私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

シリアの大統領バシャール・アル・アサドの品定めをして下さい

2022-06-10 22:34:09 | 日記

 この数日『フランコとエルドアン』という表題の記事を書いていましたが、極めて重要なインタービューが報道されましたので、急遽、お伝えしたいと考えました。それは、6月9日に行われた、シリアのバシャール・アル・アサド大統領の、ロシア報道機関RTによる、31分36秒に及ぶインタービューです:

https://syria360.wordpress.com/2022/06/09/president-assads-interview-with-rt-june-9-2022/

私が読んだこの記事はシリア政府の報道機関SANAによる英文のトランスクリプト全文ですが、英文が読み辛い人は使用可能の翻訳プログラムを活用してください。時折、誤訳も起こりますが、大体の内容は十分把握できると思います。有用な内容の解説記事もあります:

https://syria360.wordpress.com/2022/06/09/syrian-presidentrussia-has-restored-a-missing-international-balance/

有難いことに、青山弘之氏のブログには原語で行われた動画がアップされ、アサド大統領の主な発言が日本語で示されています。現在、記事の終わりに、(続く)、とあります:

http://syriaarabspring.info/?p=92404

 お願いしたいのは、皆さんがこのインタービューから、直に、バシャール・アル・アサドという人間の評価をして頂きたいということです。私はこの方法に大いに依存しています。この方法の最も大々的な適用は、今では広く商品化されているオリバー・ストーンのプーチンに関するドキュメンタリーでしょう。プーチンという人間に対するオリバー・ストーンの評価は、ウクライナ戦争が今後どのように展開しても 、動じることはありますまい。イニャシオ・レモネのカストロ評価も同じようなケースです。昔、米国のベテラン女性ジャーナリスト(名前失念)が、カストロをインタービューで取っちめてやろうと、ハバナに乗り込んだのですが、カストロの人柄に惚れ込んでしまったこともありました。私の念頭から常に離れないエリトリアの独裁政治家イサイアス・アフェウェルキを、ある時、英国のベテラン女性ジャーナリスト(名前失念)がインタービューしたことがありました。このジャーナリストは、次から次へと、実に意地の悪い、オープンに挑発的な質問を浴びせ続けましたが、アフェウェルキは、相手の挑発に乗らず、最後まで冷静で穏やかな表情を保ち通しました。英語で行われたこのインタービューの動画を、一種の興奮状態で見終わった私は、アフェウェルキという男一匹にすっかり惚れ込んでしまいました。これも随分と昔の話ですが、それ以来、アフェウェルキはアフリカのカストロであるという私の見解に揺らぎはありません。

 今回のアサド大統領のインタービューは、おそらく、RTが事前に質問事項を大統領に手渡していたのでしょうが、アサド氏は30分間手元に何のメモも持たずに全ての質問に穏やかな表情で淀みなく答えたのは見事です。トランスクリプトを見れば分かるように、鋭く切り込んだ質問が少なからずあります。質問をする女性の態度も見事です。青山弘之氏のブログにある動画をぜひご覧なさい。

 二十四の質問がなされていますが、その七番目で、アサド大統領は次のように発言しています:

Medical care in Syria is still free despite the decline of services; education is still free despite the decline in the quality of education as a result of the circumstances; subsidies are still available, despite the decreasing rate of these subsidies. All of these basic services are still available, with no change in our policy.

これまで長い間、シリアは米国の苛酷な制裁措置によって苦しめられています。単に経済貿易制裁のみならず、米国はシリアの穀物と石油の生産地域を不法占領して、農産物と石油を国外に運び出しています。質の低下はあるにしても、シリアでは、依然として、医療も教育もフリーだとのこと、我が国もシリアに学ぶべきことが多々あるのではありますまいか。

藤永茂(2022年6月10日)


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2 コメント

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アサド・プーチン両大統領 (成澤宗男)
2022-06-12 07:26:12
アサド大統領とプーチン大統領の共通点は、欧米メディアのネガティブキャンペーンが信用に値しないという事実を実証していることにあるような気がします。日本でもアサド大統領は「独裁者」だけで片付けられていますが、このインタビューでは傑出した政治家である本質を示しています。私たちの課題として、こうした米国の意に沿わないと悪魔化されることであり、フェイクニュースがすべてにまかり通っている現状に何とか対抗していかねばなりません。ウクライナについても同様で、私なりに書き続けているサイトがあります。先生にご一読いただければ幸いです。https://isfweb.org/post-673/
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成澤宗男様へ (藤永茂)
2022-06-13 11:09:32
isfサイトを拝読いたしました。懶惰の故に、国内のサイトをよく読んでいませんが、貴サイトをはじめ、多くの力強い有益な発言が行われていることを知り、誠に嬉しく有難く存じました。今や国運を左右する重大な岐路にあります。私も微力を捧げたいと存じています。
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