さあ、2日目です。早くもハンマー撮影ラストチャンスです。本日3DIVEのうち2DIVEをハンマー狙いに充てることになりました。確率的には朝一が一番高いというので俄然気合が入ります。いざ西崎へ出港!
ダイバーの数は昨日の倍に膨れ上がりました。船上は誰かとぶつからずに歩くのが困難なほどに。みんな同時に器材をセッティングするほどの場所がないので時間差をおいてやるような状況です。ショップにとっては一年で一番の稼ぎ時ですからイケイケドンドンなんでしょうね。でも安全第一ですよー。
次の写真は8郎が押したわけではなく偶然写ってしまったのですが、エントリー時の光景です。期待と緊張が交錯する瞬間です。ハンマーよ、もう一度現れてくれ、そう願いながら足を思い切り広げて、えいやー。
8郎のダイビング史上に残る瞬間は、潜ってから3分も立たないころにやってきました。丸刈り半袖のガイドさんが合図を出しました。
ハンマーだ!
昨日の、いや8年前のリベンジを果たすべく、8郎も猛ダッシュ。その上を韓国人男性が最新式の動画カメラを片手に進みます。行く手には確かにハンマーヘッドシャーク。しかも昨日より鮮明に見えるばい!!
息ハアハアしながら必死に追いかけました。逃げていくハンマーとの間合いをはかり、今シャッターを押さなければ、間に合わないと判断。カシャ! ハンマーの群れが濁りの向こうに消えてしまうまでに数枚撮影することができました。8郎が撮影した数枚のなかで、一番写りがいいのがこれです。
う~ん、微妙ですねー。ハンマーの由来である独特の形をした頭部は横から見ても分かりにくいんですよ。右上のやつは、何とかハンマーの端が光って見えますが・・・。念のため、8郎の下を通過した個体も撮影したので、UPしておきます。ぼけていますが上から見れば、本当にハンマーが現れた、ということだけは信じてもらえるかと。
今ダイブで、8郎史上最深の30.8㍍を記録しました(過去最高は08年11月伊是名島の田老で30.1㍍)。それでも海底などは見えませんでしたがね。写真的には全然満足していないのですが、2日続けて見れたということに、かなり興奮してしまいました。これもきっとヤスーンが呼んでくれたんだね。ありがとう!
オクトパスからとめどもなく出るバブルも宝石のように輝いていました。
2本目もハンマーに挑戦したのですが、残念ながら一匹も現れず。まさにオール・オア・ナッシングのダイビングです。でも、それがいつまでもダイバーをひきつける魅力なんでしょうね。南伊豆では夏に見れるそうですが(しかもハンマーが頭上を通る率も高いそうです)、それでもハンマーダイバーたちは冬になると与那国まで飛んでくるそうです。8郎は2勝1敗。高確率だとガイドさんが言ってくれました。8年前の3本を合わせると2勝4敗なのですが・・・。
最後のダイブのポイントは「海底遺跡」になりました。8年前、あまりの潮の流れの強さに、最大スポットである「メインテラス」の撮影に失敗した苦い記憶がまざまざと蘇ります。ハンマーとはまた違った気合が入りました。ガイドはうれしいことにN本さん(写真左)でした。客は8郎のほかに、経験が浅いという自衛隊の方と、女性ダイバーです。みんな一人旅の様子。
エントリーすると、そこにはすでに遺跡の風格が備わっていました。
N本さんが指差す先にはグルクンの群れ。魚影も濃かったです。渡難の海の豊かさも感じました。
そしていよいよ遺跡へ。N本さんが指差すのはその入り口となる「城門」(ぐすくもん)。
城門はダイバ一人しか通過できない狭さです。この巨石を積み上げてできたような通路は、人工の臭いを感じても不思議ではありませんね。
そして二枚岩。薄い巨岩が二枚縦に並んでいます。自然というにはあまりにも奇跡を感じるポイントですね。ここは潮も穏やかで誰でも記念撮影ができます。しかし、ダイバーがうじゃうじゃしていたので、N本さんの合図で早めにメインテラスに移動することに。賛成です。
せっかくなので思い出づくりにと自撮りに挑戦(流行りの自撮り棒はありません)。うわー、二枚岩が一枚岩になってるあらにー。
美しいアカバナ。ここを越えると、流れが激流に変わり、いよいよメインテラスの登場です。いざ!
