福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

歯並びと噛み合わせ

2017-01-13 | 歯並び、矯正の話

矯正治療や咬合育成治療では、もちろん歯並びは改善しますが、同時に重要なのが噛み合わせです。
患者さんサイドでは通常前歯部分の見た目が気になりますので、前歯のデコボコが気になるという相談が最も多いと思います。
嚙み合わせについては、やはり前歯部分で分かる、出っ歯(上顎前突)と受け口(反対咬合)の相談が代表的です。
治療的には歯並びを良くするのは簡単ですが、実際には歯並びを良くしながら噛み合わせも良くすることが必須です。
簡単に言えば歯並びを良くしても噛み合わせが不安定でしたら、治療後の後戻りが大きくなるということです。





久しぶりに虫歯チェックと予防で来院した患者さん。成長期に入った小学高学年です。
ぱっと見には、上の前歯の隙間とか向かって左側の犬歯が外側から生えているのが気になります。
問題がそれだけであれば、上の歯のみブラケットを付けて、前歯の隙間を犬歯のデコボコスペースの解消に使えばいいので、簡単です。
上下の真ん中も一致していくでしょう。




ところが実は問題ありなんです。
この患者さんは下の前歯2本が先天的に欠如しています。
そして奥歯の噛み合わせを診ると、ほぼ1本分下が前に位置している嚙み合わせです。
つまりこの患者さんは骨格的に受け口だと言えます。そのような場合、前歯の噛み合わせも浅く、前歯で噛みあっているかな?という状況も伴います。
もし下の前歯があと2本揃っていたら、下の歯並びはもっと大きく、しっかり逆の噛み合わせであろうことが想像できます。




ちなみに、反対側の奥歯は噛み合わせは良好ですが、5番目の歯(第2小臼歯)がスペース不足で完全に埋まっている状態です。
その分奥歯が前方移動して、皮肉なことに噛み合わせは良くなっています。
この患者さんはどうするか?
数年間は成長期ですので、受け口傾向の悪化が考えられます。成長期の下顎発育を阻止することは基本出来ません。
悪化したとしても敢えて成長変化をみて、安定してきたら、その状況に応じた治療計画を選んで行うのが賢明です。
骨格的に下顎前突傾向がある場合、特に成長の見守りが重要になって来ますし、歯並びより噛み合わせの改善の方が遥かに考慮を要し、難しいと言えます。






ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam

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