『みち』 目次
第 1回・第 2回・第 3回・第 4回・第 5回・第 6回・第 7回・第 8回・第 9回・第10回
第11回・第12回・第13回・第14回・第15回・第16回・第17回・第18回・第19回・第20回
第21回・第22回・第23回・第24回・第25回・第26回・第27回・第28回・第29回・第30回
第31回・第32回・第33回・第34回・第35回・第36回・第37回・第38回・第39回・第40回
第41回・第42回・第43回・第44回・第45回・第46回・第47回・第48回・第49回・第50回
『みち』 ~未知~ 第59回
時間をかけロボットのように歩きながらキッチンへ向かった。 キッチンの時計を見て
「11時・・・思いっきり寝てたんだわ」 それだけじゃないだろう? お腹は空いてないのかい?
「こんなのじゃ車の運転も何も出来ないわ。 実家に電話しなきゃ」 またロボットのように歩き電話を手にした。
「電話が重い・・・」 腕も指も掌も何もかも疲れきっている。 電話を耳に当てる事すら腕が痛い。 電話が繋がった。
「もしもし、お母さん? ごめん。 今日行くつもりだったんだけど行けそうにないみたい。 実は昨日山に登ったら全身筋肉痛になっちゃって 今朝起きたら身体中が痛くて動けないの・・・うん。 うん・・・」 母親の心配をする声だ。
「ごめんね、今度の長期休みには絶対に行くからね」 そう言って電話を切った。
「頭痛薬・・・イタ・・・もういいわ、とにかく寝転びたい」 テレビのリモコンと携帯をすぐ手に取れるところに置き 二つ折りにした座布団を枕にテレビのある和室に寝転ぼうとしたが
「いたた・・・」 少し具合が悪いようだ。
「畳も座布団も痛いわ。 ・・・そうだ、座椅子・・・」 またノロノロと立ち上がり実家に行く間は仕舞っていようと 押入れに入れていた座椅子を出してほんの少し角度をつけ座椅子に寝転んだ。
「もう動きたくない」 今度は具合がいいようだ。
テレビのリモコンのスイッチを入れテレビをボォッと見ていたがあれだけ寝たのにまたウトウトとしだした。 身体の疲れが半端ではないようだ。
誰も見ていないテレビは15分おき毎にコマーシャルが入り 1時間、2時間ごとに番組が変わっていった。
「ガチャ」 玄関のドアの音がしたが琴音が鍵をかけている。 それにこの部屋に誰が来る予定もない。 琴音は気付いていない。 今度はドアチャイムが鳴った。 それにやっと気付き目の覚めた琴音。
「もしかして今チャイムが鳴った?」 身体をゆっくり起こそうとするが
「イタ、無理だわ。 このまま居留守だわ」 ウトウトとした間にまた筋肉が固まってしまったのだ。 すると次ぎは携帯だ。
「暦だわ。 連休なのに珍しい。 なんなのかしら」 携帯に出た琴音。
「暦?」 すると
「何やってんのよ。 部屋の鍵、開けてよ」
「え?」
「今玄関の前にいるのよ。 早く・・・あ、じゃなかった。 ゆっくりでいいから鍵を開けに来て」
「玄関の前ってここの玄関?」
「そうよ」
「ちょっと色々あって、時間かかるけどいい?」
「知ってるわよ。 だからゆっくりでいいから開けに来て。 携帯で話しながらだと大変でしょ。 もう携帯切るわね」
「うん、じゃあ待ってて」 携帯を切った琴音であったが
「なに? 知ってるわよってどういうこと?」 そんな事をブツブツ言いながらもゆっくりゆっくりと身体を動かす。
「痛ーい」 「イタタタ・・・」 思わず口からこぼれながらもやっと玄関に行き
「お待たせ。 今開けるからね」 鍵をガチャっと開けた。 鍵を開ける音と同時にドアが開いた。 暦が開けたのだ。
「待たされたー」 袋を一杯手に提げ暦が立っていた。
「なに? どうしたのよ」 その姿を見て琴音が言ったが
「それはこっちのセリフよ。 40になっていったい何やってるのよ。 とにかく入るわよ」
「どうぞ」 身体を避けようとする琴音に
「琴音はじっとしてて。 私が横向きに入るから」 狭い玄関だ。 どちらかが道を譲るようにしないとぶつかってしまう。
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時間をかけロボットのように歩きながらキッチンへ向かった。 キッチンの時計を見て
「11時・・・思いっきり寝てたんだわ」 それだけじゃないだろう? お腹は空いてないのかい?
