熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

弾き振り

2007年10月13日 | コンサート
チェロ協奏曲で、初めてチェロの弾き振りを見ました。
ピアノの弾き振りより、体の位置的に不便そうでした。
しかしながら、難なく指揮も演奏もこなされ、大喝采。

この定演では、開演20分前に演奏者のプレトークがあるのです。
チェリスト&指揮者、ゲリンガス氏登場。
御髪は見事にシルバーグレーになられ、太られたよう。(コングレスで2度拝聴)
ロシア語のゲリンガス氏の通訳は、ロシア系のコンマス氏。
2年前の、ロストロポーヴィチ氏も参加の大阪のチェロコングレスは思い出深いとのこと。
ちょっ~と、チェロコングレスは神戸です。(大差ないって?)
チャイコフスキー交響曲7番の思い入れとか話されました。

モーツァルトは、一気にアルファ波が出るような心地よさ。
弦楽の大編成でのディベルティメント、贅沢な音でした。

チェロ協奏曲では、ゲリンガス氏、チェロを捧げ持つようにして、ご挨拶。
エンドピンは以前と同じく、傾斜がついていました。
風格のある楽器は、ライトが当たってピカピカ。
渋みのある熟成された音に思いました。
超高音と、pの音が何とも美しいです。
超絶技巧の時、肩パッドが邪魔そうでした。

<アンコール>
コルサコフの熊蜂。ぶんぶん猛スピード。
ケラス氏の時と同様、5番サラバンド。
ターラーラーラー、ターラーラーラー、ケラスさんより深刻な感じ。
どうして、この曲人気なのでしょうか。

一番、感動したのがチャイコフスキー7番。
交響曲は6番悲愴で終わりとされていて、初演後間もなく謎の死を遂げています。
書きかけの7番というのがあったのを知ったボガティレフ氏がパッチワーク的に2楽章、3楽章を完成させました。
この曲想から、チャイコフスキーは死のうとしていたのではなく、生きることをこよなく愛していたとゲリンガス氏も述べています。
あまり演奏されることがないこのシンフォニーに惚れこんだゲリンガス氏は、去年、日本でも九州で初演をされました。

雄大で、生命力にあふれた曲を聴きながら、生きることの尊さを思いました。

実は、このチケットを買ったのが6月中旬。
母の病気は夢にも思わず、末期がんの親友もまだ元気で、次男君の結婚式に張り切っていました。
結婚式後、徐々に体調を崩し、最近では辛い病状を携帯メールで知るたびに悲しくてやり切れません。
近々、母校の120周年ホームカミングデイというのがあり、彼女も東京からコーラス参加を楽しみにしていました。
恩師と高3のクラスメートで何が彼女を励ますことができるか相談中。

苦しみに耐えている彼女のことを思いながら、聴き入りました。

◆モーツァルト: ディヴェルティメント ハ長調 K.157

◆ハイドン: チェロ協奏曲第2番 ニ長調
 
◇アンコール
リムスキー・コルサコフ 熊蜂
バッハ 無伴奏5番サラバンド

◆チャイコフスキー/ボガティレフ補筆: 交響曲第7番 変ホ長調