私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

Never Again for Anyone

2023-10-31 18:14:10 | 日記
 前回のブログ記事の見出しは『二度とあってはならない』としましたが、原語は「Never Again for Anyone」でした。紹介した記事の日付は2014年8月12日です。同じ言葉をタイトルに掲げた記事が今月10月27日(金)に起きたニューヨークのグランド・セントラル駅での大規模なガザ大虐殺反対デモの模様を報じました:


写真で見ると大変な数の人びとが広大な駅構内を満たし、その数百人が拘束されたようです。YouTubeにもその動画が出ています:


どういう訳か、日本のマスコミはこの注目すべき在米ユダヤ人主導の抗議集会を報道していません。前回に紹介した「反シオニズム声明」に署名したユダヤ人の中にも、このデモに参加した人があるだろうと私は想像します。この声明は10年前に発せられたものでし。
 私のブログ記事に檜原転石さんからコメントをいただきました。その中で挙げられているカナダ人の女性ジャーナリストのガザ紛争に関する勇敢な発言:

Gaza Under Seige - Eva Bartlett on Reality Asserts Itself (1/2)
https://www.youtube.com/watch?v=GfgkxF5oaWc

Gaza Under Siege - Eva Bartlett on Reality Asserts Itself (2/2)
https://www.youtube.com/watch?v=CGaj_EdXytY

も9年前のものです。ぜひ視聴してください。その中にイスラエルの不法入植者が農作業に勤しむパネスチナ農民たちを銃撃する場面がありますのでご覧ください(9年前のことであるのを忘れずに)。
 前回のブログで、ガザのハマス蜂起についてもノーマン・フィンケルシュティーンの発言を取り上げる事を予告しましたが、それは次の記事によるものを考えていました。ハマス蜂起とナット・ターナーの反乱を結ぶ傾聴に値する発言です:


この内容の transcript は次に与えられています:



藤永茂(2023年10月31日)

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6 コメント

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スコット・リッターもテロ国家イスラエル問題では甘い (檜原転石)
2023-11-03 17:14:00
以下の動画には、スコット・リッターが二国解決案を口走り、エヴァ・バートレットが反論する場面があります。

■Scott Ritter Extra Ep. 109: Ask the Inspector
https://www.youtube.com/watch?v=hjHo5tZ2ftc

■二国解決案とバンツースタン(アパルトヘイト時の南ア)
http://blackisbeautiful2013.blog.fc2.com/blog-entry-25831.html
■元シンベト長官も言う「二国解決案が唯一の道」http://blackisbeautiful2013.blog.fc2.com/blog-entry-25866.html
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ハンニバル指令 (檜原転石)
2023-11-05 04:54:58
10月7日の証言は、イスラエル軍が戦車やミサイルでイスラエル市民を「砲撃」していることを明らかにしている
マックス・ブルメンタール·2023年10月27日
https://thegrayzone.com/2023/10/27/israels-military-shelled-burning-tanks-helicopters/

The Hannibal Directive: What Really Happened On October 7th
https://www.youtube.com/watch?v=pxGDRJJ9avw&t=2s
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Unknown (桜井元)
2023-11-18 17:00:34
日々の営みに追われ、母の介護・看護に追われ(それはもちろん愛情をもってなすべき大切なものですが)、これらを心の中での言い訳にして、ガザの惨状について何も行動を起こせずにきた自分が情けなく、本当に申し訳なく思います。せめて先生の渾身のブログの記事のコメント欄に、メッセージを寄せさせてください。

ご紹介されたジャーナリストEva Bartlettさんへのインタビュー動画を視聴しました。
二分割の後半の動画、再生時間2:46あたりから語られる、農作業をしている丸腰の住民をイスラエル側が狙撃する状況に、私は映画『シンドラーのリスト』のある場面を思い出しました。強制収容所で働かされる住民を、ナチスのアーモン・ゲートが慰みに狙撃する場面です。両者の凶悪性・残忍性に、どこか違いがあるでしょうか。

ネット上には、次のような動画も見られました。まさに人間狩り(ハンティング)を楽しむ凶悪・残忍な姿であり、イスラエルという国家の有り様を象徴するものと感じます。

Israeli soldier shoots Palestinian - BBC News
https://www.youtube.com/watch?v=ZtUoIpoh0BA

