沖縄 8 Scene

沖縄で生まれ沖縄に生きる
      8郎家の日記

10郎、10歳になる

2020年04月29日 | 10郎

 新型コロナウイルスの感染が下火にならないまま迎えた2020年の大型連休。毎年恒例ですが、8郎家はこの連休中に一年で一番のイベントを迎えます。それは、奇跡的にも同じ日に生まれた妻子の誕生日です。妻は4●歳に、そして愛息10郎はめでたく10歳になりました! 下写真は、生誕10周年と、自らの誕生日を祝い、妻自らが飾り付けたものです。二人とも、おめでとう! 健康で迎えられたことに感謝です。

 あの日から10年が経っていました。10年前の今頃、新米パパになった8郎の記録です。

OGPイメージ

人生最高のプレゼント - 沖縄 8 Scene

4月●日。ついに、この日がやってきました。ハチロー夫妻の待望の第一子ジュウロウ(仮名)が生まれたのです。12時間におよぶ陣痛と闘った末に残念...

人生最高のプレゼント - 沖縄 8 Scene

 

 資格試験勉強中の8郎なので、誕生会の準備は設営、買い出しすべて妻自らがやっていました(謝)。 

 夫として父として少しでも感謝の気持ちを表そうと、8郎は妻が親戚の肉屋さんから購入してきた牛肉を調理します。400㌘の分厚いやつです。浪人生時代にステーキ屋でコックのバイトをしていた8郎。焼くのはそこそこ手慣れています。もちろん、おしゃれむにーして香草ローズマリーも使います。

 完成です!

 10年間ですっかりお兄ちゃんになった10郎。漫画とゲームと野球が大好きなメガネっ子としてすくすく成長中です(父の物語はまだ卒業できていません!)。けして偏らず多くの友達をつくり、世の中の事象のど真ん中にいる人間になってほしい、そういう願いから付けた名前にプレッシャーを大いに感じて(酷)、これからの自分の道をまい進してほしい。400㌘の肉を完食し、ピザも4ピース食べたから、きっとできる! やればできる!🔥(by「球速150㌔芸人」ことティモンディ高岸)。

 浦添市内の人気ケーキ屋『MAXIM』で妻自らが購入(謝)してきたバースデーケーキ🍰を二人で消灯。おっと、今年11歳になるくまのプーさんを忘れてはいけません(笑)。男子アイススケート金メダリストの羽生結弦さんなみに兄貴分のプーさんが大好きな10郎です。

 10郎、君のおかげで、父さんと母さんの10年はと~っても充実していたよ。ありがとう。

 お二人さん、これからもよろしくね。

 今回の話題はそれだけです(謝)。今日はこれにて。


コロナがのばす

2020年04月23日 | 映画

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍首相から全都道府県に対する緊急事態宣言が出されました。感染拡大防止に効果を期待したいところですが、一方で経済不況、自粛ムードにさらなる追い打ちをかけることは間違いありません。世の中、今後どうなるのか、全く見通せず、不安だけが募りますね。

 昆虫嫌いの方には申し訳ありませんが、下写真はべランダの洗濯物にとまっていたウリハムシ。農作物の天敵です。小学生のころ、母方のおじいが栽培していたゴーヤーによく止まっていたのを思い出して、パチリ。それにしても、よく8階まで飛んできたね。父方の祖父とは違って、無口で穏やかで優しかった母方のおじいの面影も思い出しました(優しすぎたゆえに宗教に洗脳され、ばらばらになる家族をまとめることができなかったのですが)。8郎の40年前の悲しい残像を残して、ウリハムシ君は羽を伸ばしてどこかへ飛んでいきました。

 下写真は先日届いた免許更新のお知らせです。家族でのドライブ以外ほどんと運転をしなかったここ数年の効果が表れました(笑)。久方ぶりのゴールドです。今回こそ30分講習で終われる! と思ったのもつかの間、この更新作業もコロナの影響で延期となりました。実施時期は未定だそうです。

