスがかなり近いことが判明。日々利用するコンビニまで同じことが分かりました。何という偶然でしょう! 横溝ワールドでも“偶然”は頻繁に起こりますが(笑)、別行動のウチナンチュ2人が岡山のおでん屋でたまたま隣に座る、ってどれほどの確率でしょうか? 

 Iさんは一人旅ではなく、出張中の旦那さんと山陰地方で合流するために、一人先んじて県外に出たのだとか。京都行きの便が満席だったので、仕方なく岡山(悲)を経由地に選択、明日朝すぐに鳥取に移動するのだそう。寒かったので、おでん屋に入ったのだと(ウチナ―女性の行動力!)。今日岡山入りしたということは、もちろん飛行機もバスも8郎と一緒だったということです。お互い「全然気が付かなったねぇ」と盛り上がりました。

 Iさんは金田一耕助なるキャラクターのことをほとんど知りませんでした(20代だから当然か)。それより悲しかったのは、大将が翌日の金田一イベントを全く知らなかったことです!「え? キンダイチのイベントが? 明日、真備で? よう知らんですわ」(by大将)。地元は盛り上がっていないのか!?

 閉店時間の12時を前に退店。大将にお礼を言い、Iさんとも沖縄での再会(@日々利用するコンビニ)を約束し別れました。それにしてもこんな偶然ってあるんですね。

 と、初日はこんな感じで終了。いい店と素晴らしい出会いのお陰で、寂しい一人旅の夜を楽しく過ごせましたね。

 

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 さて、メーンとなる2日目は早起きして、午前7時すぎに出発です。「1000人の金田一耕助」は午後なので、午前中はせっかくだからと、岡山一の観光スポット、倉敷美観地区に寄り道するためです。そうです、倉敷はあくまで脇役で、真備が主役です。こんなの金田一ファンだけでしょうね。

 後楽ホテルは朝食バイキングの品が豊富でよかったです。ところで、気軽な一人旅とは言え、食事の時はさすがにさみしいですね。妻にLINEしたところ、10郎の野球チームの試合は雨で中止になったそうです。

 この旅を前に、個人的に誓ったことがあります。それは旅を終えた時点で82キロを超えないこと(笑)です。いつもの旅なら、恒例の「もったいないお化け」が登場し、必要以上にたくさん食べてしまう8郎。何度後悔したか分かりません。今回はその誓いを守るために、バイキングを抑えめにし、お代わりもしませんでした。下写真のセレクト、どうです?(笑) 

 しかし、なぜ、あれだけ種類がそろったサラダ系を取らぬ!

 さて、外に出ると、口から白い息が。気温は10度を下回っていたようです。街路樹もシーズンでした。とてもきれいな街並みでした。

 文化の日かつ土曜日ということで、ラッシュアワーもなく。地下通路もとても静か。10郎がいたら絶対にダッシュしていたでしょう。

  倉敷駅に到着。何だか横浜に来たかのようなおしゃれな街でした。

 西洋風の時計台。 

 駅から歩いて10分ほどで、「倉敷美観地区」に到着。倉敷市の町並保存地区・観光地区です。8郎の記憶は定かではないのですが、これまた岡山県が舞台の『悪霊島』で金田一耕助が駆け足で観光する描写があるようですね。横溝氏の岡山愛は無尽です。

 白と黒のコントラストが美しい倉敷名物「なまこ壁」。白い部分が漆喰で黒は何と瓦だそうです。なぜ、こんなつくりなのかは、8郎のネット取材だけでは分かりませんでした(謝)。

 朝日の入る角度によっては、このようなコントラストの世界も。

 消防班の施設を発見。10月末に焼失してしまった首里城にはこういう設備がなかったのかなぁ。

 なんだか親しみのある名前がついたギャラリーも。

 美観地区の中央を這う水流。倉敷川だそうですが、流れがなく、まるで池のように静か。“晴れの国”らしく雲ひとつない青空だったこともあって水面は鏡のようでした。

  逆光での撮影はなぜかD300よりスマホの方がいい写りです(驚)。でも、心配するな、わがD300よ。スマホには写真みたいな“絵”は撮れても、君が撮る、真を写した“写真”は撮れない!(今年の流行語大賞にご推薦願います)。

