先天的に永久歯の数が少ない人は珍しくはありません。最も一般的なのは、下の前歯の数が少ない場合で、これは乳歯の時期から数が少ないとか、癒合歯といって2本の歯がくっついたような形態があると、永久歯も欠如することが予測されます。
下の前歯の場合、サイズが小さいので1本2本欠如していても、それなりに許容範囲の歯並びかみ合わせになることもあります。
ですから早めに矯正というより、永久歯が生えそろってから評価して、矯正治療が望ましいか否か検討すればOKだと思います。
当院では少ないのですが、成人の患者さん。矯正治療ご希望です。
下の前歯が2本先天的に欠如しています。
上下はそれなりに噛んでいますし、奥歯の噛み合わせも左右対称で良好です。
ただし歯の数があわないので、上の前歯付近にしわ寄せが出ていて、若干のデコボコと噛み合わせが深いという審美障害はあります。
むし歯、歯周病リスクが高くなるようなことはありませんので、わたくし的には矯正治療が必要とは判断しません。
矯正治療は歯の数を合わせざるを得ませんので、上の両側第1小臼歯を便宜的に抜歯しての治療となります。ポイントは上の前歯の状態をいかに理想的に改善するか、です。
上の前歯だけの問題だから、上だけの装置でOKで、さらに歯を抜かないと治らないの? という疑問があるかも知れません。
上だけの装置ではやや前歯が出っ張って改善しますが、何とか審美的には許容な範囲になるかも知れません。しかし、結果として上下の前歯がかみ合わなくなり、治療終了後必ず後戻りします。
治療終了後数十年安定した歯並びにするためには、かみ合わせをしっかり仕上げることが重要で、そのための便宜抜歯です。
デコボコ改善はもちろんですが、伸び出しすぎて内側傾斜した上の中切歯の高さや傾斜の改善をして、かつ咬み合わせもしっかり仕上げることがポイントです。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam
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