この国を・・・・34:不足

2012-10-27 10:43:21 | この国を・・・
原発事故は、風化し始めているように思えます。
咽喉もと過ぎれば熱さをわすれ、人の噂も75日・・・、
月日の過ぎ行くのをひたすら待っている人たち、一部のいわゆる経済人と政治家。

今朝の東京 web で見つけたコラム。
そのままコピーし転載させていただきます。
段落などを変え、そして、最後の一行、太字にさせていただきました。

筆洗 2012年10月27日

後藤貴子さん(50)が小学生になって初めて書いた詩は、たった三行だった。
  おかあさんはでぶです
  すこしやさしいです
  ときどきはらまちにつれていってくれます

後藤さんの母、門馬由利恵さん(75)は福島県の原町で育ち、隣町の小高で家庭を築いた。
患っていた認知症が一気に悪化したのは、原発事故で避難を強いられてからだ。
南相馬市小高区への一時帰宅が許された時、持ち帰ることが許されたのは、大きなごみ袋一枚分だけ。
母が持ち帰った物を見て、後藤さんは驚き、切なくなった。財布も服もない。入っていたのは、幼い娘が詩を綴(つづ)ったノートや、ちびた鉛筆…。
後藤さんは、四十年ぶりに母への思いを詩にした。
  渡されたゴミ袋一枚に
  母の優先順位はくるってる
  貴重品も大切にしてた着物も
  何も入れずに入らずに
  思い出さがすようなものばかり
  もう原町には行けないんだねえ
  何で認知症になったのかねえ
  なんで原発爆発したのかねえ
  母のひとりごと

原子力規制委が出した事故による放射能拡散予測を見て、慄然(りつぜん)とした人も多いだろう。
原発三十キロ圏内に住む人は四百六十万人以上。
政府と電力会社は、本当にその生活を守りきれるのか。
福島の事故では今も十五万人以上が避難生活を送る。
思い出と切り離されて生きるつらさ、むなしさ。
怖いのは電力不足より想像力の不足だ


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2 コメント

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Unknown (苦悩する者)
2012-10-31 08:40:07
一時帰宅で玄関の戸を開けたらば、どこから入ったのか豚に出迎えられて何も持ち帰れなかったという話を聞いたことがあります。

家には入れたのにお金も貴重品もで大切にしていた着物も持ち帰らず「思い出さがすようなもの」を持ち帰ったところに涙がこぼれました。


「怖いのは電力不足より想像力の不足だ」。

心に響く言葉です。不足しているのは想像力だけでなく過去に学ぶ姿勢。ワイツゼッカーの「荒れ野の40年」を思い出します。
------【抜粋】---------------------
問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。
------------------------------
原発は危険。それを認識した上で政治判断をして動かしていたというなら納得はいきませんが仕組みととしてはあり得ることだと思います。しかしそうではなく、政治家は政治判断を避け、巧妙に一部の学者に安全と言わせる。研究費、外部資金獲得が手柄となる仕組みに鐘のつきやすい研究に一部の学者は喜んで飛びつく。学者が安全と言うならばと仕事や金をもたらす原発に自治体が飛びつく。

政治家は政治判断を避けるために学者に嘘をつかせてはいけないし、学者も金に目がくらんで嘘をついてはいけないし、国民も金に目がくらんで嘘に騙されてはいけない。

大きな共通点のあるドイツ、イタリア、日本。このうち、脱原発が口だけに思える国があるのは何故なのでしょうか。学者の発言に法的な責任を取らせるのは政治的に学者を黙らす手段になり得るので慎重にしなければいけませんが、それでも地震安全宣言をした学者を法で裁いた国がある一方、原発安全宣言をした学者を法で裁く気配すらない国もあるのは何故なのでしょうか。

 過去に目を閉ざし、現在にも盲目となり、未来への想像力が欠如しているからなのでしょうか。


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Unknown (筆者)
2012-10-31 15:41:08
コメントと「荒れ野の40年」のご紹介、有難うございます。
日本ほど、non-scientific な国はない、と最近特に思っています。
どうしてこんなになってしまったのでしょう?
一つは、自らの感覚を信じなくなっていること。
感覚の裏付けのないことばだけ、宙をとんでいる・・・。
政治家、とりわけ今の総理のことばに、特に感じています。
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