ガザの状況を長年追い続けてきたEva Bartlettさんが、最近、記事を発信されました。今回の事態は、これまでに自分が見てきたイスラエルの攻撃のいずれをもしのぐ凄まじい状況だと訴えられています。長年にわたり、ガザの住民がどのような悲惨な目に遭わされてきたのかがよく伝わるレポートです。

Israel is Genociding Gaza. It’s far worse than anything I saw during two brutal Israeli wars on Gaza
https://ingaza.wordpress.com/2023/11/11/israel-is-genociding-gaza-its-far-worse-than-anything-i-saw-during-two-brutal-israeli-wars-on-gaza/

レポートの最後の方に、白リン弾による被害を写した写真が見られます。被害者の皮膚に穴がいくつも空いている写真です。ウィキペディアで、白リン弾の「人体への影響」の項を読めば、その残虐性がわかります。イスラエルは、こういうものを幼子を含むパレスチナの住民に向けたのです。

白リン弾(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%BC%BE

Eva Bartlettさんは、白リン弾を使用したイスラエルによる住民虐殺についても、現地からしっかり事実を伝えるレポートを過去に発信されていました。黒焦げにされ、犬に食いちぎられた赤ちゃんの無残な姿を見て、それでも「イスラエルのしていることは自衛の行動だ」と言えるでしょうか。傷ついた家族を救急搬送しようとする少年を狙撃することが「自衛の行動だ」と言えるでしょうか。

“next time it will hurt more”: Israeli threat against surviving family members of White Phosphorous attack
https://ingaza.wordpress.com/2009/02/04/next-time-it-will-hurt-more-israeli-threat-against-surviving-family-members-of-white-phosphorous-attack/

Israel’s Firing of White Phosphorous Mutilated & Murdered Palestinian Civilians
https://ingaza.wordpress.com/2009/01/17/white-phosphorous-mutilated-and-murdered-family-members/

"white phosphorus" "gaza" "victims"を検索ワードに入れ、ネットで画像検索をしてみれば、イスラエルの白リン弾による被害者の姿が、子供たちの痛ましい姿が映し出されます。どれだけの痛み、苦しみ、恐怖だったことでしょう。

私は、「ハマスもイスラエルもどっちもどっち」という見方は、本質的な問題の構造を見誤るのではないかと感じます。ガザは「天井のない監獄」とたとえられていますが、監獄の囚人は、恣意的に狙撃されることはありませんし、水や食料なども保障されています。その点、ガザは「監獄」ですらないのだと思います。Eva Bartlettさんが伝えているように、農民は狙撃され、漁民も狙撃され、漁船は破壊され、医療関係者も攻撃され、水も燃料も医薬品も資材も、生きるのに必要なあらゆるものをコントロールされ、人々は壁の中に閉じ込められ、移動を制限され、監視され、人権も命もないがしろにされ続けてきたわけで、まさに「監獄」ですらなく、「アパルトヘイト」と「ジェノサイド」の場と言えます。ハマスの行動は、怒りの噴出、抵抗の爆発だったのだと感じます。アパルトヘイトの南アで黒人が暴動を起こした時に、「どっちもどっち」と言えないように、ナチスの支配下でレジスタンスが武装蜂起した時に、「どっちもどっち」と言えないように、安易な「どっちもどっち」論は、問題の根源を見誤らせると感じます。問題の根源はイスラエル、変わるべきはイスラエル、そして、その背後で軍事的・資金的な支援をし続けている米国と、米国の顔色を見てそれに追随する国家群(日本を含む)です。

最後に、日本人の一人として大事なことを。平和憲法をもつ日本では、いま、憲法の理念を具現化した一つと言える「武器輸出三原則」を捨て去ろうという動きが強まっています。「殺傷能力」をもつ兵器まで解禁しようとされています。日本製の武器が、あるいは海外と共同開発した武器が、「自衛」や「平和貢献」の名のもとに、海外の無辜の民に向けられることがあっては決してなりません。アメリカに追随する日本では、そういう危険性が十分にあります。ガザの惨状と、「自衛」を口にガザで破壊と虐殺を展開するイスラエル、その背後にある米国の姿を見て、そう強く感じます。
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Unknown (桜井元)
2023-11-27 02:12:22
ネット上、たいへん有益な動画がありましたので、ご紹介させてください。
イスラエルとパレスチナの歴史、問題の構造と本質、抵抗運動・抵抗組織の成り立ちがわかりやすく解説されています。ハマスはけっしてテロ組織などではなく、イスラエルという侵略者・占領者のアパルトヘイト政策、民族浄化政策に対して、まさに決死の覚悟で勇敢に立ち向かった抵抗者であったことがよくわかります。とても良い講演なので、もうご覧になった方々も多いかもしれませんが、ぜひ一人でも多くの方々に視聴していただきたいと思い、ご紹介させて頂きました。

