沖縄 8 Scene

沖縄で生まれ沖縄に生きる
      8郎家の日記

祝15年 アルプスの旅(3日目)

2019年10月20日 | 県外 8 Scene

 結婚15周年記念旅行3日目の朝が来ました。台風19号がこの日の夕方に長野県を直撃するということで、時間を大切しなければならない一日でもあります。雨天ではありますが、この旅最大のイベントである上高地散策へ出かけることにしました。10郎は元気いっぱい!

 部屋の窓からの眺め。アルプスの山が雲で見えません(泣)。

 

 フロントで長靴を借ります。

 一夜明けた「ルミエスタ」の外観です。まさに高原ホテル。赤川次郎や東野圭吾のホテルミステリーの舞台にふさわしいたたずまいです。

 早速、河童橋に向けて出発。風は強くないのですが、小雨はずっと続いていました。この雨水の蓄積があの大水害につながったのでしょうね。

 まずは名流梓川の様子を動画で。

 白樺の幹にレインボーの模様があったのでパチリ。

 途中にはこんな注意喚起文書が。怖いっす! 特に家族だけの道中では危機感を感じました。この砂利道でムーンウオークなんてできません。

 「河童橋」に到着。沖縄にいるときからライブカメラでチェックしていた映像とは違う暗い雰囲気です。そして、人がいない! 早朝というのもありますが、観光地とは思えません。

 上高地のシンボル奥穂高岳など、雨雲に隠れて見えません。楽しみにしていた妻に少しでも見せたかったのですが残念無念!

 普段は観光客であふれるところですが、この日は貸し切り状態です。

 はるばる日本アルプスまで来て雨に打たれるウチナンチュ母子。

 雨の河童橋の様子は動画もアップしますね。

 天然水の水道がありました。

 ありがたくいただきます。冷たい!

 上高地バスターミナルまで足を延ばします。 

 歩いて戻るのも難儀ということで、ホテルまでのバスチケットを購入。歩くためにアルプスまで来たのに。。。まさにウチナンチュ一家! まぁ、災害対策でもありますが。

 やっぱり、バスはらくち~ん。

 バスで5分、徒歩で10分ほどかけて、ホテルに戻りました。高原ホテルの朝食ブッフェが待っていました。川魚や山菜を使った山の幸メニューを中心においしくいただきました。

 昨夜のディナーと同じレストランですが、外からの光が入るとずいぶん雰囲気が違います。

 ついにチェックアウトです。とてもいいホテルだったので、本来なら天気のいい日に満喫したかったのですが・・・。妻は「最低でも2回入る」と意気込んでいた露天風呂に、疲れのため、結局1回しか入れませんでした。「いつかまた来ることがあったら2泊しよう」と誓いあった田舎者夫婦です(笑)。じいちゃん、ばあちゃんになった8郎夫妻を、10郎夫妻と孫たちが連れて行ってくれるかな。そんな幸せが訪れたら、8郎翁はいつ死んでもいいんじゃが。

 ホテルから10分ほど歩いて、タクシー乗り場へ。タクシーで、昨日レンタカーを止めた沢渡駐車場へ向かいます。運転手さんによると、この日の夕方に台風が最接近するため、この道はあと数時間で通行止めになる可能性が高いと。早めに脱出しなければ、今日は上高地から出られないだろうということでした(結論からすると危機管理的には脱出して正解だったのですが、旅行的には残ってもよかったのでは? と妻と今でも振り返ります)。

 途中でサルに遭遇。

 画像は粗いですが親子もいました。撮影のためにタクシーの運ちゃんが停めてくれました。母猿の目には、たとえ台風が来ても、おぶった子供を守るんだという決意がにじみ出ていました🔥

 レンタカーを置いてある沢渡駐車場に戻ります。下写真はお土産を買いに立ち寄った「グレンパークさわんど」です。

 沢渡からレンタカーを走らせ、2時間かけて松本駅まで戻りました。台風の影響は特に感じませんでした。。。。アルプスの壁が風を防いでくれたのでしょう。

 予定変更のため、どこに行こうか迷った挙句、少ない候補地(失礼)の中から、国宝の松本城を選択しました。近くにある松本神社で手を清めます。それにしても城下町だけあって松本市はゴミ一つ見つけるのが困難なほどきれいな街並みでした。ウチナンチュも見習いたいものです。

