高校生になった女子の患者さんで、全体的矯正スタートです。
当院での管理歴は長く、以前から矯正相談はありましたが、数年前までは上下歯並びそれぞれ、そして上下噛み合わせはほぼOKでした。
ただし、成長期で下顎成長がみられれば矯正治療が望ましくなるかも、と予測してあえて経過を観ました。
現在も上下歯並びはほぼ問題なしですが、奥歯しかしっかり噛み合っておらず、開咬状態です。
ここ2年ほどの下顎の前方下方の成長によって、噛み合わせが悪化していると思われます。
反対咬合にはなっていませんが、上の前歯が前傾してさらに噛み合わず、結果上下前歯が出っ張った嚙み合わせになっています。
矯正治療後の後戻りや口唇とのバランスを含めて将来を考えると、抜歯矯正が望ましい例になります。
このような患者さんだと、デコボコ度だけ見ると抜歯矯正にはなりません。
矯正治療では、思春期の顎成長のコントロールはできませんので、早めに非抜歯で始めて、その後開咬の要素が出て来て結局抜歯というのでは問題です。
下顎成長の経過観察が適切と、再認識した1例です。
ふたつき子ども歯科 http://fc-dental.jp.net
透明なマウスピースを装着する、いわゆるアライナー矯正は、最初は永久歯列のみの適応でしたが、最近は小児の第1期矯正治療に適するタイプも出て来ています。
今日は、元祖とも言えるインビザラインファーストのWEBセミナーを診療合間で視聴しています。
夏休みモードで忙しくなるちょっと前で、今がタイミングですね。
このセミナーは小児歯科医が講師です。
私自身も歯列咬合は大学小児歯科時代の咬合誘導からスタートしています。
現在、普通に本格矯正も行っている状況で自分自身も振り返ってみると、小児歯科と矯正歯科は、同じ歯並びかみ合わせでも捉え方が異なる部分が割とあります。
小児歯科は、現状をみて、歯並びの予防矯正を早めに勧めがちと思います。
矯正歯科的立場だと、噛み合わせ改善がファーストで、歯並びは後でどうにでもなるという考え方がメジャーと思います。
早期のアライナー矯正は床矯正と同様な目的で使用されると思いますが、どちらも歯科医の技術力はあまり必要ないということです。
患者さんがその矯正法が適するか治癒可能か、そして永久歯列まで通して責任を負えるかという、歯科医側の診断力がポイントでしょう。
どちらもラボでの製作費用が高いので、歯科医サイドは、矯正料金をエコノミーにできないという部分もありますね。
永久歯前歯生え始めは、デコボコやハの字に開いているのが普通で、次第に改善することは分かっています。
アライナーで歯並び改善することは分かっていますが、ラボ料金も含め、果たして早期治療に適用すべきか?と迷うところではあります。
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矯正治療直後は、綺麗な歯並びかみ合わせになるのは、当たり前です。
その状況をできるだけキープするために、治療後に使用マストなのがリテーナーです。
一般的には上は取り外せる透明マウスピースタイプ、下は左右犬歯間を裏側から固定して取り外せないタイプです。
この患者さんは、向かって右上の犬歯が出て来ず、結局抜歯を受けたようです。
その結果、上の前歯間に隙間が残り、上のみの矯正治療を行いました。
抜歯を行った歯科医師が、その後の矯正治療まで誘導するのが普通ですが、この患者さんは謎でした。
治療でスペースは閉じ、できるだけ上下真ん中が一致するように仕上げました。
ところが、治療後のメンテナンス来院が良くなかったので、リテーナーはある程度は装着していましたが、その後不使用だったようです。
久ぶりの来院で、治療前と比べるとまだ良いんですが、前歯間の隙間で審美的問題が再発しています。
今までの来院歴から、前歯の隙間はコンポジットレジン使用の形態修正でも可と説明しました。
因みに、前から見ると普通に揃っているように見えますが、下からの写真では、側切歯の隣は第1小臼歯です。
第1小臼歯を前方移動できれば、審美的には問題なくなります。
再矯正治療をご希望で、上の歯並び部分矯正で対応します。
治療はできますが、後戻りのリピータになりがちなので、少なくとも治療後のカウンセリング、メンテナンスの重要性は繰り返し伝える必要があります。
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以前からの当院の患者さんで、今は成人しています。
