日本の建物づくりを支えてきた技術-7の補足・続・・・・「頭貫」の納め方の変遷

2008-09-13 11:21:10 | 日本の建物づくりを支えてきた技術

[文言追加 17.47]

鈴木嘉吉著「古代建築の構造と技法」のなかに、最初は柱頭に落し込むだけであった「頭貫」が、「柱」に確実に固定する方法に変ることを、「法隆寺」内の建物の例で紹介されています。上の図がそれです。
詳しく建設年代と照合はしていないのですが、多分、時代順と考えてよいのだと思います。
おそらく、単に落し込んだだけでは、「頭貫」が柱頭からずれ落ちる、などの事例が多発したからではないでしょうか。
この変遷には、当然、道具の変化もともなっていると思います。

この変遷は、当初は単に「壁」の「上枠」:「框」にすぎなかったものが、仕事を続けるうちに、構造部材の一つとして扱われるように変ってきたことを示しています。
つまり、「技術」が進展する過程と、「技術」の進展には「現場での経験と思考」が不可欠である、ということをも示しているのです。[文言追加]

それにしても「頭貫」にこだわり続ける、というのは、「寺院の形式」にこだわったからなのでしょうか。

①は、単純落し込み。「柱」に固定されない。
②は、「合い欠き(相欠き)」釘止め。このあたりから「柱」への固定を考えだすようだ。
③は、いわば「渡腮(わたりあご)」様の方法、さらに釘を打つ念の入れよう。
④は、基本は「合い欠き」。材同士に「鉤型」をつくりだし引っ掛け、「栓」を打つ。「柱」まで「栓」が届いているのか?
⑤は、「柱」に一筋の凸部をつくりだし、「頭貫」側に彫られた同型の凹部をはめこむ。「柱」と「頭貫」はがっちりと組まれる。「頭貫」相互には「継手」を設けていない。「柱」を介して「頭貫」が継がれた恰好。
⑥は、④と⑤を併用する方法。
⑦⑧は、「頭貫」の中途を「柱」に固定する方法。

続き

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本の建物づくりを支えてき... | トップ | とり急ぎ・・・・再び、「喜... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
頭貫を釘で固定する (goro ishiwata)
2008-09-14 07:06:54
東院伝法堂などのように、釘で

頭貫を固定した場合、錆びたときに、

周辺の木材へのダメージは甚大だったようで

す。

醍醐寺(建物の名前はわすれました)が

ひどかったと聞きました。

中世の建物でも、このような技法は

ほとんど見られなくなるのではないで

しょうか。

返信する

日本の建物づくりを支えてきた技術」カテゴリの最新記事