崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「幻の満洲映画『迎春花』」

2016年03月22日 05時53分46秒 | 日記
昨日卒業式に参席、まだ大学の構成員であること、学父兄の席を見ると若い人ばかりのように感じた。世代交代が早いということと、私が老いたことを思った。研究室に戻り古川薫先生を迎えた。先生は91歳、お変わりなくお元気で、田中絹代氏の墓参りに行って来られたとのこと。昼食は弁当を食べ、午後の研究会を待ちながら談笑した。先生は福岡の発展を例にしながら下関もアジア向けの発想を持つべきだと言われた。それは先生の「アジア人」論だといい、これから新しく新聞連載に2年間約束をしたので少なくともその間は死ねないとおっしゃっていた。
 続いて林楽青氏の「幻の満洲映画『迎春花』」について発表があった。李香蘭、木暮実千代などが出演している。日本人と満洲人(中国人)との恋愛、三角関係、恋愛は実らず別れる。満洲国で満州人を相手に作った国策映画といわれるがむしろ満州人に教えてもらうような場面があり、必ずしもプロパガンダ映画と言い切ることはできない。しかし映画として成功したのか否かは分からない。林氏は当時満洲に住んだことのある人たちに見せてコメントを求めた話を紹介した。それは「この映画は面白くない」と言われたが、彼自身は「面白い」と相反する意見であった。私が「面白くない」という反応にはハッピエンディングであること、つまり恋愛は盛り上がって結婚などにゴールインする決まったストリーを先入しているからではないかと言った。美学研究の大家の金田晉先生、美術評論家の清永修全先生、芸術家の櫛田学長など多くの方は面白いと言われ、古川先生はプロパガンダとは言えないとの意見を述べた。古川先生をご自宅へ送ってから帰宅、大部疲れた。さらにこの週末東京での発表に備えて本気で準備し始めた。昨日はスカイプでも公開した。沖縄と海外から視聴した方に感謝したい。