上の前歯間のスペースが気になるとのことでしたが、奥歯の第2大臼歯が出ることで改善を期待しましたが、あまり変化が見られません。
第3大臼歯(親知らず)はない患者さんなので、矯正治療を開始することとしました。
噛み合わせが深い故に、上の前歯が前方傾斜してバラけ、スペースがあるのが一般的です。
この患者さんは上下顎の前後噛み合わせはOKですが、やはり噛み合わせが若干深いことが一因です。
加えて、上の真ん中のスジ、上唇小帯の歯間部分が太いという原因もありそうです。
この写真では分かりにくいんですが、前歯裏側の正中口蓋縫合部のスジまで太く連なっています。
噛み合わせが深い原因は、通常下の前歯が伸び出して横から見るとカーブを認めます。
この患者さんは、むしろ上の前歯部分が下りたようなカーブがあります。
なので、上の歯並びのみのワイヤー矯正で、噛み合わせ深さの改善とスペース閉鎖ができます。
一旦矯正治療をするからには、原因&後戻りの要素になる上唇小帯の処置は必要です。
これは矯正検査時の写真ですが、この後、同日に小帯の処置を行いました。
CO2レーザーで、外側から内側に連なった小帯除去は容易にでき、この処置は保険適用です。
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小学校高学年になって、出っ歯系の初期治療が望ましい時期になった患者さんです。
視診では、プレオルソが望ましいと判断しましたが、その後の永久歯の生え変わりの問題が無いかもスクリーニングしておくのが適切です。
それによって、永久歯列での治療予測がよりクリアになります。
パノラマX線写真で、上の両側永久犬歯が欠如しているのが発見されました。
乳歯は正常にありましたので、向かって左上は通常の生え変わり時期と思っていたら、異なりました。
ちなみに向かって右上の乳犬歯は残存していて、永久歯が無い場合は長期間脱落しないのが普通です。
プレオルソで出っ歯を内側傾斜させることで、前歯部分の歯並びかみ合わせは改善され、永久犬歯の無いスペースは小さくなります。
その後生えかわりを観察後、全体的矯正で奥歯部分を前方移動させることで、犬歯欠損なりの歯並びかみ合わせになると予測されます。
このように全体的スクリーニングをすることで、永久歯列までの予測が見えてきます。
犬歯欠損例は稀ですが、どこかしら永久歯欠損は10人に1人ほどなので、当院のような小児矯正歯科ではそのマネジメントは日常です。
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上の永久犬歯は、出て来る前の段階での位置不良例は珍しくありません。
どのように出くくるか、または出て来ないのか経過観察中、さらに矯正治療の患者さんも常にいます。
この患者さんは、乳歯がすべて生え変わった年齢です。
もともと上の犬歯は生え変わりの順番が後で、ズレている犬歯が出て来るのはさらに遅れます。
すべて生え変わると、奥の方にさらに第2大臼歯が生えて来て、歯が前方に押されます。
歯並びに連続性がないと、デコボコが悪化する時期になります。
なのでズレた犬歯が程々出て来るまで、この時期奥歯が前方移動しないように保隙装置(この患者さんではTPA)を入れて、矯正治療開始まで待ちました。
正面写真で分かりますが、デコボコ側の向かって左側に上の前歯がずれて、真ん中が一致していません。
また、下の歯並びはほぼ問題なしです。
上下顎の前後的位置関係もOKなので、2次元的に上の歯並びのみ改善すれば大丈夫ということになります。
マルチブラケット装置で犬歯部のデコボコ、上の前歯の移動を行っていきます。期間的には半年ちょっとと予測しています。
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同様のタイトルで、リンガルアーチという装置を紹介しましたが、今回は当院でよく適応しているプレオルソの例です。
向かって左側の切歯が逆に噛んでいて、下の前歯間にはまり込んだようになっています。
外傷性咬合が疑われ、比較的早期の改善が望ましい例です。
プレオルソが適する例と診断して、スタートしました。
使用状況良好で3か月後。
もともとかみ合わせが浅めですが、上の切歯4本が前後的に下と噛まない位、外側移動しています。
オーバーコレクションと言って、後戻りを計算に入れて丁度良い治癒状態です。
装置使用終了としました。