①「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
https://www.youtube.com/watch?v=8TtXbIi446I

②「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
https://www.youtube.com/watch?v=VVL1r6DJQSw

③「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
https://www.youtube.com/watch?v=BhUQV7JRBxQ

④「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
https://www.youtube.com/watch?v=NW0Q4TIejnM


ハマスが民間人の人質をとったのは人道上の問題はありますが、そこだけを切り取ったのでは何も見えてこない。イスラエル側が、パレスチナの子供を含む民間人を多数、不法に逮捕・拘禁・虐待している事実がまず先にあったわけで、マスコミはそれをまったく伝えてきませんでした。

米国の外交政策はユダヤロビーの影響下にあり、日本はその米国の事実上の属国状態、また日本のマスコミは政府の広報に近い状態にある(特に外交・安保の分野では)。よって、日本のマスコミは、米国と日本の外交政策の既定ラインに「忖度」し、イスラエルが犯している明白な犯罪行為をなんら報じずに「沈黙」を続けてきたのでしょう。

ネットで、"Palestine" "children" "arrested"を検索ワードに画像検索すると、子供たちが武装したイスラエル兵によって荒々しく拘束されていく姿が多く出てきます。

以下の記事には、法治国家とはとても言えない逮捕・拘禁・虐待の状況が報じられています。さすがにこういう事実は報じるべきだと思うのですが、これまで日本のマスコミでどこか報じたところがあったでしょうか。

ハマスの行為は「人質交換」でパレスチナ側の女性や子供たちを救おうとした、やむにやまれぬ最終手段の実力行使だったのでしょう。そこだけを切り取って、イスラエルに同情し、ハマスを叩く姿勢は、やはりおかしなことだと思います。

Who are the Palestinian prisoners Israel released on Friday?
https://www.aljazeera.com/news/2023/11/24/who-were-the-palestinian-prisoners-israel-released-on-friday

‘Beaten’ Palestinian boy in viral photo charged
https://www.aljazeera.com/news/2017/12/15/beaten-palestinian-boy-in-viral-photo-charged
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Unknown (La vérité est la première victime.: détail nouvelles par des journalistes du monde)
2023-12-05 06:37:15
Times of Gaza で検索すると
パレスチナ市民を狙った西側の支援するイスラエル軍による爆撃状況
Telegram
(排除アルゴリズムが作動してサイト表示できません)と
排除をやめたX (login が必要)にもあります
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Unknown (桜井元)
2024-01-22 07:28:30
岡真理先生(早稲田大)の『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』を読みました。マスコミが伝えない肝心の事実を懸命に伝えようとする岡先生渾身の一冊、ぜひ多くの方に読んでほしいものです。

岡先生の本を読んで、以前こちらに寄せたコメントで問題のある個所に気づきましたので、訂正させて頂きます。

私は、ハマスの行動を、アパルトヘイト下の南アの黒人暴動にたとえましたが、岡先生は本の中で、ANCとネルソン・マンデラを想起するに書かれていました。民衆の突発的な行動と、抵抗運動・解放運動の組織だった行動とを混同したたとえで、まずかったなと反省しています。また、「暴動」という呼称も問題でした。これは抑圧者側からの呼称で、被抑圧者側からすれば「蜂起」と呼ぶべきものでした。

さらに私は、アメリカの外交政策はユダヤロビーの影響下にあると、「ユダヤロビー」という呼称を使いましたが、岡先生は本の中で、この呼称は使うべきではないと注意されていました。イスラエルに抗議し米国議会施設占拠を呼び掛けた「平和のためのユダヤ人の声(Jewish Voice for Peace)」のような反シオニズムのユダヤ人も大勢いて、彼らもロビー活動を行っているからだと書かれていました。この点も反省し、「ユダヤロビー」を「イスラエル・ロビー」あるいは「親イスラエル・ロビー」と訂正します。

