江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

道徳

2013-03-13 01:10:12 | 日本の文化について
私の周りには、自らを無宗教だとか無心論者だとか言う人は多い。
私もかつてはそうだったのだが、神社やお寺に行くたび手を合わせる自分を見て、
自分は「日本教だ」と思うようになった。
自分に都合よく八百万の神々と付き合っているのである。
「都合よく」とはよく言ったもので、実は神道にしても仏教にしても
良く知っているわけではない。
そんな折、「梅原猛の授業 仏教」(朝日新聞社 刊)と出会った。
中学生を相手に授業を行なったその実録なのだが、
それだけに分かりやすく、且つ面白かった。

仏教の目的は、己の欲望をコントロールすることだという。
そしてその悟りに至るまでの道は、道徳につながる。
なんとその内容は、コツコツ積み重ねることとか、集中することなど、
人形遣いの修業に近いところがあるのだ。
それはさておき

江戸時代、民間の子どもたちの学校は、寺子屋だった。
その名の通り寺が学校になるのだから、仏教を通して道徳を教えた。
武士は儒教。
それが明治維新で廃仏毀釈となり、国家神道が国教になると、
その道徳が崩れていく。
今、道徳教育についていろいろ言われているが、
今更仏教を中心にするわけにいかないまでも、
その歴史はしっかり検証すべきだろう。
「維新」は、全てに良かった訳ではない。

母方の宗教の日蓮宗は、「現世利益」を追求した唯一の宗派だ。
他は皆、来世で良いことがあると説いている。
今の世の中、世界中が現世利益に走っているが、
今は苦しいけれども真面目に生きれば、素晴らしい来世(あの世)が待っている
という考え方は、文化の伝承に役立っていたのではないか
と、最近思うようになってきた。
詳細に語れるほどの知識はないのでここで止めるが、
哲学として仏教を捉え直すことは決して無駄にはならないと思う。
この本は、そのきっかけになりえる本だと思った。
コメント
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