保護者の方が、上の前歯間の隙間を気にされていましたが、外側傾斜した上の前歯が下の前歯と正常に噛み合うまで後戻りすれば閉鎖します。
また、この時期の上の前歯は若干ハの字傾斜があるのが普通で、その後犬歯が生え変わるころに自然改善するという要素もあります。
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歯並びかみ合わせの問題は、まずは噛み合わせ改善が優先され、これは繰り返し述べていると思います。
反対咬合の改善では、上の前歯の前方移動が主ですが、プレオルソでは上の前歯を前方、下の前歯を後方、そして下顎を後方に誘導することを同時に行えます。
取り外せる装置なので、使用が良好であれば、数か月で治癒するのが普通です。
途中装置調整が不要なので、お互いに楽です。ただし、使用不良だと当然ですが治癒しません。
プレオルソは、使えそうかどうかを慎重にチェックしてスタートしますが、まれに予測に反して使用不良の患者さんがいます。
そのような場合、昔から使用されてきたいわゆるクラシックな装置を選択します。
上の歯並びに固定して前歯を前方に移動する装置で、慣れるまで数日はかかりますが、後は1か月間隔の調整で、数か月で治癒します。
さらに年齢が上がり、反対咬合に前歯のデコボコ等も伴う場合、ブラケットを付けるワイヤ矯正が選択肢になります。
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当院の来院歴は長く歯列咬合に問題はあり、主訴もある患者さんでしたが、諸々の理由できちんと対処できていませんでした。
今春、大学生になり、やっと定期的に来院できる環境になりました。
前歯が噛み合っておらず、かつお口も閉じにくい噛み合わせです。
上下前歯の凸凹もあって、審美的にも気になるところです。
歯科医としても、矯正治療が望ましい例です。
上の両側第1小臼歯抜歯が必要ですが、この患者さんは基礎疾患があって、内科主治医とやりとりして局所麻酔使用での抜歯OKとの返信をもらいました。
ある程度以上ハイリスクであれば大学病院への紹介もありますが、当院でモニター下の処置でO Kと判断しました。
アシストについたスタッフが、処置前後の血圧、脈拍、末梢血酸素濃度などを経時的に測定してくれ、数値的に安定したのを確認し、無事終了しました。
チームワークの有り難さを改めて実感する場面でした。
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反対咬合や上顎前突の噛み合わせの不具合がある場合、比較的早期の改善が優先されます。
歯並び改善は後ほど並べるのは簡単で、場合によっては永久歯抜歯が必要なので早期アプローチが無駄になります。
噛み合わせがほぼ良好であれば、歯並び改善がシンプルになるという関係があります。
乳歯列の安定期と永久歯前歯の生え始め時期にプレオルソ(マウスピースタイプ)使用を試みましたが、使用状況不良で治癒しませんでした。
噛み合わせが深いので、下顎前方誘導要素が大きく、一旦治癒すれば下顎後退して安定するタイプです。
プレオルソは乳歯列と永久歯生え始めでしたら同タイプ使用が可能で、患者さんにとってはエコノミーですが、残念でした。
次の一手として、リンガルアーチという裏側からの固定式ワイヤー装置で、上の前歯を前方移動予定です。
反対咬合の早期治療では以前から使われてきた装置で、入れて毎月調整すれば数か月で治癒しますので、治療予測性が高い装置と言えます。
こちらはセカンドオピニオンで上の前歯の出っ張りが気になるとのこと。
治療の要否や、必要な場合のスタート時期や装置についての相談です。
出っ歯ているためお口ポカン傾向があり、上下前歯間に下唇が入ってしまう咬唇癖を伴っています。
また噛み合わせが深く、下顎が後方誘導されている噛み合わせです。
このままだと悪化が予測されることを説明し、平均的な患者さんよりやや早めにプレオルソ(タイプ1)の使用を提案しました。
噛み合わせを上げながら突出を改善し、さらに咬唇癖のストップを図りますので、1年〜1年半の使用期間になるでしょう。
いずれも使用後に成長期がやって来て、反対咬合系、上顎前突系がどの程度になるか経過観察は必要です。
早期治療で、完璧でなくとも許容範囲になることもあるので、この時期のアプローチは重要と考えています。
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