例年、大晦日にはご近所の吉祥寺で、順番待ちして除夜の鐘を撞いて来たが、今回は、自宅から徒歩10数分ほどの「徳源禅院」へ出掛けた。福寿会会長Kさんから、ここも除夜の鐘を撞かせてくれると聞いていたからである。
実に気持ち良いお寺さまで、温かいおもてなしをして頂いた。
年が明ける20分ほど前に寺に到着し、鐘の前で暫く待っていると、ご住職が現れ、本堂の扉が開けられ、読経の準備が始まった。外で甘酒を調理していた奥さまと思しき方の「皆様どうぞお上がり下さい」の声に導かれて本堂へ上がると、多数の座布団席と椅子席が目に入った。僅か6名ほどの方全員が椅子席に座ると、程なくお経が始まった。どんな経が読まれたのかは浅学にして分からないが、10分ほどで終わり、お焼香のあと、ご住職に従って本堂を出た。(写真:開かれた本堂)
次いで鐘楼での鐘つき。まずご住職が一突き。空気の澄んだ夜空に、”ゴ~~ン”と静かに、除夜の鐘の音が響いた。次いで一般の人の順番となり、私は8番目に、力一杯鐘を撞いた。その後甘酒を頂いたが、これが美味しい甘酒で、寺の門を出るとき時計を見ると0時1分。とても気持ちの良い、新年の第一歩となった。(写真:まずご住職が)
実はこのお寺、母の実家の菩提寺である。小学校へ上がる以前のことだが、母に連れられて、とあるお寺を訪れた記憶がある。幼い頃の記憶は大方は忘れ去っていくのに、何故かこの寺の記憶と映像は私から離れなかった。記憶の断片に、下車した駅のそばで、国電と思しき電車を見下ろした映像と、都電に乗った記憶が鮮明に残っていた。
成人し、どこの何と言う寺か、母に問うと「白山にあるお寺で、実家の菩提寺の徳源禅院」との事。地図で調べてみると、その頃私の勤務する向丘高校のそばにあり、勤務帰りにお寺を訪ね、外観を眺めた。下車した駅は当時の国電駒込駅で、そこから都電で白山方面へ向ったのだと合点し、幼い頃の記憶と一致した事が嬉しかった。ただその後、このお寺の事はすっかり忘れてしまっていた。(写真:本堂へと続く道。日中に写す)
その徳源禅院が再び姿を表したのは2年前の事。ラジオ体操終了後、福寿会3人組で散歩していた折に、毎朝7時に聞こえてくる鐘の音の主は、どこのお寺か”探索”に向かったことがあった。初めは吉祥寺かも知れないと考えていたのだが違っていて、動坂に通じる道沿いの寺に辿り着き、寺名を見ると「徳源禅院」とあり、あっと思った。母から聞いて一度訪ねたお寺だったからである。
その事もあり、初めて除夜の鐘を撞かせて頂いたが、一般の参拝者も本堂に請じてくれる等、懐の広さを有難いと感じた。実家の菩提寺が、温かいおもてなしをする寺であったも嬉しい限りだった。(写真:鐘楼。これも日中に撮影)
(付記 箱根駅伝のVDVが送られてきて、私がバッチリ写り、家人の姿もチラッと登場していた)