  明治時代に建てられた倉敷紡績所の本社工場を再開発し、複合文化施設として再生したのが下写真の「アイビースクエア」。アイビーとはツタの意味らしいです。ツタがからまる赤いレンガが目をひく敷地内には、陶芸が体験できる工房やホテルなどがあるようです。

 入ってみると異国情緒あふれる赤レンガの光景が。

 ここで後述のお土産を買って、また倉敷川周辺に戻ります。

 沖縄では見られない越しの風景をパチリ。

  古きよき街並みの上には、墓が乱立! まるで八つ墓村です(笑)。さぁ、金田一ネタ、3連発です。

 三本の木が。これはまさに『犬神家の一族』の美魔女3姉妹こと、松子、竹子、梅子をイメージ?

 豪邸の前を人力車が走る。これはまさに『病院坂の首隘りの家』のラストシーン!?

 しつこい金田一ネタは後編に譲るとして(笑)。美しい秋の倉敷をご紹介します。 

 紅葉に彩られた倉敷川はそれだけで美しいのですが、舟が加わると、旅情度が格段にアップしますね。

 野鳥も絵になる。

 人からもらえる餌を待っているのか、ずっと8郎の前をうろつく小鳥。

 ちょっと歩きつかれたので、なぜか陶芸店で売っている謎のコンセプト飲料「抹茶ビール」(600円)を買い、川辺のベンチで一服しました。お味は文字通りそのままの組み合わせ(合わねぇ~)。日差しも気温も本当に心地よかったです。妻を連れてきてあげたかったと心底思いました。

 途中でこんな看板を発見。昨年国会を揺るがした、あの学園!? 

 ところで、このほど安倍政権は憲政史上最長記録を更新したそうです。あの問題も国家権力によってもみ消されましたね。長期政権にいいところなど一つもありません。国民で監視しなければなりませんが、無関心層が爆発的に増えていますね。これも長期政権のなす罪です。

(注)8郎の愚痴はこの立派な美術館とは一切関係ない、はず!

 ところで、倉敷市は日本で初めてジーンズをつくったところでも有名だそうです。この美観地区にも「倉敷デニムストリート」なるものがあり、デニム一色。こんな食べ物まで!

 8郎も1つ買って食べましたが、お味はただの豚まんです! 通りすがりのカップルの男性が女性に向けてはなった一言が耳に入りました。「は食べ物に使っちゃいけない色だよ」。全く同感です(笑) でも今はSNS映えという楽しみもあるし、ここは観光地だからいいのではないでしょうか。ただ、どうせなら生地表面をデニム風に粗くするとか、もうひと工夫ほしかったですね。注文の多い46歳のおっさんです。

 ちなみに8郎は、前述の通り、先ほどのアイビースクエアで「おにぎりポーチ」(1540円)を購入していました。デニム生地がかわいいですね。妻にプレゼントすると喜んでくれました。10郎の野球の応援の際に使ってほしいと思います。

 岡山出身の燃える男、星野仙一! その記念館がなぜかデニムストリート内にあります。

 8郎は特に星野氏のファンではないのですが、せっかくなので入館。

 母子家庭で生活が厳しいながらも、母が買ってくれたというグローブが陳列されていました(もちろん半世紀以上前のものなのでボロボロでしたが)。星野氏は、どんなに苦しい練習でも母の気持ちを思い出し、乗り越えたのでしょうね。グローブが現存することがその証拠ですよね。そのグローブを見ただけでも、入館料500円を払った価値がありました。ちなみに館内の写真はありません。一人で受け付けしていた、きれいなお姉さんに「撮影は可能ですが、SNS等での拡散はお控えください」と言われたので、おっさん、守っています!

 倉敷美観地区、予想以上にすばらしく、心地よい時間が過ごせました。駆け足だった金田一耕助とは違い(笑)、ゆったりとした時間を過ごせました。ありがとう。

 歩いて倉敷駅へ戻る途中、こんな看板が目に飛び込んできました。「波照間」。こんな街並みで沖縄に出会うとは。しかも日本最西端の有人島!

 裏に回るとこんな感じ。ネットで検索すると、沖縄料理と沖縄民謡が売りの居酒屋のようです。さすがに行きませんでしたが(笑)。もし、オーナーさんがウチナンチュなら、ぜひ頑張っていただきたいものです!