「こんなのじゃ車の運転も何も出来ないわ。 実家に電話しなきゃ」 またロボットのように歩き電話を手にした。
「電話が重い・・・」 腕も指も掌も何もかも疲れきっている。 電話を耳に当てる事すら腕が痛い。 電話が繋がった。
「もしもし、お母さん? ごめん。 今日行くつもりだったんだけど行けそうにないみたい。 実は昨日山に登ったら全身筋肉痛になっちゃって 今朝起きたら身体中が痛くて動けないの・・・うん。 うん・・・」 母親の心配をする声だ。
「ごめんね、今度の長期休みには絶対に行くからね」 そう言って電話を切った。
「頭痛薬・・・イタ・・・もういいわ、とにかく寝転びたい」 テレビのリモコンと携帯をすぐ手に取れるところに置き 二つ折りにした座布団を枕にテレビのある和室に寝転ぼうとしたが
「いたた・・・」 少し具合が悪いようだ。
「畳も座布団も痛いわ。 ・・・そうだ、座椅子・・・」 またノロノロと立ち上がり実家に行く間は仕舞っていようと 押入れに入れていた座椅子を出してほんの少し角度をつけ座椅子に寝転んだ。
「もう動きたくない」 今度は具合がいいようだ。
テレビのリモコンのスイッチを入れテレビをボォッと見ていたがあれだけ寝たのにまたウトウトとしだした。 身体の疲れが半端ではないようだ。
誰も見ていないテレビは15分おき毎にコマーシャルが入り 1時間、2時間ごとに番組が変わっていった。
「ガチャ」 玄関のドアの音がしたが琴音が鍵をかけている。 それにこの部屋に誰が来る予定もない。 琴音は気付いていない。 今度はドアチャイムが鳴った。 それにやっと気付き目の覚めた琴音。
「もしかして今チャイムが鳴った?」 身体をゆっくり起こそうとするが
「イタ、無理だわ。 このまま居留守だわ」 ウトウトとした間にまた筋肉が固まってしまったのだ。 すると次ぎは携帯だ。
「暦だわ。 連休なのに珍しい。 なんなのかしら」 携帯に出た琴音。
「暦?」 すると
「何やってんのよ。 部屋の鍵、開けてよ」
「え?」
「今玄関の前にいるのよ。 早く・・・あ、じゃなかった。 ゆっくりでいいから鍵を開けに来て」
「玄関の前ってここの玄関?」
「そうよ」
「ちょっと色々あって、時間かかるけどいい?」
「知ってるわよ。 だからゆっくりでいいから開けに来て。 携帯で話しながらだと大変でしょ。 もう携帯切るわね」
「うん、じゃあ待ってて」 携帯を切った琴音であったが
「なに? 知ってるわよってどういうこと?」 そんな事をブツブツ言いながらもゆっくりゆっくりと身体を動かす。
「痛ーい」 「イタタタ・・・」 思わず口からこぼれながらもやっと玄関に行き
「お待たせ。 今開けるからね」 鍵をガチャっと開けた。 鍵を開ける音と同時にドアが開いた。 暦が開けたのだ。
「待たされたー」 袋を一杯手に提げ暦が立っていた。
「なに? どうしたのよ」 その姿を見て琴音が言ったが
「それはこっちのセリフよ。 40になっていったい何やってるのよ。 とにかく入るわよ」
「どうぞ」 身体を避けようとする琴音に
「琴音はじっとしてて。 私が横向きに入るから」 狭い玄関だ。 どちらかが道を譲るようにしないとぶつかってしまう。