 こちらは延期どころか中止となったイベント。3回目の出場を申し込んでいた第10回古宇利島マジックアワーマラソンです。参加料4500円は戻らないものの、主催者からこのような返礼品が郵送されてきました。記念Tシャツ、タオル、メダルのほか、図書カード(千円分)と地元産の黒糖です。4500円を出してこれらを買うかと聞かれたら「絶対買わん」と即答しますが(笑)、こればかりは誰も責めることはできません。主催者のみなさんも大変だったでしょう。ありがたく頂戴して来年に期待します。考えてみると来年も10回大会と銘打つはずなので、実際は東京五輪と同様に延期と考えたほうがよさそうです。

 さて、コロナの影響で学校の休校も大型連休明けまで延びました。春休みから含めると1カ月以上も在宅となり、野球はもちろん友達と遊ぶこともできない10郎です。あまりにすることがなくなると、父の部屋に来て父の勉強を妨害します。散髪してないので髪が伸び放題ですね。このままでは、リアルに「のび太」になってしまうぞ~。

 そんな愛息ですが、宅シネマでハマった映画があります。『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』です。8郎が学生時代に公開された元祖『ジュマンジ』の後継シリーズのようです(コンセプトはかなり変わり、いい意味で換骨奪胎しています)。10郎は鑑賞中に身をよじりながら「きゃきゃきゃ」と大声で笑い、鑑賞後「おれもジュマンジ行きたい!」と畳み間で急にでんぐり返しをするほどでした。よかったな! 面白い映画に会えて。

 次作の『ジュマンジ ネクストレベル』も10郎的には同様に面白かったそうです。お子さんのいらっしゃるご家庭は、ぜひご視聴ください。ちなみに、何度か書いていますが、主役のロック様ことドウェイン・ジョンソンに似ているといわれる8郎です(ほかにブルース・ウイリス、ジェイソン・ステイタム等、ハゲごっつにはほとんど似ていると言われます。筋肉面では完全に劣っているので、みんな、頭だけを見て言っていることが分かりますね。こら)。公表196㌢のロック様はシュワちゃん引退後のアメリカのでかマッチョ信奉主義のよき後継者です。

 さて、179㌢の“ちびロック様”こと8郎様も、韓国映画の大ヒット作『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年、ヨン・サンホ監督)を宅シネマで鑑賞しました。評価が高いだけに期待も高まります。妻子が寝静まった深夜、イヤホンで鑑賞しました。

 

 結果から言うと、期待倒れの80点くらいでしょうか。そもそも、アジア人のゾンビって全然怖くないんですね(笑)。ちびロック様でも倒せそうなゾンビばかりなのでホラーの緊張感がまったくなし。また、主役のイケメン俳優の芝居があまり上手でないのも大幅な減点となりました。電車という密室でゾンビに襲われているのに、まるで重役会議への資料を忘れたサラリーマンくらいの緊張感しか出せていません(笑)。しかも、阪神タイガースの元エース藪にそっくり(これは関係ない)。余談ですが、アカデミー賞4冠『パラサイト 半地下の家族』の息子役(チェ・ウシク)がこれまた肌つやよい感じで出ていました。総じて高評価ではないものの、そんなにグロもなく、家族愛をうたう内容なので、家族で楽しめる映画だとは言えそうです。

 

 そんなコロナ下で、酒場ののれんもくぐれない日々(試験前なのでそもそもくぐりませんが)。家飲みをちびりちびりやっています。イカの缶詰とサッポロのゴールドスター。合わせて400円程度です。

 たまの週末にはウイスキーにも手を出します。ウイスキーはアイス、水でのばしたとしても、日本人にはちょっと強いですね。つまみには淡泊な枝豆くらいがちょうどいいです。ところで、下写真右上に写っている小さなウイスキーボトル(スキットル)は出どころ不明の一品です。いつの間にか8郎家に居座っていました。心当たりとしては、友人のTら~がいつかの機会に置いていったのか・・・。出所を知っている方、教えてください(笑)。レミーマルタンと打たれています。

 さて、7月の試験本番まであと80日を切りました(怖!)。この試験日程はいまだに延びる様相がありません。時間だけは平等だ、と自分を信じてラストスパートをかけています。過去の参考書、問題集では太刀打ちできない科目については、新たに購入しなければなりません。下4冊で6000円ほどと、コロナ不況下の痛い出費となりましたが、仕方ありません。年間数十万年かかる塾を利用していないだけ、他の受験生に比べたらコストダウンしているとは思いますので。

 コロナによって、いろんいろなものが延びるなか、試験本番の得点も伸ばした、と言えるよう頑張ります! 