 気持ちよいウォーキングのあと、倉敷駅に到着。ドトールで軽めのランチ(82㌔だけは超えないぞ!)。ドトールに入ると、いつも思い出すことがあります。8郎の姉妹が高校時代に生計を助けるためにドトールでバイトをしていたことです。一人旅はいろんなことを思い出させてくれます。

 いよいよ、金田一イベントへ向かいます。目的駅は清音駅(きよねえき)。この駅自体が、横溝ファンにとって一つの聖地なのです。なぜなら、金田一耕助のデビュー作である『本陣殺人事件』で、金田一が初登場する駅がこの清音駅だからです。横溝は実際にある駅を金田一の記念すべきデビューの場に選んだのですよ。

 電車が来た、いざ、 清音駅へ。金田一耕助のふるさとへ!

 清音駅から始まる「1000人の金田一耕助 コスプレイベント」の模様は後編でお伝えします。

 表題通り、8郎の幼いころのヒーローである金田一耕助の記憶とともに、歩きまくった聖地巡礼となりました! 


33年前の伏線

2019年11月22日 | 読書

 おまたせしました。不人気カテゴリー「読書」です(笑)。読書の秋ということで、お許しください。

 ご紹介するのは3冊ですが、まずは下の2冊から。

 『海峡に立つ 泥と血のわが人生』(小学館 1760円)です。陰のプロ調停人などを意味するフィクサーとして、戦後最大などと怖れられた許永中(きょ・えいちゅう)氏の自伝です。新聞の書評を読んで面白そうなので買いました。大阪の、いわゆる被差別に生まれた在日韓国人の男がアンダーグラウンドの世界で暴力と謀略でのし上がっていき、政財界のフィクサーとして暗躍、戦後最大の経理不正事件とされる「イトマン事件」などで逮捕、以後転落するまでの過程と内実を描いています。

 政財界、暴力団の裏歴史だけでなく、大阪に根付く被差別、朝鮮人の歴史に触れることができます。被差別は朝鮮人が悪いわけでなく日本の国策がもたらした結果です。沖縄でとは集落的な意味合いで使いますが、8郎も、本土では「」という言葉を使ってはいけない、と父から聞かされた記憶があります。その「差別」という今に続く負の歴史を、当事者の生きざまから多少理解することができました。犯罪の温床には貧困と差別があるのです。

 もちろん、あくまで自叙伝なので自分のいいように書くことができる、という意味で内容が事実とズレている可能性も否めません。そして犯罪は犯罪でしかなく、美化されることではありません。とはいえ、生きるか死ぬかの世界で、なにがあっても負けじ魂と根性、そしてあの手この手を使って図太く生き抜いてきた許氏のエネルギーには、同じ男として脱帽せざるを得ません。許氏は、韓国での服役を希望したことによって日本での永住権を失ったようですが、韓国で今なお健在で、日本のメディアにもよく出ているそうです。

 お次は『最強に面白い! 統計』(ニュートンプレス 858円)です。現在勉強中の中小企業診断士試験をいつか合格した後に、もし時間的に余裕があるなら本格的に学びたいと思っているのが、簿記1級か、IT関連、そしてこの統計学なのです(外国語はAIに一任いたします。しょせん語学ですから。時間をかけてこなくてよかったと心底思っています)。歴史的に卑下されてきたという統計学は、今やビッグデータ活用の時代に必要とされている学問なのだとか。この本はイラストを交えた初心者向けの内容で、保険会社の計算法、世論調査のからくりなどを分かりやすく教えてくれます。そして中小企業診断士試験にも出てくる標準偏差などをとても分かりやすく解説してくれています。出退勤のバスの中でパラパラめくっているだけですが、買ってよかったと思える本です。統計に興味があるというマニアな方はぜひ。

 

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 さて、最後にご紹介するのが、今回のメインである『八つ墓村』(1949年初出。1971年に角川文庫化)です。

 いきなりジャンルが変わってすいません。先の2冊は露払いにすぎません(失礼)ので。作者は日本推理小説の巨匠、故・横溝正史(よこみぞ・せいし)です。

 『八つ墓村』を読んだのは33年も前の中学校1年生のころだと記憶しています。古本屋で購入。鉛筆で80円と書かれていたのを覚えています。もちろんカバーもついていませんでした。上写真は、このほど、妻にツタヤで買ってきてもらった新しい文庫本です。836円と33年前の10倍以上の出費となりました(笑)。

