我が家の山椒の木は、食卓を飾るためにあるのではなく
アゲハの為にある、と言っても過言ではない。
毎年20匹以上の幼虫を数える。
大体が山椒を離れ、私たちに見付からないように蛹になるのだが、
最近主人に似て横着になったのか、そのまま山椒の枝になるのが増えた。
今年も4つなった。
蛹から成虫が出てくるところは、まだ見ていない。
羽を伸ばし、そして乾かすところは何度か見ている。
伸ばしきったばかりの羽は、それはそれは美しい。
飛んだ瞬間は妖精かと思ってしまうし、
卵を産み付けに来たときは、どんなにボロボロの羽をしていても、
何かの使いが来たと思えるのだ。
ところが、だ。
昨日は土砂降りに会い、
濡れた衣服を乾かすため、何度かベランダの窓を開けたてしていた。
そして、はっと気付いた。
そこに羽を乾かしていた1匹が。
どうやら羽を挟んでしまったらしい。
閉じた羽を上から見ると、
後ろの小さな羽が、折れているようだ。
今日は日向に出て羽を拡げていたので、
何とか飛べるようになるかと思ったが、
今もベランダにいる。
大空を知らず、このまま天寿を全うするのか、
「大空を知らないままで」と思うと、
申し訳ない気持ちで一杯になってしまうのだった。
アゲハの為にある、と言っても過言ではない。
毎年20匹以上の幼虫を数える。
大体が山椒を離れ、私たちに見付からないように蛹になるのだが、
最近主人に似て横着になったのか、そのまま山椒の枝になるのが増えた。
今年も4つなった。
蛹から成虫が出てくるところは、まだ見ていない。
羽を伸ばし、そして乾かすところは何度か見ている。
伸ばしきったばかりの羽は、それはそれは美しい。
飛んだ瞬間は妖精かと思ってしまうし、
卵を産み付けに来たときは、どんなにボロボロの羽をしていても、
何かの使いが来たと思えるのだ。
ところが、だ。
昨日は土砂降りに会い、
濡れた衣服を乾かすため、何度かベランダの窓を開けたてしていた。
そして、はっと気付いた。
そこに羽を乾かしていた1匹が。
どうやら羽を挟んでしまったらしい。
閉じた羽を上から見ると、
後ろの小さな羽が、折れているようだ。
今日は日向に出て羽を拡げていたので、
何とか飛べるようになるかと思ったが、
今もベランダにいる。
大空を知らず、このまま天寿を全うするのか、
「大空を知らないままで」と思うと、
申し訳ない気持ちで一杯になってしまうのだった。
檸檬一個の、全ての種を蒔いた内の一粒から成ったものだ。
その小さな木が今、二つのアゲハの幼虫と沢山のうんこを乗せている。
幼生もまた妖精、大空知らずでも、等しく、命だ。
極端気候に在っても猶、自然はめぐり続けていくと信じていたい。切ないが。
人類は、信ずるに値するか。少なくとも貴方は値すると感じる。希望の一粒だ。
羽ばたき、もがき、そして傷つき、羽は折れた。
2度とベランダの床から上に上がることは、できなかった。
なんだか萎れてきたように見えたので、
ペットボトルのキャップに水を入れて差し出す。
飲んだ後は、身体に張りが戻ったような感じがした。
そして台風一過の朝、蝶は横たわっていた。
1週間の命だった。
懇ろに弔う。