 

 それにしてもコロナ、です。調子に乗りすぎた人類に対する神のお怒りなのか、それともネット民がさわぐ中国武漢の軍事施設からの軍事ウイルス漏出なのか。庶民である8郎には分かりませんが、とりあえず家族で力を合わせて乗り切ろうと思います。

 みなさんもうがい、手洗い、目洗いを徹底してください。  

 今日はこれにて。

【追記】女優の岡江久美子さんもコロナでお亡くなりになったそうですね。63歳とまだまだ若かったのに残念です。美しく頭がよい、理想の妻、お母さん、というイメージの方でした。コロナって恐ろしいですね。決してなめてかかってはいけません。岡江さんのご冥福をお祈りします。


900里の奮起

2020年04月13日 | スキルアップ

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。今後どうなるのか誰も見通せない状況です。庶民である8郎には、家族の感染を防ぐこと以外、将来を見据えて一日一日を大切に生きていくことしか、今できることはありません。

 出勤途中の公園では沖縄県花であるデイゴの鮮やかなオキナワンレッドが青空に映えていました。今年も大きな台風来るのかな。

 休校中の10郎がひまを持て余しています(笑)。妻の会社が配慮してくれ、同伴出勤も可能にしていただいているのですが、なにせ妻も忙しいので毎日というわけにもいきません。一人だけ在宅もさせていますが、心配です。8郎も適時会社の休みを取り、面倒見ようかなと思っています。

 そんな愛息は妻と一緒に大人気漫画『鬼滅の刃』のプラ板を作りました。この工程で電子レンジを使います。こういうのが一人で家に置いておきたくない理由でもあります。

 同アニメをネットで鑑賞。その姿はまさに小さなおっさん!

 父8郎が出した宿題から逃げ、もはや倉庫と化した2段ベッドに隠れる始末。

 そんな10郎ですが、ある日、壁にこんなものを作っていました。いわゆる「野村スコープ」です。この今年2月に亡くなった名捕手であり名監督だった野村克也氏のアイデアというのは本当でしょうか?(違うような気がしますが。笑)

 愛息の、野球をやりたい、という気持ちの表れに心温まりました。

 早く学校再開してくれませんかね~。

 

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 さて、不人気カテゴリーの一つ、スキルアップに移ります。興味のない方はページアウトをお願いいたします。

 中小企業診断士1次試験の申込が始まったので、初日早々申し込み書を受け取り、翌日に申し込み料金1万3千円を振り込んできました。コロナウイルスの影響による延期を懸念したのですが、当初通りの日程となりました(当初と言っても、そもそも今年は東京五輪の影響で1カ月前倒しされています。五輪が延期となった今も8月に戻さない理由はなんなのでしょうか? まぁいいけど)。

 資格試験の勉強時間は通算900時間を超えました。ひとつの目標に向かってかけている勉強時間としては、もちろん大学入試以来でしょう。1次試験だけで7科目あるので、もう一度大学を受けているようなものです。

 ちなみに宅建のときも書きましたが、8郎の勉強時間の算出はごく簡単で「この試験を受けるために消費した時間のほとんど」となります。つまり必ずしも机やPCに向かい集中してテキストに取り組んでいた時間だけではないのです(問題のプリントアウトや計画表の作成、ネットでの情報収集まで含んでいます)。なので、純粋な勉強時間というと実際はその9割、いや8・・・もしかすると7割(笑)かもしれません。なぜ、多めに算出しているかというと、もちろんかっこつけているわけでなく(かっこつけるなら逆に少なめに言うでしょうね。笑)、「この試験さえ受けなかったらほかのことに使えた時間」であることを肝に命じるためです。それだけ人生の貴重な時間を消費したので絶対に合格を勝ち取るんだというプレッシャーを自分に与えるためです。そして、その時間をなるべく効率的に勉強時間にフィードバックさせたいという気持ちからです。

 

 先日、当ブログの「850里の取捨選択」(2月9日記事)で書いた通り、今年の1次試験合格はほぼ絶望的と冷静に分析した上で、現実的な勝負に挑む意味から『企業経営理論』『運営管理』の2大重要科目は捨て、4科目合格を目指すと書きました。もちろん、基本的にはそういう戦略なのですが、YOUTUBEのある資格試験応援チャンネルを見て、奮起しました。戦う前から逃げるんじゃね~!ということです(笑)。