 小雨の音を聞きながら、一人畳み間で寝ころんで読んだ2時間、一気に横溝ワールドへ引き込まれました。体中が熱くなる、うなるくらい面白い、というのを初めて体感しました。一冊の本の世界観にぐいぐいと引き込まれたのは、人生であのときがMAXですね。

 この本のどこが素晴らしいかを語ると、一日かかりそうなので、ざっと挙げさせていただきます。興味のない方はここでページアウトをお願いいたします。

  以下、ネタバレ注意 

 まずは横溝氏のみが創作しうる唯一無二の世界観ですね。古い風習が残る小さな農村で起こる惨劇、という舞台設定は、後世の作家に大きな影響を与えました。余計な雑念、しがらみを排除し完成した世界をつくるために必要な条件だったのです。特にこの『八つ墓村』を含む『獄門島』『犬神家の一族』のBIG3をはじめ、おりんさんで有名な『悪魔の手毬唄』や金田一耕助デビュー作の『本陣殺人事件』などは、海外作家含めても唯我独尊の世界観です。

 そして、伏線の置き方のすばらしさに象徴される、しっかりとしたプロットです。おどろおどろしい点ばかりが強調される同氏の作品ですが、それらはただのホラー要素ではなく、ストーリーの骨格を支える大事な土台なのです。『八つ墓村』でも冒頭で語られる戦国時代の8人の落武者惨殺から続く怨念の歴史は、読み進むにつれて分かりますが、世界観をつくる上で必須の仕掛けなのです。こまかい伏線、ミスディレクションも本格推理作家の面目躍如です。

 キャラクター創作も際立っています(金田一耕助はいわずもがななので省略します)。

 まずは何といっても、実際に岡山県であった30人殺し(津山事件)の犯人をモデルとした田治見要蔵。横溝氏が、この事件と“目くらまし殺人”というトリックを結び付けたら面白いのではないか、と考えた時点で、大傑作の誕生は8割決まっていたといえるでしょう。村上春樹氏より先にノーベル文学賞を贈呈したいものです。田治見要蔵の頭に懐中電灯を巻き、猟銃と日本刀を抱えた姿は、ハリウッドの「13日の金曜日」のジェイソンに匹敵する恐ろしさです。まさに泣く子も黙るキャラクターです。作中でも行方不明のままにしておき「こいつが犯人ではないか」と憶測させる横溝氏のテクもいいです。

 一方、登場回数は少ないものの、そのインパクトの大きさから、田治見要蔵と並び「八つ墓村」を代表するキャラクターといっても過言ではないのが、かにはんりた(沖縄方言で「ぼけた」)老婆こと、濃茶の尼(こいちゃのあま)。映画版の『たたりじゃ』のフレーズはあまりにも有名(原作にそのセリフはありません)。『リング』の「貞子」が出てくるまで日本映画を代表するホラーアイコンだったのではないでしょうか(それにしても横溝氏は物語のターニングポイントにおける特異キャラクターの出し方がうまい!)

 田治見要蔵の伯母に当たる小竹、小梅の双子の老婆も怪奇すぎます。鍾乳洞を二人並んでランプをもってつぶやきながら並んで歩く姿は、こっけいであるだけに鳥肌が立ちます。

 前半でヒロイン役を務める謎に包まれた美女、森美也子。思春期の入口にいた中学生8郎も、主人公の辰弥同様、年上のきれいなお姉さんにぐいぐい引っ張られる展開にドギマギしたものです。一方で、仏頂面かつ無口で何を考えているのかわからない里村慎太郎。この二人の触れたら壊れそうな関係性の行く末も好奇心をくすぐられます。 

 また、登場シーンでは主人公の寺田辰弥に「わたしはひとめその顔を見た時から、醜い女だと決めてしまった」とまで屈辱的な形容をされた里村典子。連載の途中で横溝氏の気が変わったのか、それとも商業主義的にしたたかな編集者のアドバイスなのか(笑)、ページをめくるごとに可愛くなり、ついにはヒロインの座に収まる過程はかなりの違和感がありますが(笑)、ハッピーエンドに欠かせない存在となります。ちなみにこの典子は、辰弥とともに崩落によって閉じ込められた宝の洞窟で、自分たちが気を失って発見されたときに、発見者によって宝を持ち逃げされないようにと、穴を掘って大判を隠しておく、将来を見据えたしっかり者です。中学生8郎も、いつかこんなしっかり者の奥さんを見つけたいと思ったものです(笑)。