ごごごー。
8年前と変わらず強い流れです。何かをつかんでいないとあっという間に向こうに流されてしまいます。N本さんが女性を抑えるのに必死です。8郎は8年前の経験を生かし、左手で岩をつかみ、右手でカメラを構えます。よし、この構図だ。ちょっと濁っていて奥にある「巨人の階段」がよく見えませんが。体勢を立て直して、シャッターを押すぞ。
すると、女性を安全な場所に移動させたN本さんが、こちらににじり寄ってくるではありませんか! N本さん、正直じゃまっすー。恐らく手前にいる大きなヤドカリの説明に来たのでしょう。あふれんばかりのガイド魂です。N本さんの吐き出す気泡をみれば、いかにここの流れが強いか分かります(ロケットのように後方に噴射しています)。N本さんが熱心になにやら書き込んでいる間、結局想定していた写真は取れませんでした(笑)
ついにN本さんも流されます。そして「8郎さんの後からもダイバーが来てるのでもう移動してください」という合図。8郎も他の人に迷惑をかけるわけにも行かず、岩から手を離し、激流に身をまかせました。
それでもシャッターチャンスは逃すまいと、後ろ向きの体勢に。後続ダイバーの姿が見えました。左手前の灰色のスーツと黄色いフィンを着用したダイバーにご注目を。
あっという間に流されてきました(笑)。8郎は先ほど撮影できなかった「巨人の階段」を無事ゲットしましたよ。(写真右)。ところで、階段と呼びたくなるのは理解できる形ですが、巨人の足には幅が狭すぎではないですかー?
さらに流されながら、全景も撮影。あらためて壮観な眺めですね。この非日常さは、ダイビングやっていてよかったと思う瞬間です。
そのあとは流れの穏やかなスポットを散策。まずは「拝所(うがんじょ)」。N本さんの説明では、腹部にある十字架の模様が神秘的で、ダイバーはみなそこに向かって祈りを捧げるとか。確かに十字の線があり不思議なのですが、遺跡文化とキリスト教が結びつくとは思えません(笑)。おそらく自然の造形なのでしょう。ま、観光客はどんなこじつけでもミステリーを喜ぶものです。
拝所の下にあるソフトコーラル。N本さんの説明では「これを触って色が変わると願いごとが叶うそうです」とのこと。おいおい、このサンゴは反応して変色しているだけで、そもそも本当に遺跡だったとしてもその当時は陸地のはずでこんなサンゴはないあらにー?(笑)まあまあ、観光中にやぼな現実論はやめましょう。楽しければいいじゃないか。
そして、奇妙な形をしたくぼみ。真上から撮影。
そして最後の名所。「亀のレリーフ」です。ほかのダイバーが言ってました。「ただの三角でどうみても亀ではない」と。8郎もそう思っていましたが、かなり上から見ると、三角の部分は亀の頭でその後に大きな甲羅が広がっているのです。でも、やはり亀というには苦しすぎるかなー。ま、楽しければいいじゃないか。
後続ダイバーらも続々と終結。
もちろんドリフトダイビングなので、エグジットはみんな集合し、船が来るのを待ちます。それぞれのダイバーにそれぞれの思いが交錯するひとときですね。
船に上がると、同行の女性ダイバーは今にも吐きそうな表情でへこたれていました。かわいそうにっ。せっかく与那国まで来たのだからいい思い出にしてほしいものです。N本さんにあいさつする間もなくホテルに送迎されました。また真栄田岬で利用しますね!
これにて今回の旅のダイブはすべて終了。ハンマーヘッドシャークと海底遺跡に8年ぶりのリベンジを果たせた、思い出に残る5DIVEとなりました。ヤスーン、ありがとう。そして何より、快く(?)決済を出してくれた妻に感謝です。
ホテルではまたしてもお一人様ディナー。オオタニワタリのおひたし、カジキの刺身、フーチバーの天ぷらなど、大変おいしゅうございました。妻のほうが喜んだのではないだろうか、と思いながら完食しました。
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ダイビングが最大目的の今回の旅。本来ならこれにて終了なのですが、実は2日目のダイブ終了後、原付バイクを借りて、島の観光名所をぐるっと回ってきたので、その模様を番外編として後日、お伝えします。わずか1時間ほどの弾丸ツアー、迫る夕暮れとの勝負でした。そこまでお付合いください。