 たとえ合格点に至らない科目が複数あっても、この試験制度では「7科目で全体の6割420点」を取れば合格なのです(もちろん40点以上という足切りもありますが)。試験では何が起こるか分かりません。たとえ少ない可能性であっても、最初から見捨てることはないのです。ちなみに奮起させられたチャンネルはこちらです。

 そしてもう一つ。新型コロナウイルスによる自粛ムードは、受験生8郎的にはちょっとした追い風の側面もあるのです。10郎の野球チームも練習や試合が中止となり、土日の週末が空くからです。終日野球に費やすことは受験生としてはかなり不利な状況だったのですが、これも逆風下の応援歌と言えます(もちろん野球をしたい子供たちの気持ちを考えると手放しに喜べませんが)。

 やはり、合格を勝ち取る姿勢を捨ててはいけませんね。弱気ではだめです。ということで、あらためて言わせください(もちろん自分に向けて言っています)。

 

 今年で1次試験突破を目指します!

 

 いつの時代もやらなきゃならないと決めたときは、できると信じて進むことです。何より、そういう気持ちをもって努力し続けることだけが、たとえ途中で挫折しても、最終的には必ず結果につながるからです。頑張っても壁に跳ね返される虚脱感は宅建のときに免疫力を高めていますし(笑)。人生最後の資格勉強だと割り切って、自分を追い込まない程度の余裕をもって前に進みます。

 コロナの逆風を逆手にとって奮起し、7月の本番まで地道に頑張ります。試験までには到達できるであろう節目の千里(実際は800里?)を踏破したときに見える景色が、視界良好であることを信じて。引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします!


コロナは宅シネマ

2020年04月04日 | 映画

 今回のカテゴリーは久しぶりに「映画」なのですが、まずこの悲報に触れずにはいられません。

 

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 新型コロナウイルスに関して、多くの国民を悲しませる大きなバッドニュースが飛び込んできました。コメディアン志村けんさんの訃報です。死因はコロナウイルスによる重度の肺炎だったそうです。

 志村けんさんは、オキナワンポップの名曲「ハイサイおじさん」をパクった「変なおじさん」という国民的ギャグもあって、8郎らウチナンチュにもなじみのあるコメディアンでした(地元紙の記事で、作曲者の喜納昌吉さんに許可を取っていなかったことが判明!不謹慎ですが笑)。

 8郎は個人的にも志村けんさんに強い思い入れがありました。というのも、幼いころ「テレビはNHKしか見るな」と異常なまでに厳格だった父が、唯一見ることを許してくれた民放番組が『8時だよ!全員集合』だったのです。ヒゲダンス、カラスの勝手でしょ、アイーンなどなど。貧しく苦しい生活を強いられていた幼い兄妹3人にとって週末の最大の楽しみでした。父親はじめ周囲の大人がみな、いつもしかめっ面で生きている姿ばかりを見ていた8郎たちにとって、「大人ってこんなに面白いんだ」というカルチャーショックを与えてくれました。ただのお笑い番組ではありません。大人になることに夢を与えてくれた番組でした。日本中の子供たちが「志村、うしろ!」と呼び捨てにしたのも、志村けんを軽蔑していたのではなく、日本一親しみやすい大人だったからでしょう。そんな志村けんの頭をしばく浜田雅功にムカっとしていた8郎は変でしょうか(てめーはただ志村けんに乗っかってるだけあらにっていう!笑)。ダウンタウンの才能とパワーは認めますが、人を傷つけずに自分で笑いを取ったという意味では、自称天才の松本仁志も志村けんの足元に及ばないと思います(バカ殿のセクハラ要素は否めませんが・・・)。話が脱線しすみません。

 昭和、平成を彩った偉大なるコメディアンのご冥福を心からお祈りします。志村けんがもういないお笑い界なんて今でも信じられませんね。昭和がどんどん遠い過去になっていきます。

 

