江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

創り込んで削る

2010-08-31 01:50:59 | 劇評・他
修業時代、芝居は稽古の最初の頃は創り込んで、できるだけ多くのものを
入れ込んで、そして削っていけばよいと教え込まれた。
別の言い方をすると、最初から正解を求めるのではないのですよ、ということ。

今日は知人の芝居を見た。
シェークスピアの「オセロ」
私は正直言って、新劇の人たちの台詞術というのが苦手だ。
シェークスピアというと、そりゃあ新劇でしょう。
彼が出ていなければ、行かなかった。
その彼が、良かった。

彼は喜劇俳優。
仲間の一人と組んで、コントもやっている。
だから身体は良く動くし、顔の表情も大きい。
私は何度も彼の舞台を見ている。
しかし何故シェークスピアで、しかもイアーゴの役なのかなと、
ちょっと不思議でさえあった。
ところが彼は、不思議な存在感を出していた。
今まで見た彼とがらりと違っている。
うまいと思った。
表現も抑えている。
といって、ここぞというときの表情は、抑えていても際立っている。
また客席を見る目が良い。
いつもコントで客席を見て演じているからだろう、柔らかいのだ。

以前ブログで、新劇俳優が歌舞伎の所作の真似事をする舞台について書いたことがある。
見ていられなかった。
訓練していないとはこういうことかと、つくづく思った。
素ッピンで見得を切ったって、表情にならない。
ところが先日前進座の若手と一緒する機会があって、彼らが素ッピンのまま立ち回りを
披露したのだが、見得が決まるのだ。
歌舞伎の隈取は、顔の筋肉に合わせて描くと聞いたことがある。
顔の筋肉を鍛えないと筋を描くことはできないだろう。
基本的な訓練が違うのかなと、その時思った。

喜劇やコントで彼は鍛えられていたのかもしれない。
2月に彼と共演する。
楽しみだ。

彼の名は、めだちけん一
コメント
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