Nikon 1 -その成否はCXフォーマットにかかっている-

 Nikon 1(ニコン1)の存在を決定づける最大の要素は、13.2×8.8mm1インチ、CSMOS1010万画素、)と云うまったく新しいサイズにイメージセンサー、ニコンが主張するところの、CXフォーマットのイメージセンサーある。

 

 既に規格化されたイメージセンサーの主なものとしては、一眼レフ用として35mmフルサイズ、APS-Cそしてフォーサーズ(マイクロフォーサーズを含む、以下4/3)と、コンパクトタイプデジタルカメラ用としての1/1.71/2.3サイズであるが、ここに来て、ペンタックスが1/2.3サイズのイメージセンサーを用いたレンズ交換方式のミラーレスカメラを登場させたかと思ったら、今度はニコンからフォーサーズよりも小さなイメージセンサーで、所謂「ミラーレス」、ニコンが主張するところの「レンズ交換式アドバンストカメラ」市場に参入したことにより、成り行きは混沌としてきた。

 

 ニコンがCXフォーマットと呼ぶイメージセンサーのサイズはAPS-C(ニコンDXフォーマット)の1/3(面積比)しかないが、4/3比では1/2であり、より小さな1/1.71/2.3と比べると、それぞれ3倍、4倍となる、実に微妙なサイズと云う事が出来る。

 

なぜ、このような「中途半端」な大きさのイメージセンサーを使ったかと云う事に対してニコンは、「CXフォーマットついては、大きなサイズや小さなサイズを選んだ会社もあるが、長年研究したベストバランスを考慮した。画素数やセンサーサイズ=高画質という時代は終わったのではないか。高画質ながら、カジュアルに撮れるカメラにした」「最初から“1インチというサイズがあったわけではなく、静止画と動画の融合、高速連写、高速動画を実装しつつ、システムの最小化を行なった結果だとしている。」とコメントしている。

 

ニコン1が成功するか否かは、このCXフォーマットが、市場、つまりユーザーに受け入れられるかどうかにかかっていると考えるのは、郷秋<Gauche>のように技術にこだわる者だけで、多くのユーザーは、ストラップまでピンクが用意されたJ1が「可愛い」からと、それがCXフォーマットなのかDXなのか、あるいは4/3なのか等、お構いなしに購入し、やがてニコン1=CXフォーマットが第三のイメージセンサーサイズとして市場に定着するのかも知れない。

 

 このblogの読者諸兄・諸姉なら先刻ご存じの通り、郷秋<Gauche>は幾度となく「デジタルカメラは画素数ではなく、イメージセンサーの大きさだ」と主張してきたことをご存じのはずだ。その主張からすれば、郷秋<Gauche>としてはおいそれとNikon 1に手を出すことはできない。できないことになる。

 

 かつて、オーディオの世界で、オープンリールからより小さな(幅の狭い)、カセットテープへの移行があった。「ナカミチ」と云うメーカーがこの小さなカセットテープに3ヘッドを持ち込み高音質化へのあくなき追求をするなど、業界をあげてカセットテープの高音質化が進む中で、ソニーはオープンリールと同じテープ(1/4インチ)のテープをカセットに詰め込んだ「エルカセット」と云う規格を策定し、いくつかの製品を登場させてが、時代は既に完完全に「カセット」に移行しており、「エルカセット」は認知されることなく、その姿を消していった。

 

 写真の世界では、フィルムのサイズは、シートフィルムかブロニー(6×6等)を経てライカ版(35mm)へと、より小さな規格へと移行していったが、35mmよりも小さなサイズの「ハーフ」「110」などはいずれも生き残れず、フィルム時代の最後期に登場したAPS-Cは、その規格が定着する以前に時代はデジタル化へと移行し、その名称のみがイメージセンサーのサイズとして残り、今に至ることとなった。

 

 オーディオと写真、その記録メディアとしてのテープとフィルムのサイズについて、極簡単に記したが、それは、ある製品が採用した記憶メディアの規格がどのようなものであったのかが、その製品の成否に大きく関わったと云う、歴史的事実ををご理解いただきたいためである。

 

 果たしてニコンのCXオーマットが市場に受け入れられるのかどうかは、既に発表されたV1J14本のレンズ以外に更に魅力あるモデル、コンセプト的に、デザイン的に、技術的にあるいは価格的に、どれ程魅力ある製品をニコンが途切れることなく提供出来るのかにかかっていることだろう。これから23年のニコンの動向に目が離せない郷秋<Gauche>であるな。

 

 

 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、台風15号通過後に訪ねた川崎市麻生区の温室。屋根が吹き飛ばされた温室の中では、何故かマンゴー、パッションフルーツと云った熱帯の果樹が栽培されていた。これはその一つ、スターフルーツ。初めて見聞きする果樹だが、切ってみれば、成る程、星の形をしていそうな果実である。

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