大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第11回

2013年07月05日 14時57分30秒 | 小説
『みち』 目次

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『みち』 ~未知~  第11回



「どうぞ此処に座っててね。 すぐに社長を呼ぶわ。 退屈でしょ? テレビでも見る? あ、座ってね」 女性はテレビのリモコンを持って スイッチを入れた。

「失礼します」 矢継ぎ早に話され、言われるがまま琴音はソファーに座った。

「何が見たい?」 チャンネルを色々変えるが いくら緊張していないと言えど テレビを見る気にはなれない。

「あの、大丈夫です」 そう返事する以外なかった。

「そう? じゃあ、ここを点けとくわね。 今お茶を入れてくるわね」 ワイドショーを点けたまま パタパタと小走りで応接室を出て行った女性であった。

「玄関のチャイムに出て下さった女性かしら?」 60歳を有に超しているように見える。

「それに面接に来てテレビって・・・ ふふ」 チラッとテレビを見てから 鞄から履歴書の入った封書とハローワークから渡されていた封書を出し 座っている横に置いた。

アジアン的な飾り物が沢山置かれている応接室をずっと見渡していると さっきの女性がお茶を持って入ってきた。

「どうぞ」 琴音の前にお茶を置いた。

「有難うございます」 座ったまま軽く会釈をした。 その時、女性の足元が目に入った。 健康スリッパを履いている。 
(かわいい人) 思わず心の中でそう思った。

「この番組面白くない?」 女性が琴音に聞いてきた。

「いえ、そんな事はありませんが・・・」

「そう? じゃあこのままにしておいて・・・ごめんなさいね、社長遅いわね。 何してるのかしら もうちょっと待っててね 見てくるわ」 またパタパタと応接室を出て行った。

「確か求人の紙には 女性は一人と書いてあったけど あの女性のことよね。 え? 私が二人目の女性として入るのかしら? それともあの女性が辞めるからその引継ぎで入るのかしら?」 自分がどういう居場所になるのかが全く分からない。

「考えても仕方のないことね」 頭を切り替えた。

お茶を残しては悪いと思い 半分くらいを飲むと パタパタとさっきの女性の足音がしてきた

「来た、来た 今入ってくるからね」 テレビのスイッチを消し またパタパタとスリッパの音を立てて走って行った。

すぐに70歳を超していようお爺さんと 60歳前後の男性が入ってきた。 琴音がソファーから立ち上がると

「構いません、構いません 座っていてください」 60歳前後の男性がそう言い 琴音の前に男性が座り その横にお爺さんが座った。

「失礼します」 琴音は一言いい もう一度ソファーに座り 「宜しくお願いいたします」 と言いながら横に置いてあった封書2通を 男性の前に置いた。

(どうして二人もいるの?) 心の中でそう思った琴音であった。 するとその心の声が聞こえたかのように 男性がお爺さんに琴音から出された2通の封書を渡しながら

「一応今、私が社長をさせてもらっています。 こちらは先代社長で今は会長です」 琴音の謎が解けた。

そこへさっきの女性がお茶を持って入ってきた。 会長と社長の前にお茶を置き 嬉しそうな顔をしてチラッと琴音を見て出て行った。

その後も社長といわれる男性が話をしていたが

(社長を継いでるっていうことは この二人って親子なのかしら? でもそれにしては年が合わないわね。 お爺さん・・・じゃない、会長が75歳として20歳の時の子供としたら 社長って 55歳? ちょっと老けて見える55歳なのかしら?) いらないことばかりを考えていた。 するとお爺さん・・・ではなかった 会長が話し出した。

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