A Day in The Life

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「くちなしアンプル」真ED到達!

2021-04-26 23:16:44 | ゲームな話

 というわけで、なんとか1000階まで制覇しました「くちなしアンプル」。
 現状、最深層である1000階到達、101階~999階までのフロアのマジックレベル最大、真ボス討伐まで完了して、残り実績は「すべてのスキル習得」のみという状態です。一応この時点で実質的におしまいということで改めてレビューをば。

 本作を一言で表すなら、「看板に偽りあり」でしょうか。
 ここで言う看板とは、ゲームのウリとして提示されている「ローグライク」と「ダンジョンの農地化」です。
 このふたつの看板のうち、「ローグライク」の部分は実際にプレイしてみると完全に抜け落ちているとがわかります。
 ダンジョンでの出現アイテムは回復アイテム、素材、キーアイテムのみ。
 そのためダンジョンを隅から隅まで攻略するメリットがはほとんどありません。
 また、レベルは持ち越し、武器防具は一切なし。
 そのため、「強力なレア武器を探す」とか「武器を育成する」といった要素も皆無。
 つまり本作では、ローグライクを名乗っておきながらローグライクに必要な構成要素がほぼゼロという状態なのです。
 そのため本作はローグライク的な楽しみ方はまずできないと言っていいでしょう。
 このせいで戦闘が非常に単調になっているのが惜しい。
 本作の戦闘は敵も味方も攻撃手段ほぼ近接戦闘のみで、アイテムを投げたり魔法を使ったりといった戦略性はまったくありません。
 敵の攻略法以前に、そもそも取れる行動が攻撃とアイテム使用と移動だけなので、勝敗は戦略ではなく純粋にレベルとステータス、あとは回復アイテムの量で決まってしまいます。本作の戦闘の基本理念は、錬金術師にあるまじき「レベルを上げて物理で殴る」オンリーなんですね。
 そのため、ローグライク要素を期待している人にはまったくおすすめできないということになってしまいます。
 では、もう一つの「ダンジョンの農地化」はどうでしょうか。
 こちらは非常にうまく機能しています。
 初プレイ時の感想でも述べましたが、ローグライクにおいて踏破済みの浅いフロアはあんまり通過する意味のないもの。
 そこを、「素材を消費することでフロアを農地化する」というアイデアを適用することで「踏破済みのフロアの再利用し、素材を一気に大量回収できる」「完全に農地化したフロアはまとめてスキップできる」というメリットを与えてくれます。
 事実、前半部分のゲームプレイを牽引する要素はこれでした。
 フロアをまとめて農地化するのはなかなかの快感ですし、それに合わせて手に入る素材が倍加していくとスキルも習得しやすくなるので間接的にキャラ強化にもつながります。
 そしてキャラが強化されればより深いフロアを攻略していけるという正の循環が構成されるのでゲームの構成自体も良かったと思うんですよ……100階までは。
 しかし、一応の目標である100階をめでたく制覇したあとは、なんとこのダンジョンの農地化は打ち止め。
 つまり、前述したふたつの本作のウリであったはずの「ローグライク」「ダンジョンの農地化」のふたつの要素はここに来て完全に失われてしまうのです。
 しかも、100階クリア後の最終目標となるダンジョンの最深層は1000階。つまり、ゲーム側が提示している「ローグライク」「ダンジョンの農地化」の要素が機能しているのは、実質的にゲーム全体の10分の1までという……。
 この「ダンジョンの農地化が100階で打ち止め」というのは本作において本当に致命的なミスだったと思います。
 なぜなら、このせいで100階クリア後のゲームプレイがプレイヤーにもたらすストレスが倍加してしまっているからです。
 本作はクリア済みのフロアを農地化することで、「連続したフロアを農地化すればフロアはひとまとまりになるので、踏破したフロアを一気にスキップできる」「農地が増えることで短時間で一気に大量の素材やアイテムを入手できる」というふたつのメリットが得られます。
 これらのメリットは、まとめて言えば「効率的なプレイが可能になる」ということと言えるでしょう。
 しかし、農地化が100階で打ち止めとなる事によってこれらのメリットは完全に失われてしまいます。
 しかも、クリア後に開放されるダンジョンは1000階という、単純計算で今までの10倍(厳密には9倍か)という大ボリューム。
 これがどういうことかというと、「攻略対象であるダンジョンのボリュームは大幅に増えているのに、攻略効率は大幅に落ちる」ということになってしまうのです。
 ダンジョンのフロアをスキップする方法がないわけでもありません。素材を投入してダンジョンのマジックレベルを上げることにより、フロアをスキップできる魔法陣が出現するようになります。そして、この魔方陣でスキップできるフロアの階数はさまざまな手段で増やせます。なので、最終的には100以上のフロアを一気にスキップできるようになります。
 でもそれはあくまで「最終的に」であって、フロアのマジックレベルが十分に上がるまではスキップできない、あるいはスキップできる階数が少ないという状態で大ボリュームのダンジョンを進めることになります。
 さらにはマジックレベルが低いうちは、フロアをスキップできる魔法陣が出現しないことさえあります。
 これによって100階クリア以降のプレイスタイルは、「以前できていたことができなくなったというストレスに悩まされながらダンジョンを非効率なやり方でちまちま攻略させられる」という構図になってしまっているのです。
 いわゆるおまけダンジョンだったり特殊な条件を課せられた状態で攻略するダンジョンであればまだわかるんですが、100階クリア以降の全編に渡ってこの「以前できていたことができなくなる」というのは、大袈裟な言い方をすればゲーム側からの裏切りなわけですよ。
 そして100階クリア以降のダンジョンは、敵の強さ以外はほとんどそれまでのダンジョンと差別化されておらず、見た目に関して言えばまったく変わっていません。そのため、100階以降のダンジョン攻略は完全に苦行となってしまってます。
 さらに言うなら、本作では素材を投じることでさまざまなスキルを習得できるんですが、このスキル(実質アップグレード)には非常に死にスキルが多い。
 攻撃力をはじめとするステータスアップ系はスキルとは呼べないものですし、着脱システムもないのでスキルを状況に応じて付け替えるといった戦略性はゼロ。
 さらに効果の大小で必要以上に細分化されているので水増し感が非常に強い。
 膨大な数のスキルの中で戦闘に使えるものがほんのわずかしかなく、それも威力の差を除けば単体攻撃と範囲攻撃の2種類のみ。
 特に問題を感じるのはデバフ防御系スキル。これもデバフの種類×効果の違いでかなりの数のスキルがあるんですが、はっきりいって体感できるレベルのデバフ防御効果はありません。
 また、スキップできる階層を増やせるスキルもあるんですが、これを覚える頃にはもうすでにフロアのレベルアップによってスキップできるフロアが増えているので意味がない。
 このように、本作のボリュームの大半は「水増しと非効率化によって無理やり引き伸ばされている」と強く感じるものでした。
 