 クライマックスの舞台となる鍾乳洞の神秘的な美しさ、怪しさを描く描写力もハンバないです。ハリウッドの巨額マネーによるCGで描こうとも、決して勝てるはずのない、「鬼火の淵」などの怪しげな光景が、33年前に中古本を読んだだけの8郎の脳裏に今も鮮明に焼き付いていますので。

 その洞窟の暗闇の中で犯人に追われ殺されてしまう姉の春代。死に際に駆けつけた辰弥に対する命を懸けた告白には涙が止まりません。さらには勘違いから辰弥を犯人だと思い込んだ村民の集団狂気。ヒリヒリ感も最高潮に達します。 

 最後は8人の落武者が残した宝物伝説まで! まるでジェットコースターのような怒涛の展開です。洞窟の天井が崩落するくだりでは、辰弥とともに中学生8郎も気を失いそうになりました。

 そのクライマックスジェットコースターが止まったあと、金田一耕助が静かに謎解きを始めます(『八つ墓村』の圧倒的な世界観においては金田一ですら脇役でしかないのです)。犯人は途中から大方予想できるものの、そのトリック、動機には驚き、悲しまされます。そして横溝氏がいくつものヒント、伏線を張っていたことにも、また驚かされるのです。

 愛する人に愛していると素直に伝えきれないのが人間の弱さ。そこにはプライドがあるからでしょう。この壮大な伝奇ミステリーを解く鍵は人間の心の弱さにあったのです。

 そして、作品の素晴らしさを語る上で外せないのが、最後の章見出しにもなる「大団円」。当時意味が分からず辞書で引いたところ、読後の8郎の心境を言い得ていたので感動しました。「小説・劇などの終わり、最終のこと、特に最後がめでたくおさまること」だそうです。小説の最後の一節はまさに鮮やかな大団円を表していました。陰惨で悲しい事件でしたが、なぜか素晴らしいカタルシスがあるのです。

 こんな面白い小説、もう二度と出会わないだろう、そう思った中学1年生8郎のピュアな感動。33年たった今、その感動は正解だったと言い切ることができます。あれ以来、読書でこんな感動と興奮に出会ったことはありません(あえて言うなら海外小説『赤毛のアン』(モンゴメリ作)でしょうか)。

 小説や映画など爆発的な人気が出た作品には続編ができる場合がありますが、『八つ墓村』に関しては絶対にありえないでしょうね(もちろん横溝氏が生存していたらの話です)。なぜなら「大団円」が示す通り、謎がすべて明らかになり、壮大なストーリーは完璧に完結したからです。

 

 映像化に関しては、巨匠野村芳太郎(1977年)と市川崑監督(1996年)らが映画に仕上げました。名優・山崎努演じる田治見要蔵が桜を背に日本刀をもって走ってくる絵や芥川也寸志作曲のテーマ曲は映画ならではの迫力があります。しかし、横溝氏の筆力による世界観を最初に体感したものからすれば、両巨匠の強烈な映像美でさえも、『八つ墓村』の魅力を伝えきれていない、と思ってしまうのです。

 文庫本の紹介文では「現代ホラー小説の原点」とありますが、正直違うと思います。前述の通り、ホラー映画ばりのおどろおどろしいストーリーの背景には横溝氏の執念であるトリックと人間の愛憎劇が秘められているのです。ホラー映画の世界に大団円はほとんどないですし、そもそも目指しているところが違うのではないかと。横溝ワールドは、怪奇浪漫をてんこ盛りしているものの、ベースは間違いなく質の高い推理小説、そして重厚な人間絵巻です。 

 