今回のハマスの蜂起を、単なる暴力、単なるテロと見るのは全くの誤りで、抑圧された側からの反発、抵抗、解放を求める実力行使ととらえ、それを歴史上、何にたとえるべきかと考えて、私はコメントで、南アのアパルトヘイト下の黒人の反発や、ナチス支配下のレジスタンスを挙げましたが、藤永先生のご本やブログを愛読してきた者として、なぜ北米の先住民、ネイティブ・アメリカンを想起しなかったのかと恥じています。『アメリカ・インディアン悲史』というご本を書かれ、「Idle No More」という連載記事をブログで書かれた藤永先生から、いったい私は何を学んできたつもりになっていたのでしょう。本当に反省しています。

Idle No More (1)
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/4a6b79120b523e4691beba2bda968e6e

ネット上、パレスチナとイスラエルの関係を、ネイティブ・アメリカンと米国の関係と比較しながら論じる注目すべき以下のような記事がありました。わかりやすく、良い記事なので、ぜひお読みください。

Trails of Deception: What Palestinians and Native Americans Share
https://www.palestinechronicle.com/trails-of-deception-what-palestinians-and-native-americans-share/

また先日、NHKの「こころの時代」という番組で、徐京植さん追悼の放送がありましたが、これを視聴しているうちに、なぜ戦前日本の植民地支配に対する抵抗運動のことを想起しなかったのだろうと思うに至り、このことも深く反省しました。これまでそれなりに歴史を学んだつもりでいても、本当の意味で深くは学んではいなかったのではないか、だから、日本人として何よりも想起すべきこの歴史的事実を真っ先に想起できなかったのではないのかと反省しています。土地も平穏な暮らしも何もかもを奪われ、追い出され、占領され、入植され、支配され、差別され、侮辱され、傷つけられ、殺されてきた側、パレスチナの側の抵抗運動を、歴史上、何にたとえるべきかを考えた際に、まず何よりも過去の日本の植民地支配への抵抗運動のことを想起できなかった、このことを深く深く反省します。

徐京植追悼アーカイブ 離散者として生きる(NHKこころの時代)
https://www.nhk.jp/p/ts/X83KJR6973/episode/te/RP5421VY63/

先日、ETV特集「ガザ~私たちは何を目撃しているのか~」を視聴しました。

https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2024012033496?playlist_id=77beeb12-3de5-4e58-8f8c-1d2bb3315c40

番組は、イスラエルによる封鎖が招いた経済的困難には触れましたが、イスラエルによる日常的な殺傷行為、抵抗者への逮捕・監禁・拷問については触れませんでした。また、ハマスが民間人を人質に取った行為については触れましたが、彼らがパレスチナへの暴力の拠点であるイスラエルの軍事施設をターゲットにしたという事実には触れませんでした。さらに、イスラエル側の犠牲者がイスラエルの軍・治安部隊の無差別攻撃による可能性があるとの見方(ハンニバル指令)には一切触れず、また、ハマスは自分たちを人道的に扱っていたという解放された人質自身による証言にも一切触れず、逆に「ハマスは多くの老人や子供を殺し、レイプも犯した」というイスラエル側の主張のみが流されました。ちなみに、これらのことの真偽については、すべて岡先生の本に丁寧に説明されています。

問題の多い番組でしたが、視聴してよかった点は、Ghada Ageelさんの話を聞けたことでした。話の内容、語り口にたいへん好感をもて、彼女の本(パレスチナの女性たちのオーラルヒストリー)をぜひ読んでみたいと思いました。番組の43:00から53:52までの10分ほどですので、ぜひご覧になってみてください。

Ghada Ageelさんは、今回のイスラエルの攻撃で親族36人を失ったそうですが、その死を悼み、イスラエルの「ジェノサイド」を背後で支え、それを可能にした米国バイデン大統領を批判する公開書簡を彼女は書かれていました。以下で読むことができます。こちらもぜひ読んでみてください。

A letter to President Biden from a grieving Palestinian
Mr Biden, I have lost 36 members of my extended family in Gaza in just one day. I want you to know their names.
https://www.aljazeera.com/opinions/2023/11/4/a-letter-to-president-biden-from-a-grieving-palestinian

最後になりますが、藤永先生のご体調が本当に心配です。先日来、メールでご連絡がとれず、もしや入院でもされたのではと気が気でなりません。一日も早くお元気になられ、お元気なお声をまたブログで私たちにお聞かせください。
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