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 そんな悲報が訪れることを知らなかったとある平日。会社帰りの8郎はコロナによる外出自粛ムードの中 “あえて”の行動に出ました。それは、映画館に行く、です。決して暴挙ではありません。間違いなく人が少ない、というのを想定していたからです。目的は、昨年から世界の映画界の話題をさらった『パラサイト 半地下の家族』です。8郎が最もリスペクトする韓国の映画監督ポン・ジュノ氏の力作。外国語映画初のアカデミー作品賞という快挙だけでなく、4冠というおまけも付いてきました。すでにご覧になった方も多いでしょう。

 マスク着用で訪れた映画館内。8郎の予想は当たりました。半径2㍍どころか、10㍍周囲にも人がいませんでした(笑)。閉店ガラガラ状態です。このまま東京のように休館になってしまいかねない、というのも急いだ理由です。この映画だけは大型スクリーンで見たかったのです。ちなみに劇場内は10数人しかいませんでした。

 備え付けのアルコール消毒液でしっかり手をぬぐったあとは、感染個所として一番危険な喉もアルコール消毒します。アルコール濃度5%の液体が強力にのどを殺菌してくれました。金銭的理由から1杯だけだったのが残念。って。

 さて感想ですが結果から言うと、前評判が高すぎたこと、事前情報がかなり入っていたこともあって、「これまで見た中で一番!」「ポン・ジュノ監督の最高傑作」などという最高得点はつけられないものの、世界中の高評価に納得の完成度でした!

 早速、超シニカル映画評論家8郎(怖)による感想&超辛口分析です。なるべく核心のネタバレがないように書きますが、まだ観ていないという方はここでページアウトをおすすめします。

 まず、よかったポイント。それはもちろんテーマ設定です。名優ソン・ガンホを父親役に据えた「半地下」での生活を余儀なくされる貧困一家を主役に、格差社会という韓国の社会問題にストレート勝負します。ネタバレになりそうですが、地下でなく「半」地下、というコンセプトも大きな意味を持ちます。この設定の意味が明らかになる中盤の展開もとても面白いです。

 半地下家族を通して描く格差社会の矛盾、それが近い将来に何をもたらすのか、という問題提起。同時に、下には下がいる、ここまで進んでしまった社会構造を変えるのは非常に困難だという現実も突き付けます。金持ちは性格もよくなるが貧乏人は性格もやさぐれてしまう、貧乏人は自分より貧乏人を助けない、などという「言ってはいけない」的な部分にも正面から切り込みます。エンターテイメントとしての要素、コメディー、ロマンス、スリル、サスペンス、ホラー、エロチシズム、アクションも惜しみなく取り入れています。ジャンル分けができないほどのてんこ盛りですが、それが乱雑になっていない仕上がりが素晴らしい。

 状況設定も秀逸です。金持ち夫婦の豪華リビングでのいちゃつきを、半地下家族そろって隠れた豪華テーブルの下で一晩中聞かされる。そしてそこで金持ち夫から身分差別的なことを聞かされる父親ソン・ガンホの屈辱。大雨による浸水で半地下生活の人たちが家を追われ、公民館で寝食する中、災害とは無縁の高台の豪邸で開かれる誕生日パーティー。そして、金持ちのご主人様からパーティーの道化役として、公民館から着の身着のままで呼び出されるソン・ガンホ。いずれの場面設定も、高いところに住む人間と低いところに住む人間の格差を象徴することに成功しています。そもそも大雨が高台から階段を伝わって流れ落ち、半地下に浸水するシーンがまさにそうですが。

 役者たちもソン・ガンホはじめ、みなさんいい演技をしていました(ていうか三流役者は一人も登場しません)。家政婦役が北朝鮮のアナウンサーの真似をするところは抱腹絶倒ものです。中盤からの方向転換には引き込まれること間違いありません。全体を通して、同監督の傑作『殺人の追憶』ほどの圧倒的迫力は感じなかったものの、円熟期を迎えた?ポン・ジュノ監督の技が隅々まで施されている感じです。

 以上が高評価ポイントでした。

 お待たせしました(笑)。ここからは、超シニカル映画批評家8郎から恐怖の減点ポイントに入ります。ちなみに減点をするのは、いやがらせではありません。傑作だっただけに指摘したくなるだけです。つまり批評したくなるだけ傑作だったとも言えます(ややこしい)。