 また本作では、「ローグライク」「ダンジョンの農地化」に続く本作の第三のウリとして「クリッカーゲーム」の要素が挙げられています。
 大きく変わった点と言えば入手素材数なんですが、これもプレイのモチベーションに結びついているかと言うとかなり怪しい。
 クリッカーゲームの楽しみといえば、ショップなどをアップグレードしていくことで段々とインフレしていく数値とビジュアルなんですが、本作では数値的には入手素材数が増えたりHP、MPが増えたり、あるいはダンジョンが1000階まで増えるというインフレ要素はあるんですが、それを視覚的に楽しませてくれる要素が皆無なんですよね。
 数値的にはインフレが起こってるはずなんだけど、大量のアイテムが出てくるとか画面中が素材で埋め尽くされるといったようなそれに伴う視覚的快感が非常に薄い。
 また、クリッカーゲームにおける効率化の手段として重要な自動化の要素もありません。
 そのため、「ローグライク」「ダンジョンの農地化」に続く本作の第三のウリとして「クリッカーゲーム」の要素もまたないということになり、最終的に本作は「ローグライクとダンジョンの農地化とクリッカーゲームという3本の柱を立てておきながら、それらを構成するための要素がことごとく欠けている作品」になってしまっていると感じました。
 そのため、本作は最終的にローグライク、ダンジョン農地化、クリッカーゲームのどの部分に興味関心を持った人も満足できない、おすすめできないというところに着地してしまうのがなんとも残念。。
 こうしたゲームシステムの齟齬に対して、世界観は非常に魅力的。
 CAVY HOUSEらしい不気味さと上品さ、ユーモラスとシリアスの同居したキャラデザインやストーリーは本作でもしっかりと(UIに至るまで!)根付いており、独特の味が楽しめます。
 個人的にはレア度や強さが上がっていくに従って抽象的になっていく素材や敵、そして敵のデザインが好きです。
 本作で一番好きなのは1000階踏破後のエンディングでしょうか。
 なんというか「みんなのうた」感がある。
 「イレーヌおねえさんの錬金術講座」とかやってほしい。トーマスとメアリアンは助手で管理人さんはワクワクさんポジ。
 正直なところゲームシステムはプレイを牽引する要因にはあまりなりませんでしたが、世界観とキャラは単純に完成度が高かったと思います。
 本作は正直ゲームとしての評価は低いですが、意地でなんとか1000階までプレイしました。
 あとは全スキル習得と真ボス周回かなあ……。

 今日はここまで。

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