マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『ビブリア古書堂の事件手帖6』(著:三上延 メディアワークス文庫)を読む

2015年01月31日 | 読書

 『ビブリア古書堂の事件手帖』は昨年12月に巻6が出版された。今までに累計600万部が発売されたというから、凄い。主人公が女性ということもあり、女性の愛読者が多いことがその理由と私は見ている。第6巻も荒川5中の先生が貸して下さった。第5巻は2014年2月に読んだので、栞子さんや五浦大輔君とは1年振りの再会である。
 第1章には『走れメロス』、第2章では『駆込み訴へ』、第3章では『晩年』と、いずれも太宰治作品が登場して、その作品にまつわる謎を栞子さんが解き明かす。それが縦糸で、横糸が主人公二人の恋の行方です。




 第6巻のプロローグでは、大怪我をして入院してる大輔を、栞子さんの母親篠川智恵子が訪ねきて、大輔は大怪我した経緯を語らねばならない羽目になります。巻6にはその大輔の”武勇伝”の物語もあります

 栞子さんに大怪我を負わせた田中敏雄と大輔が、北鎌倉の長谷の寺近くで”再会”するところから話の幕が開きます。田中が大輔に会った目的は、今まで求めていたとは違う『晩年』を捜してくれとの依頼でした。太宰の署名入りではないが、太宰自筆と分かる珍しい書き込みがあるらしい古書です。
 この本を追い求めるうちに栞子さんと大輔は驚くべき事実にたどり着きます。第2章では、密室状態の書庫から消えてしまった、太宰の稀覯本『駆込み訴へ』消滅のトリックを栞子さんが解き明かします。
 第3章では、求めていた『晩年』の在処がついに明らかになるのですが、それとの交換時に栞子さんの所有しているもう一冊の『晩年』を奪い取ろうとする悪意の犠牲となって、大輔は階段から落下。それがもとでの大怪我だったのです。栞子さんの推理はそれが誰の仕業か見抜くのですが、それは全く想像できない人物でした・・・。

 第5巻の終わりでは、栞子さんは母親に会って、母の思いを聞いてからでなければ、大輔への返事が出来ないと思いつめ、母親に会い、母の思いを聞き出すところで終わっていましたから、第6巻は当然その続き、との私の思いは裏切られました。この点が非常に残念でした。物語はまだまだ続きそうですが、二人の関係は口づけまでです。
(付記:太宰はペンネーム黒木舜平で『断崖の錯覚』というミステリーを書いていた。URL
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/249_15073.html  全文が載っています)