大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第40回

2013年10月18日 10時27分14秒 | 小説
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『みち』 ~未知~  第40回



初仕事から 半月ほどたった頃

「靴がブカブカになってきたわ。 前の靴に履き替えなくちゃ駄目ね」 そう思いながらデスクの下の足元を見ると

「あら? そう言えば・・・足が痒くないわ。 出勤してから一度も痒くならなかったわ」 マンションに帰ってすぐに足を見てみると 赤くはあったが紫だった所と鈍く赤い所がなくなって腫れも引いている。 

「どうして?」 色んなことを思い返してみた。

「違うわ・・・痒くならなくなったのは出勤してからじゃないわ。 乙訓寺から帰ってからよ」 そこへ電話が鳴った。

「明けましておめでとう」 文香からであった。

「おめでとう。 久し振りね、どうしてるの?」

「新年会続きがやっと終わった所。 そっちはどう?」

「新年会なんて無いわよ。 うちの会社の人たちそういう事あまり好きじゃないみたい」

「へぇー そうなんだ。 珍しいわね」

「あっ、そうだわ、忘れる所だった。 それより聞いて!」

「何よ 聞いてるわよ」

「文香が小学生の時だったかしら? よく行ってたっていう 乙訓寺に行ってきたの」

「乙訓寺? なに? そんなこと言った覚えなんて無いわよ」

「え? うそ?」

「私が小学生の時によく行ってたのは 向日神社よ」

「神社?」

「そうよ。 神社とお寺の記憶も出来ないほどなの?」

「えー! 文香が行ってた所だと思って行ったのに」

「どっちでもいいわ。 なに? 琴音がお寺に行ったの?」

「そうなの」

「誰と?」

「一人で」

「信じられない。 なんで?! どうして?!」

「それがよく分からないの。 確かに最初は文香の事があって気になったんだけど どうして私がお寺なんかに行ったのかわからないの。 それに不思議な感覚もあったのよ」

「不思議な感覚?」

「うん」 琴音は乙訓寺であった意識がなくなりかけた事や何処かから勝手に出た想いなどを文香に話した。

「ちょっとそれってすごいじゃない!」

「それにそれだけじゃないの」

「なに? なに?」 この手の話が大好きな文香はカブリツキだ。

「しもやけなんだけどね」 

「しもやけ? この時代に?」

「うん。 去年の冬から足の指がしもやけになっちゃって」

「琴音の足?」

「そうなの。 中学校以来だから長年なってなかったんだけどこの冬に急にしもやけ復活になっちゃったのよ」

「琴音の足っていつの時代の足よ」

「なるものは仕方ないじゃない」

「分かった、分かった。 それで?」

「それでね、本当にたった今なんだけど足を見てみたら しもやけが治ってきてるみたいなの」

「何それ? まだ春にもなってないのに?」 

「不思議でしょ? 薬なんかも塗ってないしどっちかって言うとしもやけが酷くなる環境に居るのに もしかしたら乙訓寺に行ったからかもしれないって考えちゃってるの」

「うーん・・・そこってもしかしたら琴音にとってのスピリチュアルな所じゃないの?」

「スピリチュアル?」

「琴音は昔そこに・・・あ、昔って前世って事ね。 前世で何か関係があったとか。 だから知らず知らずの内に涙が出たり、色んな事があったんじゃない? それにしもやけのことを考えたら琴音にとってのパワースポットでもあるとか?」

「スピリチュアルの次はパワースポット?」

「うん、体調を良くしてくれる何かがあるとか」

「前世があるかどうかは知らないけど体調って言われると・・・」

「もう、どうして琴音ばっかりなの?!」

「なに? 私ばっかりって」

「天河に行った時もそうだったじゃない。 私には石の暖かさが分からなかったのに琴音は分かったじゃない」

「あれは気のせいだったかもしれないわ」

「それにあの時、琴音が案内板に気付かなかったら私行けてなかったと思う」

「だってあの時は文香が運転してたんだもの、キョロキョロ出来ないじゃない」

「キョロキョロしなくても充分分かる大きな案内板だったじゃない。 私はあれに気付かなかったのよ。 琴音なんて自分が何処に行くかもよく分かっていなかったのに・・・。 あー、私ってやっぱりそっちの能力無いのかなぁ」

「文香がどうかは分からないけど私には文香が言うような事は無いわよ」

「まー、私のことはいいわ。 それより琴音これからどうするの?」

「どうするって?」

「能力開花するとか」

「なに馬鹿な事言ってるのよ。 今はただ仕事が出来るようになりたいだけよ」 久しぶりの電話で夜遅くまで話は続いた。

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