 すでに世界的名声を得ているポン・ジュノ監督だけに、若いときのギラギラ感?が薄くなっていたというのが一番でしょうか。ほとばしる情熱より芸術的な完成度を目指した的な・・・。具体的にいうと日本映画のようなスポンサーへの配慮的な部分を少々感じるようになっていました(あとで書く役者の肌つやというのもそういう意味です)。アカデミー賞受賞前後もアメリカのメディアに精力的に出演していたという同監督。そうなるとどうしても商業主義の影響力を避けて通ることはできません。次回作はあまり期待できないのかもしれませんね。人間、ギラギラ感がなくなったら、面白みもなくなります。 

 具体的な面では、貧困層の生活にしては主役家族の精神構造が比較的明るい、というのがまずリアリティに欠けました(8郎個人的にも「幼少時の俺たちよりいい生活ではないか」と思ってしまいます)。また、貧困生活にもかかわらず息子と娘の肌つやが良すぎるなど(役者も商品なので画面映えするためのメークアップなのでしょうが)など、シニカル8郎は違和感を覚えました。大雨による水害で下水道の汚水に浸るような目に合ったソン・ガンホを、翌日豪邸に呼び出した金持ち主人が臭いを指摘しないなど、ストーリーを進めるために時系列的矛盾をスルーしたシーンも散見します。 

 しかし、怒涛の急展開となる後半シーンでソン・ガンホが見せる怒りの表情は、貧しさの中でも陽気なキャラクターを崩さなかった父親が、実は重度のコンプレックスを心の闇として抱えていたのだということを浮き彫りにします。ほころびかけた脚本、物語進行をソン・ガンホの鬼気迫る演技力が強引に救った、と言えそうです。ラストシーンに関しては、過去の作品と似ている上に、その作品を超える迫力がなかったというのが、ただただ残念。過去の作品を見てない方は気づかないかもしれませんが。

 超シニカル批評家8郎的には、上記のように感じました。

 とは言え、貧困の連鎖、という社会問題に真正面に取り組み、「ハリウッドなんかより面白い映画をつくるぞ」という気迫に満ちあふれているのは間違いありません。どこかの国の『〇引家族』の数倍のエネルギーを感じます。練りに練った脚本がもたらす、最初から最後まで目が離せないというストーリー展開だけでも希代の傑作といえるでしょう。

 まだ見ていないという方はぜひ。映画館で見てきた8郎が言うのもなんですが、内容が濃いのでレンタルビデオのテレビ視聴でも十分楽しめます。(注)ただし、多少のエログロがあるので子供と一緒に見るのは避けた方がいいですね。

 

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 さて、映画といえば、BS放送にもお世話になっていることを、何度か当ブログでもご紹介してきました。ちょっと古めの名作がよく放送されているので、とりあえず録画しておき、時間があるときに自宅鑑賞しています。レンタルしようと思っていたものがタイミングよく放送されていたりするので、とてもお得感があります。その中でも特に印象に残った作品を数本紹介します。

 まずは『シンドラーのリスト』です。超有名なのでほとんどの方がご覧になっていることでしょう。スピルバーグ監督による1993年アカデミー賞7冠作品です。鑑賞までに四半世紀余を費やしてしまった自分を恥じました。

 シンドラーという人物が実際の偉人かどうかはどうでもいいことです。人間がこれだけの恐ろしいことをしてきたことを歴史に残しておかなくてはなりません。「血のにじんだお金はいらない」と監督料を受け取らなかったというユダヤ系アメリカ人スピルバーグ氏の執念がにじんだ歴史に残る傑作であることは間違いありません。劇中では助けることができなかった赤いコートの無邪気な女の子。その女の子の手を握る大人の手を作品イメージに持ってきたところに、スピルバーグ監督の思い入れを感じました。全編モノクロの世界であえて女の子だけカラーにした意味。弱いものを助けることができなかった人類共通の過ちを、映画という手法によって負の歴史遺産として残したのです。

 お次は『戦場のピアニスト』(2003年、ロマン・ポランスキー監督)です。

 こちらもナチスのユダヤ人虐殺をテーマにしています。フルカラーなので臨場感という意味では『シンドラーのリスト』を上回りますね。こちらもアカデミー賞作品賞受賞かつ3冠。車いすのおじいさんがナチスによってアパートの5階から投げ落とされるシーンはあまりにも衝撃ですね。『シンドラーのリスト』同様、簡単に人が殺されていくので、見ているこっちもマヒしてきます。その怖さも体感することができます。

