江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

その日は

2015-08-31 23:27:08 | 日記
天気予報では、昼過ぎから雨が降り出すことになっていた。
雨ならば人出は少なくなるだろうと思いながら
最寄駅に向かうと、
ホームのそこここに、それらしきプラカードを持った人たちが立っている。

それを見ただけで、今日は違う、と感じる。

乗り込んだ電車が止まる度に、そういった人たちが続々乗り込んでくる。
丸ノ内線新宿駅に至っては、まるで通勤時のような混雑ぶり。
その人たちが一斉に「国会議事堂前」で降りるのだ。
向こうのホームでもぞろぞろと、改札口に向かっている。
ところが改札口にたどり着いたら、全く身動きが取れなくなってしまった。
規制がきつく、4つある出口のうち3つまで封鎖して
残り一つも外に出たところで規制しているらしく、
全く動かなくなってしまったのだ。
何人かがそこにいた若い警察官に抗議している。
誰かが「開けろ!」とコールし始めると
何人もの声が呼応する。
若い警察官たちは、その雰囲気に圧倒されている。
ともかくホームから出口まですし詰めの状態なのだから。
そのうちもう一つの出口が開かれ、人はやっと流れ出した。
どうやら弁護士で組織された見守り隊が動いたようだ。
外に出るまで20分近く要しただろうか。

外に出てホッとしたのも束の間、またしても止まってしまった。
横断歩道で渡る人数を規制しているようだ。
歩道と車道の間には、規制線が引かれている。
が、人はどんどん駅から上がってくるから、
後ろから押されて危ない状態になって、やっと規制線は解かれ、
人はどっと車道に溢れ出た。

集会は始まっていた。
人は会場に急ぐ。
もう警察官の規制が利かない。
議事堂のすぐ前の交差点にたどり着いたとき、
そこで前に進めなくなってしまった。
警察は慌ててカマボコ(機動隊用のバス)を移動させて壁を作り
「ここは会場ではありません、立ち止まらずに進んでください」と指示するが
人は路上に溢れ、自然と道路を占拠することに。
警察は追い払うように指揮車を入れようとしたけれども、
人の波に押し返されたようだった。
なす術がなかっただろう。

人の波に飲まれ、自分たちの後ろにどれだけに人がいたか
前にどれだけの人がいたか全く把握できなかったが、
帰りに受け取った新聞の号外の写真を見て、
その凄さを知った。
ただ私の見た写真は、そのほとんどが議事堂に向かってのものであったり
議事堂側からとったものだったけれども、
議事堂のすぐ前の6車線の道路を埋め尽くしていた人たちは写っていない。

かなりの人が写真や動画を撮っていたから
ネットにはそれらで溢れているだろう。
お陰で権力も下手なことはできなくなった。

交差点の真ん中に立ってシュプレヒコールを上げながら、
私は自分を笑ってしまった。
ふと信号に目をやったら、赤から青に変わった。
その途端私は、前に進もうとしていた。

こうして人は、飼い馴らされていくのだ、と。
コメント
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