『脱原発宣言』をした城南信用金庫が、東京電力との契約を解除し、自前の火力発電所や風力発電所などで作った電力を供給する「エネット」からの電力購買に切り替えて久しい。
11月9日の東京新聞には『城南信用金庫は城南総合研究所を設立し、研究の第一弾として「原発問題」のレポートを作成した』と書かれていた。研究所所長は自民党歴代政権のブレーンだった加藤寛慶応大学名誉教授。その点には違和感を覚えたが、理事長吉原毅が設立趣旨説明で「加藤所長は、原発は即時廃止すべきで、原発ゼロは国民経済の新たな成長発展につながるという見解を持っていると方」と書いてあるのを見て、研究レポートの「調査報告書」を読んでみようと思った。
12月18日(火)、80円ビールのお店を探し始める前に、城南信用金庫神保町支店に寄って、調査報告書No1とNo2を貰ってきて、概略を読んだ。その内容を記す前に、城南信用金庫との長い付き合い(?)を書いておきたい。
実は、今から半世紀以上も前の1959年(昭和34年)、妹が中卒で城南信用金庫に就職した。その頃の金融機関が高卒以上しか採用しない慣習のなかでは異例のことだった。その城南信用金庫が、1992年に日本の金融機関で初めて不良債権のディスクロージャー(情報開示)を実施したことを知り、住宅ローンを銀行からここに移し替え、長い付き合いの末、定年の最終月に全額返済をした。今もここに何がしかの貯金をしている。そして今回の「脱原発宣言」である。
さて調査報告書。No1では「原発ゼロ」の根拠として、≪原発がなくても、電気は十分足りている≫として、昨年夏がそのことを実証したと書き、
≪原発を稼働し続けると、かえって電気料金は大幅に上がるはず≫と、経済産業省のコスト計算に対し、立命館大学の大島教授の試算をあげ、
≪使用済核燃料の問題≫でも、数年で保管場所がなくなることを指摘し、
≪結論≫では、とりかえしのつかない事故が再び起こる前に原発を廃炉にすることが、経済的にも正しい判断であると記した。
No2では11月1日に開催されたシンポジウム「自然エネルギーによる安心できる社会へ」でのパネリスト、例えば桜井勝延(南相馬市長)や加藤登紀子(歌手)の発言内容がまとめてあった。No3以下では代替エネルギーの研究が載るものと期待している。
「社会貢献企業」を目指す城南信用金庫がより一層活動を充実して欲しいし、日本のより多くの企業が、己の利益を求めるだけでなく、少しは「世の為、人の為」を目指してほしいものとも思う。