 次はベトナム戦争を題材にした40年前の『地獄の黙示録』(1979年、フランシス・フォード・コッポラ監督)です。

 この映画は、まさに一人で部屋に閉じこもって観る価値のある映画だと思います。よく「何が言いたかったのかわからない」と評される難解な部分は確かにありますが、コッポラ監督の執念を感じることは間違いありません。主役のマーティン・シーン(『プラトーン』のチャーリー・シーンの父)が川面から顔を出す超有名なシーンなど、不気味だけど美しすぎる映像に圧倒されます。CGなんて使ってないのでリアル感がハンパないっす。世界観に引きずり込まれます。

 『シンドラーのリスト』がユダヤ人虐殺に対する怒りに満ち溢れているのに対し、こちらはベトナム人への贖罪という視点はあまり感じません。どちらかというと戦争という巨大なエネルギ―の虚無と、それに翻弄され狂っていく人間の心理を描いています。空爆の下でコーヒーを飲む、サーフィンをするアメリカ軍の余裕というかイカれた姿を現す有名なシーンは、のちの『アバター』等でもモチーフとして使われています。残虐な行為を指示する上層部は、血とは無縁の世界でボタンを押しているだけなのです。この作品でアカデミー賞作品賞を取れなかったことにコッポラ監督は晩年まで怒っていたそうですが、確かに不思議です。

【小話】同じくベトナム戦争がテーマの『プラトーン』を作ったオリバーストーン監督は実際にベトナム戦争の従軍体験があり、『地獄の黙示録』を観て、そのリアリティのなさに強い違和感をもったそうです。それで自分で脚本を書き制作したのが『プラトーン』だそうです。その主役に『地獄の黙示録』の主役マーティン・シーンの息子であるチャーリー・シーンをあてたのは巨匠コッポラに対する当てつけの意味もあったのでしょうか。こちらはアカデミー賞4冠に輝きました(賞が中身に比例するとは考えていませんが・・・)。

 

 ほかに『ファイトクラブ』(1999年、デビット・フィンチャー監督)も10年ぶりに鑑賞。有名などんでん返しは今となってはよくあるネタですが、若き日のブラピの魅力や、暴力社会への警鐘というテーマが色あせることはありません。

 これだけの名作群を宅シネマで見られるなんて幸せですね。

 

 

 さて、BS放送のメリットをお伝えしましたが、YOU TUBEにも、また違った面でお世話になっています。映画のあらすじをコンパクト(10分程度)に紹介するチャンネルがいくつもあって(著作権的にどうだろう?)、それを見ると、まるで2時間の映画を完見した気分になります。その中で一番引き付けられたのが、こちら『ゲットアウト』(2017年、ジョーダン・ピール監督)です。戦争ものばかり紹介してきたので、ここで一息お願いします。※下はあらすじチャンネルでなく公式予告サイトです。

 

 一息つけたでしょうか? それどころか、息もつかせぬ展開だったのではなかったでしょうか。家政婦の黒人女性が笑顔のまま涙を流しながら「No,no,no,no~!」と口走るシーンはサスペンス映画史に残るものとなるでしょう。女性の笑顔と涙はオチを知ったあとに余計怖さが増します! 8郎もレンタルして全部見てみようと思います。同監督の2作目『アス』も超怖くて面白いのだとか。もしご覧になったという方、おすすめ度を教えてください。

 以上、すべて有名作だけに紹介というのもはばかられますが、おすすめしたい一心でアップしました。

 例えコロナで外出自粛となっても、映画さえあれば、宅8郎的にはなんの支障もありませんね(経済的には直撃しそうですが)。今日はこれまたコロナの影響で野球もお休みなので、これまたナチス戦時下がテーマの家族愛を描いたイタリア映画にしてアカデミー賞3冠『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997年、ロベルト・ベニーニ主演・監督)を鑑賞しようと思います。8郎家と同じく夫婦と息子3人家族の物語です。シニカルおっさん、泣いてしまうかも。

 

 映画って本当に素晴らしいもんですね(by水野8郎

 

 そろそそ宅シネマが開演するので、今日はこれにて。