九州大学歯学部では国際協力機構(JICA)の協力のもと開発途上国の歯科医師10数名を毎年約4か月間招いて、歯科教育を行う「JICA歯学教育コース」を18年間ほど続けて来ています(http://www.dent.kyushu-u.ac.jp/gallary/jica2005d.htm)。私も昨年まではコースマネージャーのような役割で6~7年関わって来ました。途上国といっても様々ですが、以前はアジアや東ヨーロッパ、最近は南米やアフリカからの歯科医師が各国1名ずつ選ばれて来日しています。
例年5月~9月の時期に行っており、コースの最初の時期に「カントリーレポート」と題して、各国の歯科事情を主にレポートしてもらいます。ここで国による違いが興味深いわけですが、わたくし達的には日本との違いがある種面白い。途上国の歯科医師不足ということで、人口/歯科医師数の数字がよく出てきますが、歯科医師過剰の日本では歯科医師ひとりに対して約1500人、これがザンビアのような歯科大学が無い国では、歯科医師は他国で教育を受けたUターン組ですので、歯科医師ひとりに対して100万人とかいう、とてつもない単位です。例えば福岡市には歯医者がひとりかふたりという計算です。いっぽうで南米ウルグアイあたりはいくつも歯科大学があって、人口比は日本と大差ありません。
日本はむし歯の洪水の時代に治療パワーとして歯科医師を増やす方策をとったわけですが、それでとりあえず治療率は上がりました。ではウルグアイの人はむし歯が少ないとかよく治療をされているということはない。なぜか? 国民一般の経済状態が良くないため医療費を支払えない、健康保険制度が整っていないなどの理由で、歯医者はいても患者さんが来ないそうです。結局ウルグアイ人の口の中は健康にはなっていないという次第。
2004年のJICAコースメンバー。大濠公園にて。ウルグアイのグロリアさんはカラオケとダンスが好きだったな~~。
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