 横溝氏に関しては、著作物だけでなく関連本も読み漁ったので、人物像も多少は知っています。

 戦後に推理小説家としては名をはせた横溝氏ですが、推理小説は「純文学」界から常に「通俗小説」として下に見られ、悔しい思いをしていたようです。さらに、その後、高度経済成長に合わせるように登場した松本清張氏による推理小説が、「リアリズム」「社会派」と文学的に高く位置づけされたのに対し、横溝氏や江戸川乱歩氏らの過去の作風は“お化け屋敷”と卑下されるようになっていくのです(横溝、清張の両氏を敬愛する8郎からすれば、どっちも素晴らしい!としか言いようがないのですが)。横溝氏は苦悩と不遇に満ちた20数年を過ごすことになります。地道に創作活動は続けますが、売れなくなっていきます。8郎もその時期の作品はほとんど読んでいません。

 しかし、本物は死なず、です。1976年に角川映画が『犬神家の一族』を映画化した(よくやった!)ことにより、再びブームが再燃。その後、『八つ墓村』も映画化され、日本中が『たたりじゃ』のフレーズとともに横溝ワールドに浸ったのです。ブーム再来を受け、御年70歳を超えていた横溝氏の作家魂にも再び火が付き、事件解決に20年もかかる上下編の超大作『病院坂の首縊りの家』と、『八つ墓村』と『獄門島』を足して2、いや4(笑)で割ったような『悪霊島』(キャッチフレーズ「ぬえの泣く夜は恐ろしい」も有名)も描き上げました。2作とも謎解き度は落ちましたが、色欲ドロドロで重厚な人間ドラマを壮大に描き上げています。同時に『病院坂~』は金田一耕助最後の事件となりました。一ファンとしても自分の中の小さな歴史が完結したようで、これまた中古本で完読した当時中学生の8郎も何とも言えない感慨、空虚感に包まれたものです。『悪霊島』が映画化された直後に国民的作家・横溝正史氏は亡くなりました。よって『悪霊島』が遺作となります。

 3冊紹介と書きましたが、おまけの1冊を。AMAZONで購入した『金田一耕助 完全捜査読本』(宝島社 1200円)です。全77件の事件の詳細解説や、横溝氏の作品のほとんとカバー絵を担当したイラストレーターの杉本一文さんのインタビュー、そしてファン垂涎の創作裏話など載っています。この内容で1200円は安い。

 ところで、今回の新品では、新しいイラストレーターさんがデザインしているのですが、正直、なんじゃこりゃ、です。「八つ墓村」の魅力を何も伝えていないですね。金田一の横顔をポップに描いていますが、前述の通り「八つ墓村」における金田一はあくまで脇役なのですよ! ま、「若い人向けに」と若い編集者の依頼なのでしょうが。元祖イラストレーター杉本氏の作品集に関してはネット上にリストがあったのでご参考までに転載します。複雑怪奇なストーリをものの見事に一枚の絵にしています。これぞカバー絵です。個人的なベストは『獄門島』ですね。

 『杉本一文のカバー絵』 

 杉本氏のインタビューに関しても、運よくネット上にもあったので、お暇な方はご覧ください。「実は横溝先生の本をあまり読んでいない」には衝撃を受けましたね(笑)。あれだけの世界観、原作をほとんど読まずに、どうやって描けたの? そのあたりも面白いです。

 『杉本一文インタビュー』

 

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 いろいろ熱く、そして長く、書きすぎました。不人気カテゴリーになるのも当然ですね。ここまで読んでいただいたマニアの方に御礼申し上げます(笑)。そろそろ終わります。 

 最後に話はちょっと脱線しますが、映画版金田一耕助のアイテムの一つに旅行用トランクがあります。実は映画で金田一が利用しているトランクは、演じた石坂浩二氏の私物だったようです。・・・

 ・・・そんなどーでもいいトリビア(笑)はともかく、8郎家もこのたび、一人用のトランクを購入しました。

 さて、なぜ、33年も前に読んだ作品を今さら過剰な筆量で紹介するのか、はたまた新しいトランクを買ったのか。それには理由がありまして。

 機会あれば、後日報告いたします。大したことではないので報告しないかもしれませんが(笑)。

 いろいろ謎と伏線を残したところで、今日はこれにて。

【注記】けっして田治見要蔵のように日本刀と猟銃をもって外に飛び出すわけではありません(笑)。安心してください、かにはんりてませんよ!


