陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

季題 夏の果

2023年08月20日 | slow value

立秋を過ぎたのではあるが、天地はまだまだ晩夏の装いだ。「夏の果」という季題がある。夏終る、夏の限り、夏の別れ、夏の名残、ゆく夏、夏惜しむ、暮の夏、夏を追う、と角川の歳時記では素敵な傍題が並んでいる。

今年は8月22日が旧七夕、23日が処暑、そして30日が旧ぼんである。

晩夏の海が好きだ。昔、子どもの頃はお盆が過ぎたら海で泳いではいけないと親たちから言われていた。特に小学低学年の頃は毎夏、九州の半島にある父の里に帰省していた。叔母の家にひと夏滞在、いとこたちと手漕ぎの舟を出して沖釣りをしたり、養殖のブリの生け簀に巻き餌を求めてやって来る天然のハマチを銛(もり)で突いたりしていた。箱眼鏡でサザエやウニ、たまにアワビもカギ付きの長い竿で突いて採ったりしていた。今思えばこの時の原体験が今の創作活動の大きな肥やしになっていると思う。

それにしても今年の夏は山や海での事故の報道が例年に比べて多かったような気がする。山岳事故では中高年の滑落、海や川では少年や若者の溺死事故が必ずニュースになっていた。

「お盆過ぎて海や川で泳ぐと死んだ人に足を引っ張られるよ、河童にひっぱられるよ。」そういって親たちが言っていたことが昨日のように思い出される。まあ戒めの言葉なのであろうが、確かにお盆を過ぎると海は海月(くらげ)が増えてくるので刺されたりするし、実際、波も高くなってくるので泳ぐのは危ない。親の箴言を今更のように思い出す晩夏である。

さらさらと晩夏を刻む砂時計

(写真)讃岐・津田の松原にて

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