 壮観の松本城がありました。リアルなお堀を初めて見ました。

  松本城公園は広かったですね。遠近法を使って松本城を10郎が持ち上げます。

 母子二人で記念写真。愛機コンデジのSTYLUS TG-2の望遠機能をめいいっぱい使って撮影。高さ30㍍のお城が一気に近くなりました。

 さあ、お堀を渡って、いざ城郭へ。8郎も日本本土のお城に入るのは初めてです。忍者になる10郎。

 入口で濡れた靴やカッパを脱ぎます。 

 もちろん木造。巨大建築物を何百年も支え続ける匠の技がそこにありました。

 教科書でしか見たことがないリアル「鉄砲狭間」。

 火縄銃もたくさん。おや?小さなスナイパーがこちらを狙っていますね。

 鎧甲冑もありました。兵士の怨霊を感じます。20㌔あるそうです。10郎を背負って戦うようなものです。

 徳川家康と武田勝頼の決戦である長篠の合戦が描かれた絵? 屏風?も展示。ちなみにこの長篠の合戦、8郎らが教科書で習った織田・徳川連合軍vs武田軍という構図、また鉄砲が騎馬隊を破った歴史的合戦などという位置づけは、今や史実ではないと指摘されているようですね。歴史とはなんぞや、という感にもかられます。だからこそロマンがあるのでしょうが。

 急傾斜の階段(もはやはしご)を登り切り、ついに5階の天守閣へ。天守閣のさらに上には何があるのか、ずっと興味があったのですが、ついに分かりました。神棚です。命を懸けた闘いで殿様が最後に信じたのは神だったのですね。士農工商の頂点に立つ殿様に残された最終手段、それは神頼みだったのです。

 天守閣から見る城下町。8郎も殿様になった気分です。でも、「天下獲ったどぉー」的な気分にはなれませんでした。生きることに必死だった殿様の心情も分かるような気がして。。。人はみな何かに怯えながら生きているのです。

 

 降りるのも一苦労。雨による湿気で滑り落ちたら大けがをしそうです。

 出口では、謎のお侍さんが記念写真に応じてくれました。やったね。

 城を出ると、近くにある蕎麦と天ぷらの店「やまとう」でランチ。松本城に合わせた白黒の色調ですね。なんでも、食を通じて130年もの間、地域貢献している一族が経営しているのだとか(笑)。店が130年というわけではないようです。

 ミニ天丼と蕎麦のセット(¥1,350)を注文。天ぷらといい、そばのコシといい、沖縄では食べたことのない上品さでした。本土の人が沖縄に来て「飯がまずい」というのは分かる気もします。

 グルメ小僧も貪り食います。コンビニのそばとは違うね~。

 デザートはそば茶をつかったプリンだそうです。おいしゅうございました。ごちそうさまでした~。

 この日の宿泊先である「梅の湯旅館」に向かいます。何でも同じ松本市の浅間温泉♨という地域にあるそう。浅間と聞いて、「浅間山荘事件」と関連があるのかと調べたところ、事件の方は同じ長野県ではありますが、軽井沢方面で起こったようです。一方の浅間温泉は1300年の歴史があるれっきとした名湯だそうです。(アーケードは翌日撮影)。

 「梅の湯」に到着。古き良き和風の建物。青空から分かりますように、これまた翌日撮影。

  チェックインすると、宿のオーナー一族らしき男性が「キャンセルが相次ぎお客様はほどんといません。よくお越しになられましたね」と出迎えてくれました。確かに建物内は薄暗く人の気配がしません。結果的に妻は2組しか客を見なかったそうです。

 朝からの雨で10郎の靴がびしょぬれなので、一足買うことに。市街地へ出るというと、旅館が粋な下駄を貸してくれました。

 決まってるぜ!

