江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

大空知らず

2013-09-10 00:01:36 | 日記
我が家の山椒の木は、食卓を飾るためにあるのではなく
アゲハの為にある、と言っても過言ではない。
毎年20匹以上の幼虫を数える。
大体が山椒を離れ、私たちに見付からないように蛹になるのだが、
最近主人に似て横着になったのか、そのまま山椒の枝になるのが増えた。
今年も4つなった。

蛹から成虫が出てくるところは、まだ見ていない。
羽を伸ばし、そして乾かすところは何度か見ている。
伸ばしきったばかりの羽は、それはそれは美しい。

飛んだ瞬間は妖精かと思ってしまうし、
卵を産み付けに来たときは、どんなにボロボロの羽をしていても、
何かの使いが来たと思えるのだ。

ところが、だ。

昨日は土砂降りに会い、
濡れた衣服を乾かすため、何度かベランダの窓を開けたてしていた。
そして、はっと気付いた。
そこに羽を乾かしていた1匹が。
どうやら羽を挟んでしまったらしい。

閉じた羽を上から見ると、
後ろの小さな羽が、折れているようだ。

今日は日向に出て羽を拡げていたので、
何とか飛べるようになるかと思ったが、
今もベランダにいる。
大空を知らず、このまま天寿を全うするのか、
「大空を知らないままで」と思うと、
申し訳ない気持ちで一杯になってしまうのだった。
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2 コメント

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spiel (perlen)
2013-09-24 22:52:19
ベランダに、小さな檸檬の木がある。
檸檬一個の、全ての種を蒔いた内の一粒から成ったものだ。
その小さな木が今、二つのアゲハの幼虫と沢山のうんこを乗せている。
幼生もまた妖精、大空知らずでも、等しく、命だ。
極端気候に在っても猶、自然はめぐり続けていくと信じていたい。切ないが。
人類は、信ずるに値するか。少なくとも貴方は値すると感じる。希望の一粒だ。
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蝶 その後 (上條 充)
2013-09-25 00:58:27
蝶は大空を飛翔することを夢見て、
羽ばたき、もがき、そして傷つき、羽は折れた。
2度とベランダの床から上に上がることは、できなかった。
なんだか萎れてきたように見えたので、
ペットボトルのキャップに水を入れて差し出す。
飲んだ後は、身体に張りが戻ったような感じがした。

そして台風一過の朝、蝶は横たわっていた。
1週間の命だった。
懇ろに弔う。
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