仲間とつかんだ秋

2019年11月19日 | 学童野球

 秋の満月が輝くこの頃ですが、まだ長袖おことわりの暑がり8郎です。でも、日に日にかりゆしウェアの仲間は減っていますね。

 お次も満月・・・ではなく、丸刈りにした愛息10郎の後頭部です(笑)。所属する少年野球チームでCクラス(小学4年生以下)の2度目の公式大会に向け、気合を入れたのです。

 さて、その公式大会を前に、素晴らしいイベントがありました。なんと、永遠の野球少年8郎の永遠のヒーローである清原和博が、浦添まで来て野球少年たちと触れ合う、というのです。そして、愛息10郎のチームも参加するというのですよ。うらやましい~。でも8郎は仕事~(泣)。

 LINE(このほどYahoo!との提携が発表されましたね。世界的なプラットフォーマーになってくれるでしょうか)で妻が送ってくれた写真には画像が粗いものの、清原の姿が!(白ひげ)。見たかった~。

 田代まさしや沢尻エリカの薬物逮捕が最近あり、清原への視線も世間的にはまだ冷たいものがあります。しかし、野球を通じた仲間が、全国にはこれだけいて、清原のユニフォーム姿を喜んでいるのだと感じてくれたら、1ファンとしてもうれしい限りです。

 ご参考までに、11年前の清原の現役引退時に8郎がUPした記事を再UPします。清原へのリスペクトが行間ににじんでいませんか。それにしても11年経っても8郎の文章力は全然上達していないなぁ(笑)。 

 『勝手に清原論』(2008年10月8日)

 

 さて、清原と別れを告げた野球少年たちは午後は大会です。清原のおかげで試合時間が1時間に短縮されました(笑)。しかし、これが結果的に10郎らのチームに有利に働くことになるのです。清原、ありがとう~。

 前回に続いて背番号2をもらった10郎は4番ファースト🔥の大役。まさに西武ライオンズ黄金時代の清原と同じポジションです。父はイチロー、松井や柳田のような、左打ちで攻走守ともに一流の選手をイメージしているのですが(笑)。 

 仕事の8郎は、妻からのLINEによる動画配信を楽しみに、寂しく業務パソコンに向かいます。

 この大会は3チームによるリーグ戦です。ここを突破すれば決勝進出です。

 さぁ、初戦の相手は、戦力的にどっこいどっこいの。1回表にいきなり満塁のチャンスを迎えます。仲間たちがチャンスを作って4番10郎につなげてくれたのです。10郎はファーストゴロでしたが、相手のエラーもからみ、先制の2得点。4番打者の最低限の仕事をしました。これで、肩の力が抜けたのか、次の打席は内角の球を思い切り叩き、右中間へ正真正銘のタイムリーツーベースを放ったのです! 父子鷹(古)で模索したバッティングフォームが形になったので、8郎も感動しました。

 画像は妻が送ってくれた動画から切り取ったものなのでかなり粗いですが、親ばか御免で記念にUPいたします。

 試合は10郎だけでなく仲間たちも大活躍し、見事、公式戦初勝利を飾ったのです。

 そして、2試合目はこれまで勝ったことのない優勝候補の一角。ここで勝てば決勝進出の大一番です。残念ながら、10郎はいい働きはできなかったようですが、仲間たちが猛攻し先制。優勝を狙うのちびっ子たちも意地を見せ、最終回裏(と言っても3回。笑)に1点差まで追い詰められたようですが、抑えに抜擢されたR君が炎のストレートで火消し。清原効果で時間切れとなり、見事、初の決勝進出を果たしたのです。よくやった! そして、おめでとう、ちびっ子ナイン!

 チームメートでもあり競争相手でもある仲間たちの切磋琢磨が勝利につながったのでしょう。

 妻をはじめお母さん連中にも涙があふれていたようです。チームで1人4年生のキャプテンT君も責任感から解放され泣いていたようです。子供たちの汗と涙ほど、親にとってうれしいものはありません。 

 さて、来週予定の初優勝を懸けた決勝戦は「死のリーグ」を勝ち上がってき強豪。しかも4年生主体らしいので、大苦戦必至(清原効果もありません)ですが、子供たちの無限の可能性を信じて、応援したいと思います。8郎もその日は休みなので!

