唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
最初の一機、最後の一機
昨日(2011年9月27日)、ANAが世界で初めて導入する、ボーイング787(ドリームライナー)の1号機が羽田空港に到着した。ANAはこの787を大量50機発注し、納入を待っていたが、結果として当初の予定から3年遅れでようやく最初の1機を受領することが出来たのである。
同日、愛知県豊山町にある三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所では、「国産」戦闘機F-2の最後の1機が航空自衛隊に納入される「完納式」が開かれていた。2000年から納入が始まったF-2だが、12年かけて全94機が完納されたことになる(他に試作機4機)。ちなみに飛行中(重整備後の試験飛行)に失われた機体は1機のみだが、3.11大震災の際の津波で、松島基地所属のF-2、18機が水没。被害が大きかった12機が廃棄処分されることが決まっている。
787の1号機納入は明るい話題である。単に新しい飛行機が日本の、世界の空を飛ぶと云う事だけではなく、機体の35%が日本のメーカーによって製造された787だから、より多くの787が飛ぶことがすなわち日本の航空機産業の活性化につながり、それはやがて純国産中型旅客機の開発へとつながる可能性があるからである。
一方、F-2の生産完了は、1957年にF-86で始まった日本国内でのジェット戦闘機生産(当初はノックダウン、後にライセンス生産)の歴史が途切れることを意味している。これは三菱重工及び部品メーカーなど関連企業1,100社の経営に大きな打撃になるだけではなく、日本国内における戦闘機製造技術が失われることを意味している。
「戦闘機は戦争の道具だからなくても良い」と思われる方もおられるかも知れないが、戦闘機に求められる高度な技術が民間航空機に導入されることによって、より安全で快適かつ燃費の良い787のような旅客機が開発されるのである。
日本の航空機産業の将来を考えれば、787の機体生産を担当するだけではなく、戦闘機生産のための技術力をも維持、発展させることが、来たるべき純国産中型旅客機開発のための基盤を創る重要な要素なのである。F-22の導入が不可となって以降、FXの選定に大きな遅れが出ているが、国内製造、更には改良開発可能な事を第一条件として、速やかに決定し、導入する必要があると、郷秋<Gauche>は思うぞ。
例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、稲刈りが進む恩田の森、白山谷戸の田んぼ。恩田の森Nowでは縦位置の写真をご覧いただいていますが、今日は横位置の写真をご覧ください。
« Nikon 1 -郷... | 福島と隣接の... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |