マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

海老蔵の「石川五右衛門」を観る

2015年01月16日 | 映画・美術・芝居・落語

 1月9日(金)にも、頂いたチケットで、新橋演舞場で海老蔵の「石川五右衛門」を観て来た。海老蔵人気は凄い。大入り満員である。
 松竹は今年で創業120年になるそうで、それを記念しての「初春花形歌舞伎」は昼の部も夜の部も、海老蔵の「石川五右衛門」一本のみ。私がまだ歌舞伎を観なかった2009(平成21)年8月に、『金田一少年の事件簿』の原作者樹林伸に参加してもらい、新たなストーリーを構築し、海老蔵による五右衛門が上演されたそうな。今回も樹林伸を迎え、従来の作品とは違った構想での作品と、チラシには書かれていた。
 例によって早速イヤホンガイドに耳を傾けると、石川五右衛門の解説が流れて来た。公家の遺した日記に五右衛門のことが書かれていて、実在の人物と考えられ、更に釜茹も秀吉時代によく行われた残虐な刑、五右衛門も釜茹にされた可能性は高いとのこと。



 配役は五右衛門の敵役ワンハンに中村獅童、豊臣秀吉に市川右近、茶々に片岡孝太郎。
 舞台は煌びやかにして豪華絢爛。反面、ストーリーは奇想天外にして荒唐無稽。
 そのハチャメチャな物語の概略を追ってみると、

 第一部は日本国内での話。秀吉寵愛の宝物を盗まんと大阪城に忍び込んだ五右衛門はそこで茶々に一目惚れ。茶々も五右衛門に惹かれ、茶々は五右衛門の子を身籠り出産。そのことを五右衛門から聞かされた秀吉は狼狽えるどころか、「実はお前は私の倅。だから茶々の産んだ子は、ワシの孫。豊臣家跡継ぎなのだ」と誇らしげに語り、これには五右衛門もびっくり。南禅寺山門上からの海老蔵の睨みでは場内は割れんばかりの大拍手。

 第二部は明時代の中国での話。女真国の王ワンハンは”日の本”の国の絶世の美女茶々を攫って来いと女将軍に命じ、彼女は海の彼方の日本までやってきて、茶々を拉致。茶々を助けんと、女真国に乗り込んだ五右衛門は幾多の闘いの末に、部族の内部抗争乗じてワンハンを打ち破り、二つの部族を統一して王となってしまう。
 義経がジンギスカンと同一人物という伝説を彷彿させる物語ではある。

 しかし、最後に秀吉が弓を持って満州国に乗り込むというクダリは頂けない。架空の物語とはいえ、秀吉の朝鮮出兵へ厳しい批判精神が全く欠けている。荒唐無稽はまだしも、相手国に不愉快な思いをさせるような展開は避けたほうが良いと感じた。右近の秀吉の演技が味わい深いものだけに、そこが残念だった。五右衛門は宙乗で凱旋というサービスに観衆は拍手喝采だったが・・・。