 10郎、仲間たちと力を合わせ、もっと大きなものをつかむんだぞ! チバリヨー。


首里城が消えた秋

2019年11月05日 | その他

 2019年10月31日未明。沖縄のシンボルともいえる首里城が本殿から発生した火災によりほぼ全焼しました。

 寝坊助8郎は興奮する妻に起こされて、自宅ベランダ、いやテラスから撮影しました。遠くて火の手は見えませんでしたが、黒煙が那覇市内を覆っていました。さすがに背筋が寒くなりましたね。

 首里城はかつて琉球王国という独立国家だった沖縄のシンボルであることは間違いありません。同時に琉球王府による県内離島などへの圧政のシンボルでもあります。だからこそ、民主主義を学ぶ上で大きな歴史的価値があるのだと言えます。首里城が一夜にして消えたことで、多くのウチナ―ンチュの心にいろんな意味で大きな穴が空いたはずです。

 とはいえ、首里生まれ首里育ちでもない8郎個人的には、大きな人的災害とならなかったこともあって、特段の感傷は続きませんでした。。。沖縄戦で米軍による攻撃で4度目の焼失をし(日本軍が城の地下に陸軍第32軍総司令本部を造ったからです)、戦後再建された建築物だという事実もあるでしょう。同時に、教科書やメディアを通じての接触は多々あるが、実は人生で1、2回しか足を踏み入れたことがないというリアルな親近感の薄さもあります。さらに莫大な国家予算で歴史上5度目の再建をすることがほぼ決まったようなので、であれば、それに派生する雇用が生まれる、経済効果がある、ということを考えれば、経済ベースでの物理的損失はそんなに大きくないのかな、という気もするからです。

 ただ、愛息10郎に地元の世界遺産を一度も見せることができなかったのは、ウチナ―ンチュの親として無念でもあります(実は本殿など復元部分は登録外だそうですね)。再建完了まであと少なくとも10年はかかるだろうなぁ。

 多くの人命はもちろん貴重な文化遺産まで確信犯的に一夜にして消してしまう“戦争”こそが人類最大の罪なのですよ。首里城焼失で、改めて思い知らされました。

 

 首里城が消えた朝もそうでしたが、11月に入った沖縄はほぼ秋晴れです。暑がり8郎はクーラーにまだお世話になっていますが。

  食欲の秋ということで、おいしゅうございましたシリーズです(通年やっていますが)。店名は明かせませんが、那覇市内のとある喫茶店のオムライスです。おいしい上に700円と良心的価格。さらにコーヒー、デザートが付いてきました。101回目のダイエットを誓う46歳、この店に連れて行ってくれた同僚を逆恨みする次第です(笑)。

 サンエー系列「かつ乃家」カツ丼&沖縄そばセット。両方ともおいしゅうございました。おかげさまで83㌔台を堂々キープ。早く痩せろ!

 運動の秋でもあります。愛息10郎の小学生3回目の運動会がありました。名護からじいじばあばも観戦に来てくれました。注目のクラス対抗リレーでは、先頭ランナーが転倒したために、3番手でバトンを受け取りましたが、全力疾走で前の2人をかなり追い詰めました。結果、逆転優勝に大きく貢献したのです。父8郎が愛機D300で写した1枚には、予想以上に男らしい走りを見せる10郎がいました。

 年々力強くなる息子の激走に家族一同心温まりました。妻とばあばが早朝から作ってくれた弁当もおいしくいただきました。

 少年野球も、今年最後の冬季大会に向けて練習試合に熱が入っています。8郎もコーチとして極力参加するようにしています。この前はC(4年生以下)チームで初の先発をまかされ、3失点したものの、練習してきたフォームは格段によくなっていました。マウンド上の落ち着きも出てきて、直球の威力でいうと同年代で一番です。B(5年生以下)にも端くれとして出場させてもらいました。まだまだですが今後に期待です!

 セルラースタジアム那覇で行われた侍JAPANとカナダ代表の親善試合も観戦してきました。

 ホームランこそ見れませんでしたが、坂本勇人選手(残念ながら絶不調)や大好きな松田宣浩選手を見ることができ、10郎も喜んでいました。チケットをくれた上司に感謝です。

 食欲と運動に関しては、少々摂取過剰な秋かもしれませんね。 

 読書の秋については次回のテーマとさせていただきます(8郎の独断と偏見が入り混じるからか不人気カテゴリーです。笑)。今日はこれにて。