 外はずっと雨が降り続けています。次第に台風らしくなってきました。旅館に戻る15時ごろにはかなり薄暗くなっていました。

 というわけで、悪天候もあって、なんとなく暗い雰囲気が漂っている旅館「梅の湯」。8郎的には敬愛する横溝正史ワールドを思い起こさせました(笑)。まずは8郎らが宿泊した部屋ですが、いかにも金田一耕助が泊まりそうな部屋です。灰皿は金田一が吸ったタバコであふれていてもおかしくありません。

 

  不気味だったのが、階段の途中にあった二つの謎のソファ。なぜこんなところに2つも置く!?  「八つ墓村」の双子の老女である小竹小梅が座っていそうではありませんか! さらに中央の小窓は、懐中電灯を頭に巻き日本刀を持った“32人殺し”こと田治見要蔵がのぞいてもおかしくありません。あまりに不気味だったので妻子には教えませんでした。

 階段はまるで「犬神家の一族」映画版で金田一耕助が駆け下りてくる那須ホテル(同じく長野県)のそれではありませんか。

 そして人っ子一人いない廊下。同じく「犬神家の一族」に登場する白いゴムマスクで有名なスケキヨが走ってきそうではありませんか!  

 などと考えていると、8郎の背中越しに、誰か近づく音が! 振り返ると…。

 金田一耕助でも明智小五郎でもなく、家と同じスウェットの10郎でした!

  冗談はともかく、部屋のふすま上部にあるこの謎の出っ張りにはリアルに困りました。175㌢くらいのところに設置されているので、身長約180㌢の8郎、5回もおでこをぶつけてしまったのです。何のためにあるんじゃ! まさか密室トリックの傑作「本陣殺人事件」のように、部屋から日本刀を抜き取る琴の糸でふすまを傷つけない役割を果たしているのか。。。思わずトリックをばらしてしまったおっさんを許してください。

 しつこいので横溝ネタはこれくらいにしておきます~。

(注)旅館について不気味だ何だと書いてきましたが、当旅館「梅の湯」さんは横綱白鳳も宿泊したことのある由緒正しき民宿です! ちなみに「悪魔の手毬歌」の舞台となる旅館は一文字違いの「亀の湯」です(まだ言う~。笑)。

 もともと外食するつもりで、宿に夕食はつけていませんでした。台風接近により、ほとんどの飲食店が閉店。仕方なく、8郎一人で車を出し、地元のスーパー「デリシア」で、総菜、カップラーメン等を買い出ししてきました。初日の自販機コーナー同様、なんとも冴えない夕飯となったのです。夫婦とも情報収集のためにテレビ、スマホとにらめっこ。することのない10郎はコロコロコミックで時間をしのぎます。 

 テレビやネットからは、長野県内で水害が発生しはじめたニュースが徐々に増えてきました。フロントでパソコンとにらめっこするオーナーらしき男性に台風の被害可能性や、旅館の自家発電などについて聞いても、「自家発電はさすがにないですが、うちは大丈夫だと思いますよ」とあいまいな返事。確かに風はそう強くなかったのですが、停電と水害が心配でした。

 明日の午前の特急「あずさ」で東京にもどらなければならないのですが、水害で長野県内の交通網がマヒする可能性が高まってきたのです。もし、そのような状態が続いたら、沖縄に戻ることができず、会社と学校を休まなければならないのです。それだけは絶対に避けたいと思いました。妻が一生懸命、代替案をネットで探しますが、台風直撃で情報源もマヒしている様子。

 そして、明日以降のリスケにも頭を悩ませます。この夜は台風ですが、明日はまさに台風一過、旅行日和の晴天という予報なのです。しかし、長野県内の被害状況がどうなっているかは神しか知らずで、どう動いていいか判断できません。薄暗い部屋の中で、8郎夫妻、悩みに悩みました。8郎は「デリシア」で買ってきた信州の銘酒「真澄」のカップ酒も一口飲んだだけで、あとはのどを通りませんでした。

 こうやって、計画上は最大の山場だったはずの3日目は、総菜の油ぎったかほり漂う部屋での川の字就寝と相成りました(涙)。楽しいはずの旅行で、不安にさらされる時間を過ごします。しかし、8郎家は幸せでした。そのころ、8郎家がひきこもる浅間温泉から数10㌔離れた長野市では千曲川が決壊し、大変なことになっていたのです。


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